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2007年3月25日 (日)
丁庄の夢―中国エイズ村奇談
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閻 連科 / 河出書房新社 / 2007-01
眠れずにふと手にとって,そのまま引き込まれ一気に読了した。黄河下流の河南省には,村中で売血した末に村中がエイズに罹ってしまった"エイズ村"が散在しているのだそうだ。そんな村のひとつを舞台にした小説。
なんだかガルシア・マルケスみたいだなあと思いながら読んだのだが(実際,この著者は中国のマルケスと呼ばれている由),中国の実情に照らしてどこまでリアルでどこからホラ話なのか,判断がつかないところがもどかしい。ものすごく立派な棺桶に,技巧を凝らした彫刻が施されていて...というあたりまでは,まあ秦俑のお国柄だからなあ,と納得する。最新のAV機器の絵が彫ってあって...というあたりも,まあそういうこともあるのかなあ,と。しかし,死者の足下には高層ビルが彫ってあり,その天辺には「中国人民銀行」と書いてある...というあたりになると,いくらなんでもそれはないだろうと思う次第である。私の判断は当たっているでしょうか? ひょっとしたら中国では棺桶に銀行の絵を描いたりするものなのか?
などなど,いろいろ感想があって書ききれない。大変読みでのある小説であった。
フィクション - 読了:03/25まで (F)