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2017年9月15日 (金)

McMahan, R.P, Gorton, D., Gresock, J., McConnel, W., Bowman, D. (2006) Separating the effects of level of immersion and 3D interaction techniques. Proc.ACM Symp. Virtual Reality Software and Technology. 108-111.
 これも仕事の都合で目を通したやつ。今気が付いたけど、なんてこった、この前に読んだComputer誌の記事と同じ著者だ... 探し方が悪いのだろうか...

 いわく。
 仮想環境の視覚的没入性が課題の成績にどう効くか、という研究は多い。また入力装置や3D相互作用技術のちがいがどう効くかという研究も多い。でも両者を一緒にみた研究がない。だから実験やりました。

 課題は3次元空間でモノを動かすゲーム。
 ディスプレイはCAVEという4面プロジェクタ(装置故障のため床面はなし)。立体視と頭部トラッキングを提供する。
 相互作用技術は[...あんまし関心ないので読み飛ばしちゃったけど、要するに...]杖だかなにかを使ってリアルに操作する奴(HOMERとGo-Go)と、マウスでどうにかして操作する奴(DO-IT)を用意。
 実験計画。要因は、立体視({あり, なし})、呈示面の数({1面, 3面})、相互作用技術({HOMER, Go-Go, DO-IT})。立体視・呈示面は被験者内、相互作用技術は被験者間で操作。
 被験者は各群3人、計12名。[←す、少ない... 心理学でいえば学部の卒論のレベルだ... 工学系はこれでもいいのかな...] 被験者内要因の水準が2x2=4、各1試行で計4試行。

 結果。[...詳細は端折って、要するに...] 相互作用技術はゲームの成績に効くけど、立体視や呈示面の数は効きませんでした。[←はっはっは。チャートをみると、マウスでやるのがよっぽどつらいゲームらしい]
 効いたのは相互作用技術自体なのか、それとも入力装置なのかはわからない。今後の課題です。
 云々。

 ... いっちゃなんだが、実験はかなりしょぼい。どこの卒論かと。でもあれなんでしょうね、見た目より全然大変なんでしょうね。マウスで操作するシステムは自前で作りましたって書いてあるし。
 実験の結果はどこまで一般性があるのか、よくわからない。ゲームの性質がちがえば視覚的没入性が効くかもしれない。このケースは、ゲームは比較的簡単、でもマウスで操作するのがよっぽど難しかったということではないだろうか。
 それはともかく、問題設定が面白いと思った。ほんとに知りたいのは、視覚入力におけるリアルさみたいなものと、環境との相互作用のリアルさみたいなものが、どう相互作用するのか (ことば遊びみたいだけど) ということなのであろう。

論文:心理 - 読了:McMahan, et al. (2006) VRで大事なのは視覚的没入性か相互作用テクニックか、実験してみた

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