elsur.jpn.org >

« 読了:Koenker & Hallock (2001) 分位点回帰入門 | メイン | 読了:Diderrich (1985) Goldberger-Theil推定量からみたカルマン・フィルタ »

2016年4月26日 (火)

 ベイズ統計とマーケティング・リサーチ、というようなキーワードでウェブを検索すると、Allenby兄貴の著書"Bayesian Statistics and Marketing"ばかりがヒットする。ちょっと読んでみるかと思ったそこのあなた、別にかまいませんけど、その道は地獄へと通じています。香港映画界の最後のカンフースターであるドニー・イェン兄貴は、共演者に対する要求水準が大変高く、ほぼ無理難題に近いアクションを求めるそうなのだが、Allenby兄貴の本も、途中からいきなりハードルを上げてくるのです。Allenbyさんが世界中の統計学習者に"Ah-Niki"と呼ばれているのはそのためである。(嘘です、私が言ってるだけです)
 Allenby兄貴以外の人が書いた文章がないだろうかと探してみたら、Marketing Research誌の記事のPDFをみつけた。こりゃいいや、と思ってディスプレイ上で目を通した。この雑誌は完全に実務家向けで、めちゃくちゃ易しいのです。
 
 まずはベイズの定理について紹介。ベイズの定理が市場調査実務にあまり適用されなかった理由は3つ:(1)事前確率が決めらんない。(2)計算が大変。(3)リサーチャーはデータ生成過程に関心を持たない場合が多い(例外は消費者選択。リサーチャーは消費者の効用最大化過程に関心を持つ)。
 80年代のMCMC登場がすべてを変えた... [正直に告白すると、このあたりから、あれおかしいな、と気づき始めていました...]
 階層ベイズモデルとは... [略]
 選択型コンジョイント分析に適用すると...[略]
 うちの院生が、消費者の決定ルールを推測するという面白い研究をやってて... [ここで完全に気が付いて、ガックリしたのだが、悔しいので最後まで読んだ]
 WinBUGSとかあるよ... これからはこんな問題にも適用できるだろう... [略]

Allenby, G.M., Bakken, D.G., Rossi, P.E. (2004) The HB revolution: How Bayesian methods have changed the face of marketing research. Marketing Research, Summer 2004.
 というわけで、よくよくみたら、これもAllenby兄貴の記事であった。それもGrover&Vriens(eds)での解説とだいたい同じ内容。くっそー。
 悔しいので、今回はドニー兄貴の動画は載せません。(別に誰にも頼まれてないけど)

論文:データ解析(2015-) - 読了:Allenby, Bakken, Rossi(2004) HB革命とは何か

rebuilt: 2020年11月16日 22:55
validate this page