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2016年4月13日 (水)

Bookcover 日本仏教入門 (角川選書) [a]
末木 文美士 / KADOKAWA/角川学芸出版 / 2014-03-21
入門というタイトルだけど、著者の紀要論文などを集めた内容。アタリハズレがありうる怖いタイプの本だが、恐る恐る読んでみたら、とても面白かった。
 最後のほうに出てきた話。
 僧侶が修行から離れて社会的活動を展開することは古くからあるけれど、日本の中世において、社会的活動にもっとも積極的だったのはどの宗派か。
 当然、鎌倉新仏教じゃないかと思うじゃないですか。浄土宗とかさ。しかし著者によれば、正解は南都六宗のひとつ、律宗であった。
 彼らの活動は、死者の葬送、非差別民の救済、港湾管理、橋・道路の建設などに及んだ。出家と在家を峻別し修行と戒律を重んじる宗派がなぜ? その背景には、戒律は清浄であり、その力によって穢れを克服できる、という観念があったのだそうだ。だから僧侶たちは、非人と交わることもできるし、社会的なタブーを乗り越えることができた。
 ううむ、そうか... 散歩の途中で見かけるカトリックの修道院のことなどを思い出し、考え込んでしまった。ここには、社会から離れることによって社会により深くコミットできることがある、というアイロニーがあるのかもしれない。

Bookcover 草木成仏の思想 [a]
末木文美士 / サンガ / 2015-02-25
味をしめて読んだ本。

Bookcover プラトンとの哲学――対話篇をよむ (岩波新書) [a]
納富 信留 / 岩波書店 / 2015-07-23

Bookcover ヘーゲルとその時代 (岩波新書) [a]
権左 武志 / 岩波書店 / 2013-11-21

Bookcover こころはどう捉えられてきたか: 江戸思想史散策 (平凡社新書) [a]
田尻 祐一郎 / 平凡社 / 2016-03-17
日本近世思想についてのエッセイ風の読み物。面白かった。

哲学・思想(2011-) - 読了:「こころはどう捉えられてきたか」「日本仏教入門」「草木成仏の思想」「プラトンとの哲学」「ヘーゲルとその時代」

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