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2013年7月24日 (水)

Hervas, G., Vazquez, C. (2013) Construction and validation of a measure integrative well-being in seven languages: The Pemberton Happiness Index. Health and Quality of Life Outcomes. 11.
 多言語かつ簡略な主観的幸福度尺度をつくりました、という論文。著者らはスペインの心理学者。尺度研究であるからして、読んでて楽しいものではない。
 著者らいわく、幸福度を測る質問紙尺度は多々あるが、この尺度の売りは:(1)生活への一般的満足も、情緒的な幸福も、eudaimonicな幸福も(心理的機能が最適に働いているというような意味での幸福のこと)、社会的な幸福も、全部含みます。(2)過去についての回想的な幸福と、現在経験されているところの幸福の、両方を測ります。(3)はなっから多言語で作ります。

 日本を含む9カ国でネット調査。ちなみに実査はMillward-Brownさんがやっておられます。
 こういう尺度構成の際には、大きな項目プールをつくっておいて、そこから性質の良い項目を拾うのが普通だと思うのだが、この調査ではいきなり37項目からはじめて、それを21項目に減らすだけ。最初から多言語でつくったので... というのが言い訳である。当然ながら、アルファや項目間相関や国間の差を調べるだけで、CFAやIRTの出番はないし、(今後の課題に挙げられてはいるが) 測定不変性の検証はない。コトの良し悪しはよくわからないが、ちょっと拍子抜け。
 妥当性は別の指標を基準にして検証する。基準に使うのは:

 なお、メモしておくと、主観的幸福の尺度としては他にこんなのがあるんだそうだ:

レビューはないのかと思ったら、Krueger & Shkade(2008, J. Public. Econ.) というのが引用されているのをみつけた。

 話の本筋ではないんだけど、リッカート尺度で11件法ってのは悪くないんだよ、むしろいいんだよ、という言い訳がぐだぐだと載っていて面白かった。あんまり段階数を増やしてもしょうがないという実証研究は少なくないと思うのだが、著者らはその逆張りで、Alwin (1997, Social Method Res.) というのを引き合いに出している。段階数が多いほうがいいという研究らしい。へー。

 というわけで出来上がりは、回想的な11件法項目が11項目、昨日の経験についての2件項目が10項目、計21項目。著者らのwebページに日本語訳があった。
 それにしても、本文中には一切説明がないが、尺度の名前 (Pemberton Happiness Index) はあきらかにスポンサー様の意向であろう。す、すごいなあ。パナソニックが助成した研究でつくった心理尺度に「幸之助指標」とつけるようなものではないか。

論文:心理 - 読了: Hervas & Vazquez (2013) スカッとさわやか幸福度指標

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