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2006年7月24日 (月)

Bookcover 自閉症―これまでの見解に異議あり! (ちくま新書) [a]
村瀬 学 / 筑摩書房 / 2006-07
自閉症者が示す特異な記憶力の「謎」は,実は我々の日常認知が持つ謎そのものである。遠くの日付を聞いただけでぴたりと曜日を言い当てる能力をただ珍しがるのではなく,カレンダーという偉大な道具,そして日付の認識のしくみにこそ焦点をあてるべきだ,云々。なるほどなあ。とても面白い本で,思わず一気読みしてしまったが,では自閉症者の認知メカニズムについての理論的特徴づけを与えてくれるのかというと,そういう本ではない(たとえば「心の理論」のコの字も出てこない)。ちょっとストレスがたまるのだが,そんなことを云ってると「ひととひととの関わりを無視している」って叱られちゃうんだろうな。自閉症者の認知の仕組みへの関心と,この先生の問題意識とは,別に対立する訳じゃないと思うのだけれど。

心理・教育 - 読了:07/24 (NF)

Bookcover SWWEEET 1 (IKKI COMIX) [a]
青山 景 / 小学館 / 2005-10-28
中学校の屋上で,幼なじみの女の子がいじめられているのを助けようとした少年が,女の子たちに逆に袋だたきにされた末,その幼なじみと無理矢理性交させられる,というのが導入部。山本直樹のマンガなら,その後気が狂うなり人殺しに及ぶなりするところだが,このマンガでは案外淡々と,ヤングアダルト小説的な展開に進んでいく。いったいどう考えればいいのか。
Bookcover よにんぐらし 1 (バンブー・コミックス) [a]
宇仁田 ゆみ / 竹書房 / 2005-05-17
竹書房一流のファミリーマンガ。スマートだし読みやすいし,良くできてるんだけど,その満たされた現状肯定ぶりに,正直なところちょっとサブイボ立ってしまう。

コミックス(-2010) - 読了:07/24 (C)

2006年7月23日 (日)

Bookcover 出版業界最底辺日記―エロ漫画編集者「嫌われ者の記」 (ちくま文庫) [a]
塩山 芳明 / 筑摩書房 / 2006-07
前から気になっていた本が,このたびめでたく文庫化。罵倒の嵐。筑摩書房もいい度胸だなあ。
Bookcover 日本語ぽこりぽこり [a]
アーサー・ビナード / 小学館 / 2005-02-28
軽いエッセイ集。適当な順序でめくったので,全部読んだかどうか定かでないのだが,読み終えたことにしておこう。
Bookcover イメージ・ファクトリー―日本×流行×文化 [a]
ドナルド リチー,ロイ ガーナー / 青土社 / 2005-08
著名な映画評論家が書いた,いかにもインテリが喜びそうな日本文化論(パチンコは座禅に通じる,とか)。どこまで真面目でどこからアイロニーなのかが分からず,ちょっと困惑。
Bookcover 日本という国 (よりみちパン!セ) [a]
小熊 英二 / 理論社 / 2006-04
理論社の野心的なYA向けシリーズの一冊,なんだけど,実際の読者は主にオトナだと思う。
Bookcover 中国映画―百年を描く、百年を読む [a]
藤井 省三 / 岩波書店 / 2002-07-25
観てない映画の話を聞かされても。。。という感じだが,ジャ・ジャンクーという人の映画は観てみたいと思った。

ノンフィクション(-2010) - 読了:07/23まで (NF)

Bookcover 不思議な少年(5) (モーニング KC) [a]
山下 和美 / 講談社 / 2006-07-21

コミックス(-2010) - 読了:07/23まで (C)

2006年7月19日 (水)

Bookcover 赤ちゃんの値段 [a]
高倉 正樹 / 講談社 / 2006-06-20

Bookcover 社長の椅子が泣いている [a]
加藤 仁 / 講談社 / 2006-06-16
ヤマハから転じてダイエーのV革を指導しリッカーの再建にあたった経営者,河島博の評伝。ふうん。

ノンフィクション(-2010) - 読了:07/19まで (NF)

Bookcover 平田俊子詩集 (現代詩文庫) [a]
平田 俊子 / 思潮社 / 1999-12
本屋でふと手にとって,なんだか心惹かれて買った本。詩集「ターミナル」が特に良いと思った。

フィクション - 読了:07/19まで (F)

Bookcover うつうつひでお日記 (単行本コミックス) [a]
吾妻 ひでお / 角川書店 / 2006-07-06
出版の当てもなく綴ったという日記マンガ。去年の各種漫画賞を総なめにした話題作「失踪日記」は,原稿をいったん別の会社の編集者に見せて,出版を断られていたのだそうである。コンテクストなしに生原稿をみるとなると,難しいものなのだろう。
Bookcover スミレ 17歳!!(1) (講談社コミックス) [a]
永吉 たける / 講談社 / 2006-02-17
Bookcover スミレ 17歳!!(2) (講談社コミックス) [a]
永吉 たける / 講談社 / 2006-06-16
設定をひとこと聞いただけで,ああそれは面白いかもしれないなあ,と思ってしまう物語があるものだが(ビリー・ワイルダーのコメディはたいていそうですね),そういう類のマンガ。友人に囲まれ明るい学園生活を送る女子高生スミレは,客観的にみれば腹話術の人形であって,その背中には髭面の謎の男が常にぴったりと寄り添っているのだが,周囲はあまりそれを気にしない,という設定。
Bookcover 魁!!クロマティ高校(17)<完> (講談社コミックス) [a]
野中 英次 / 講談社 / 2006-07-14
最終巻。
Bookcover 女子高生 8 新装版 (アクションコミックス) [a]
大島 永遠 / 双葉社 / 2006-07-12

コミックス(-2010) - 読了:07/19まで (C)

2006年7月10日 (月)

Bookcover 日中関係―戦後から新時代へ (岩波新書 新赤版 (1021)) [a]
毛里 和子 / 岩波書店 / 2006-06-20

Bookcover ニヒリズムの宰相小泉純一郎論 (PHP新書) [a]
御厨 貴 / PHP研究所 / 2006-06

Bookcover 子どもを貪り食う世界 [a]
クレール ブリセ / 社会評論社 / 1998-11

Bookcover フラット化する世界(上) [a]
トーマス・フリードマン / 日本経済新聞社 / 2006-05-25
Bookcover フラット化する世界(下) [a]
トーマス・フリードマン / 日本経済新聞社 / 2006-05-25

Bookcover メディアは知識人をどう使ったか―戦後「論壇」の出発 [a]
大井 浩一 / 勁草書房 / 2004-02
興味深い内容なんだけど,なんだか論旨が整理されていなくて空転している箇所があるような気がした。(偉そうだね,おい)

ノンフィクション(-2010) - 読了:07/10 まで (NF)

Bookcover 経営学のフィールド・リサーチ―「現場の達人」の実践的調査手法 [a]
/ 日本経済新聞社 / 2006-01
 なんとなく買い込んで,そのまま机の横に積んでいたのだが,たまたま手にとってめくってみたら,これがまさに巻置く能わざる面白さであった。ここのところ読んだ本のベストワン。もしこの本を修士のころに読んでいたら,人生変わっていたかもしれん。
 法政大で2003年頃に開かれていた,フィールド調査についての研究会の記録らしい。自分の研究の紹介が語り口を生かして文章化されていて,大変読みやすい。スピーカーは,経営学から藤本隆宏,和田充夫(マーケティング。ビジネススクールで使うケースの話),三品和宏(自動車工場のフィールド調査),櫻澤仁。社会学から佐藤郁哉,川喜多喬(産業社会学。細かな産業調査を狂ったように量産している人。話が極端で笑ってしまう)。地域研究から末廣昭(タイの財閥の研究)。
 佐藤郁哉の章を別にして(これは面白いに決まっている),特に面白かったのは,まず藤本隆宏という人の章。研究を次の研究へとつなげていく,その秘訣が語られている。あまりに格好よくて溜息が出てしまう。この先生の本は読んでおいたほうがよさそうだ。
 櫻沢仁という人の章は,製茶業界の奥深くに潜入し,徹底的な参与観察を続けた体験談。一編の小説になりそうな面白さであった。
 いくつか抜き書き:
 「アメリカでは典型的な,厳密にデータ分析をやってひとつひとつの命題を固めていくという方法は,ある意味ではコンピューターのようなモジュラー的なやり方だと思うのです。[...] これに対して,大陸ヨーロッパとか日本の伝統の中には,少し違うタイプのものもあると思います。僕はこれをホログラムのようなものではないかと思っているのです。[...]ひとつひとつは強くない傍証を積み重ねて,全体として強固な命題に至る,という研究戦略です。僕はこの流儀です。[...]自分の中ではフィールド・ワークからしか得られないある種の確信があるわけで,一方においてそういう「確信」を持ている仕事をしたいというのが,学者としての内発的な動機づけとしてあります。[...]統計分析はプレゼンテーションのための副産物だと考えています」(藤本隆宏)
 「誰とはいいませんが,ベンツがどうだ,BMWがどうだなどと書いて,結局は『ブランドは魂だ』なんてことをいう人がいます。それではまったく意味がないのです。もし事例研究をやるのであれば,ひとつのケースを深く深く掘り下げていくということが必要です」(和田充夫)
 「地域研究者の場合,直面する大きな問題というのは,どうやって自分の時間を管理するかです。[...]大学の先生方がよくやる失敗は,八月の夏休みに海外にどっと行かれて,ミカン箱二箱くらいの資料を大量に持って帰る。帰ってきても,集めた資料を読みはしないし,その時間もありません。[...]こういうやりかたは,率直にいって一種の研究搾取だし,紙公害でしかないのです」(末廣昭)
 「製茶問屋の社長のところに行って,『実は恥ずかしながら研究に行き詰まっている』と告げたわけです。[...]『これ以上スーツを着てインタビュー調査や文献研究をやっていても何も出てこない。これではつまらない。申し訳ないけれども,一週間ばかり丁稚奉公をさせてくれないだろうか』とお願いしました。そうしたところ,どちらかというと強面だった相手の社長が満面の笑みを浮かべて『うれしいね,やっとわかってくれたんだね。じゃ,いつから来るかい』」(櫻澤仁)

マーケティング - 読了:07/10 まで (M)

Bookcover さんさん録 (2) (ACTION COMICS) [a]
こうの 史代 / 双葉社 / 2006-06-28
この人はどんどん成長している。この本でも新境地を開いていて,なんとも末恐ろしい。
Bookcover 女子高生 6 新装版 (アクションコミックス) [a]
大島 永遠 / 双葉社 / 2006-01-28
Bookcover 女子高生 7 新装版 (アクションコミックス) [a]
大島 永遠 / 双葉社 / 2006-03-11

コミックス(-2010) - 読了:07/10まで (C)

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