« 読了:Carlin & Louis (2000) 経験ベイズのこれまでとこれから | メイン | 読了:Morris (2017) 行政記録にデータがある世帯については国勢調査に無回答でもまあいいやということにできないか »
2017年9月11日 (月)
Sirken, M.G., et al (1999) "Cognition and Survey Research"という論文集がある。80年代初頭から、米の調査法研究者らのあいだでCASM(Cognitive Aspects of Survey Methods)と呼ばれるアプローチが提唱されていて、この本はその1997年のセミナーをもとにした論文集。
この本、原稿ならびに仕事の都合で救いを求めて手に取り、ぱらぱらめくって諦めることが多い。なぜいまこんなの読まなきゃいけないんだという気もするけど、どの章が役に立ちそうか、目次をメモしておく。
- 1章. Sirken, Schechter「学際的調査法研究」: 論文集全体の前文みたいな内容。
- 2章. Tanur「CASM運動のこれまでとこれから」: これもイントロみたいな感じだなあ...
- 3章. Aborn「CASM再訪」:80年代のCASM勃興期までの歴史的概観である模様。
- 4章. O'Murcheartangh「CASM: 成功, 失敗, ポテンシャル」: これも概観なんだけど、CASM以外の調査法研究(エスノグラフィーとか)にも触れているようで、なかなか面白そう。★
- 5章. Schwarz「調査測定の認知的研究:調査方法論と認知理論への影響」: 6-10章へのイントロ。Schwartzさんは2007年にもこういう概観を書いてたので、これはまあ、読まんでもいいか。
- 6章. Schober「質問の意味を理解する:相互作用的アプローチ」:いかにもCASMっぽいタイトル。これはいちおう読んでおかなきゃ...★
- 7章. Shum, Rios「回答者の告白:調査という文脈における自伝的記憶」
- 8章. Tourangeau「態度質問への回答における文脈効果」:もちろん簡単なレビューなんだけど、最後の節で引用なしに「信念サンプリングモデル」というのが出てくる... なんだこれ。こないだ読んだ政治学のZellar&Feldmanと関係あるのだろうか。★
- 9章. Willis, DeMaio, Harris-Kojetin「バンドワゴンは方法論の約束された土地へと向かうのか? 認知インタビュー技法の妥当性の評価」:認知インタビュー研究のレビュー。第一著者は2005年に"Cognitive Interviewing"を書いた人。
- 10章. Moore, Stinson, Welniak「調査における収入報告:認知的諸問題と測定誤差」:タイトル通り、収入についての回答の話だと思う。
- 11章. Tourangeau「広い網を投げる:新領域からの貢献」:12-16章のイントロ。
- 12章. Fillmore「言語学からみた調査研究」:Fillmoreって、まじであのフィルモアだ、フレーム意味論の...そんなに長くない章だけど、怖くて読めない。
- 13章. Graesser, Kennedy, Wiemer-Hastings, Ottati「調査と調査票における質問改善のための計算認知モデルの使用」:第一著者は会話や文章理解の認知研究をやってたGraesserさん。たぶん内容が古くなっちゃっていると思うんだけど、手が空いたら読んでみよう。★
- 14章. Gerber「民俗学からの眺め:エスノグラフィーと認知インタビュー」
- 15章. Groves「調査誤差モデルと回答行動の認知理論」:どういう話なんだろう? めくっただけではよくわからなかった。
- 16章. Smith「心的表象の新しいコネクショニスト・モデル:調査研究への含意」:コネクショニズムって、当時は光り輝く最先端だったのだろう...
- 17章. Herrmann「CASM運動は調査票設計を超えて貢献できるか:認知テクノロジーと調査テクノロジー」:やたらに魅力的な題名だが、これは18-22章のイントロ。
- 18章. Couper「コンピュータ支援インタビューへの認知科学の適用」
- 19章. Conrad「調査手続きのカスタマイズによる測定誤差低減」
- 20章. Friendly「カテゴリカルデータの視覚化」:ってこれ、もはや調査法と関係なくないっすか?
- 21章. Lewandowski「統計的グラフとマップ:高次認知過程」:これも結果の視覚化の話だ...
- 22章. Martin, Tucker「リサーチ・アジェンダに向かって:調査の認知科学のこれからの発展と応用」★
雑記 - Sirken, et al. (1999) 「認知と調査法研究」目次メモ