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2016年4月 6日 (水)
江利川滋, 山田一成 (2015) Web調査の回答形式の違いが結果に及ぼす影響:複数回答形式と個別強制選択形式の比較. 社会心理学研究, 31(2), 112-119.
サーベイ調査の設問形式によって回答がどう変わるかという実験。Rasinski, Mingay, & Bradburn(1994 POQ), Smyth, Dillman, Christian, & Stern (2006 POQ)の追試に相当。第一著者はTBSの方だそうだ。
一都三県の20-60代にweb調査(性年代割付), 1559名聴取。実査会社の社名は謝辞にも出てこないのでわからない。「インターネット利用行動」19項目と「ノートPC購入重視点」19項目の2設問について回答を求めた。1設問で1画面。回答形式が要因になっていて、(1)個別強制選択(FC; 項目別に該当と非該当のボタンが横に並ぶ)、(2)複数回答(MA; 項目先頭にチェックボックス)、(3)複数回答で項目順が逆順。
結果。MAでは、選択数が少なく、回答時間が短く、後半の項目で選択率が上がる。回答時間が短い人のほうが項目数が少ないのはMAだけじゃないかと思って調べたが、結果ははっきりしなかった。
考察。MAではKrosnick(1991 App.Cog.Psy; 1999 Ann.Rev.Psy)いうところの「弱いsatisficing」、つまり認知的努力が不十分な回答行動が生じやすいのだろう。逆にFCで黙従傾向が強くなるんじゃないかという反論も可能だが[...状況証拠でディフェンス]。
云々。
論文:調査方法論 - 読了:江利川, 山田(2015) 2択SAとMAのちがい