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2005年5月 6日 (金)

Prais,S.J. (2003). Cautions on OECD's Recent Educational Survey (PISA). Oxford Review of Education, 29(2), 139-163.
 PISA2000の英国の成績はやたらに良かったが,PISAは信用できない。なぜなら,(1)知能検査みたいな設問で,学校教育とは関係ない。(2)調査対象は年齢ではなく学年で区切るべき。(3)学校の参加率,生徒の参加率が低い。きっと低位の学校・生徒が抜けている。という主旨。
 PISAのサイトで見つけた。不参加者の扱いについて批判するくだりなんか,実に嫌味ったらしい書き方で,とても楽しく読了。やっぱり悪口は面白いわ。イギリスではこういうのありなのかと感心したが,思えば日本の教育学者もエモーショナルな書き方をすることがある(特に政治が絡むともう大変だ)。もしかするとこの論文の背景にも,政治的な対立があったりするのかもしれない(金のかかるPISA調査なんかもうやめちゃえ,なんて書いてあるぞ)。
 肝心の論点のほうは,素人目にもちょっと言いがかりっぽい感じがある。読了後すぐに返答論文を読み始めちゃったので色眼鏡で見てしまいかねないが,(1)はそんなに簡単には答えの出ない問題だし(学力概念をどうとらえるか,ということにつながっているだろう),(2)はどうみても的はずれだと思う(学校制度のちがいによる影響をコミにした国際比較のほうが大事だろう)。

 ここしばらくの昼飯の友だったのだが,一日数十分ではなかなか読み終わらない。ろくに仕事などしていないのだが,やっぱり会社勤めというのは不自由なものだ。

論文:教育 - 読了:05/06

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