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2015年1月 4日 (日)

Bookcover 現代秀歌 (岩波新書) [a]
永田 和宏 / 岩波書店 / 2014-10-22
「1970年までの生まれで、主に昭和の時代に本格的な活動をはじめた歌人たち」の歌の、百人一首形式のアンソロジー。
 短歌とか俳句とか、どうにも読み方がわからなくて、普段は散文のなかに埋め込まれていてもそこだけ読み飛ばしてしまうくらいなのだが、この本は面白かった。はじめての経験である。著者はかの世界の超偉い人だと思うが、解説が控えめで理知的なので、読みやすいのだと思う。

 これはいいなあ、と思った歌をメモしておく。予備知識ゼロのど素人の感想なので、もしかすると一定の傾向が現れているかもしれない(わかりやすい歌とか、共感しやすい歌とか)。
 ほんとは「いいなあ」と思う確率と発表年度や作者生年との関係を調べてチャートにしてみようかと思ったのだが、さすがに現実逃避も度が過ぎるので、いずれまた暇なときに...

曼珠沙華のするどき象(かたち)夢にみしうちくだかれて秋ゆきぬべき (坪野哲久, 昭15)
秋分の日の電車にて床にさす光もともに運ばれていく (佐藤佐太郎, 昭27)
水中より一尾の魚跳ねいでてたちまち水のおもて合はさりき (葛原妙子, 昭38)
先に死ぬしあはせなどを語りあひ遊びに似つる去年までの日よ (清水房雄, 昭38)
すさまじくひと木の桜ふぶくゆゑ身はひえびえとなりて立ちをり (岡野弘彦, 昭47)
さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり (馬場あき子, 昭52)
次々に走り過ぎ行く自動車の運転する人みな前を向く (奥村晃作, 昭54)
なべてものの生まるるときのなまぐささに月はのぼりくる麦畑のうへ (真鍋美恵子, 昭56)
この世より滅びてゆかむ蜩(かなかな)が最後の<かな>を鳴くときあらむ (柏崎驍二, 平6)
そこに出てゐるごはんをたべよというこゑすゆふべの闇のふかき奥より (小池光, 平7)
彼の日彼が指しし黄河を訪ひ得たり戦なき世のエアコンバスにて (宮英子, 平7)
洪水はある日海より至るべし断崖(きりぎし)に立つ電話ボックス (内藤明, 平成8)
大根を探しにゆけば大根は夜の電柱に立てかけてあり (花山多佳子, 平18)

フィクション - 読了:「現代秀歌」