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2008年12月15日 (月)

Grewal, R., Cote, J.A., Baumgartner, H. (2004) Multicollinearity and measurement error in structural equation models: Implications for theory testing. Marketing Science, 23(4), 219-529.
 構造モデルが重回帰になっているような簡単なSEMモデルを想定し(例:4つの潜在変数からひとつの潜在変数にパスが伸びているモデル。各潜在変数は4つの指標を持つ),{潜在変数間の相関,測定誤差の大きさ,目的変数のR2,真のパス係数のパターン,標本サイズ}を操作してモンテカルロ・シミュレーションを行い,パス係数の有意性検定での検定力を推定しました。検定力は潜在変数間の相関が高いときに下がりますが,測定誤差の大きさ,R2の低さ,標本サイズの小ささによっても下がりました。という論文。
 重回帰における多重共線性の問題は広く知られているが,SEMでの構造方程式での多重共線性については,なぜかあまり気にする人がいないように思う。このたび仕事の関係でそのあたりについて悩むところあったので,ネットで探して読んでみた。所詮シミュレーション研究だから,ああそういう状況ではそうなるんですかというしかないんだけど,勉強にはなりました。
この論文が示しているように,たとえばLV1とLV2のそれぞれからLV3にパスが伸びているSEMモデルで,それらしいパス係数が推定されていても(そしてまともな適合度が得られていても),実はLV1とLV2の間に高い相関があったりすると,そこんとこの係数に限り信頼できないかもしれないわけだ。なるほど,気をつけないといけない。たいていのアウトプットでは,潜在変数間の相関なんていちいち書かないし。
 SEMによって測定誤差を分離することができるのだ,という一般的解説が頭にあったので,測定誤差が大きいときに多重共線性の問題が深刻になるという話は,ちょっと思いつかなかった。なるほどなあ。その点を確認するためには,Fornell&Larcker(1981)のAVEという統計量と,潜在変数間相関の二乗とを比較するのがよいそうだ。よくわからないけど,どうやらAVEとはある潜在変数が配下の指標の分散を説明している割合のようなものらしい。要するに,弁別的妥当性がない多重指標モデルはまずいということなんだろうな。
 潜在変数間の相関があまりに高いときには,潜在変数間にパスを引くのをあきらめ,潜在変数間の相関行列を分析せよとのこと(構造モデルを取り除いて,ただの測定モデルにしちゃうわけだ)。なるほどなあとは思うが,そこからどう進めばよいのか...因子間相関行列をグラフィカルモデリングに持ち込むという例が,しばらく前の心研に出ていたが,相関が高すぎる場合はうまくいかないだろうし...

論文:データ解析(-2014) - 読了:12/15まで (A)