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2016年3月27日 (日)
Clemen, R.T. (1989) Combining forecasts: A review and annotated bibliography. International Journal of Forecasting, 5, 559-583.
原稿の都合で読んだ。80年代までの予測結合の文献紹介。予測研究、心理学、統計学・管理科学の3領域にわけて過去研究を概観したのち、応用例と今後の方向について議論。本編は比較的に短いが、長大な文献解題がついている。
面白かったところをメモ:
- 心理学では50年代に専門家の判断についての研究がさかんに行われた。さきがけはMeehlというひとの、clinitianの判断を反応変数、criteriaを説明変数にして回帰を行うという研究で、これはbootstrappingといわれた(統計学で言うbootstrappingとは無関係)。この流れから、専門家の判断を平均するとよりよいという研究がうまれた。70年代には、6~20人の判断を平均せよとか(Hogarthという人)、いや2~3人でよいといった研究があった。へー。著者はこの系列の研究を心理学的合意モデルと呼んでいる。雑誌でいうとOrganizational Behavior and Human Performanceが多い模様。
- 統計学方面の初期研究(雑誌で言うとOperational Research Quarterlyが多いそうだ)では、さかのぼればきりがないが、予測結合をベイズ流に考えた研究としてGeisser(1965, JASA)がある。
- それとは別に、70年代から、他人の予測を含めいろんな情報をデータとみて確率分布をベイズ更新していくという予測結合モデルの流れがあった。こちらはWinker, Agnewといった人たちだそうだ。著者はこれをベイジアン合意モデルと呼んでいる。
- 著者いわく、ベイズ流の予測結合研究の有望な方向性がふたつある。(1)複数の予測を組み合わせて使う決定支援モデル。(2)わざわざ複数の予測を組み合わせて使うことに意味があるのかどうかの検討。
論文:データ解析(2015-) - 読了:Clemen (1989) 予測結合研究レビュー