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2009年1月12日 (月)
今年の非常勤講義がようやく終わった。幸い受講者の学生さんにも恵まれて,苦労しがいがあったなあ,という実感がある。みなさん,ありがとうございました。
民間企業に勤めるようになってはや4年目,思うところあって,今年はカリキュラムの1/4程度を購買行動研究に割り振った。以前から関心を持っていた分野ではあったし,講義の流れからいっても自然なのだが,ここまで時間を割くのは初めてである。本と論文をかき集めての付け焼き刃的猛勉強,いや猛というのもおこがましいけど,とにかく準備が大変だった。そんな講義につきあわされた学生さんにも申し訳ないことだが,評判も悪くなかったようだし,どうか勘弁してください。
講義の無事の終了を祝い,かき集めた消費者行動論のテキストをまとめておこう。誰かが血迷ってクリックして買ってくれるかもしれないし。
Consumer Behaviour [a]
Roger D. Blackwell, James F. Engel, Paul W. Miniard / 2005-12-29
かのEngel-Blackwell-Miniardモデルの原典,ただいま10th edition。 英語圏の学部レベルの教科書を5冊ほどかき集め,並べてめくってみたのだが,一番有益だったのがこの本だった(次点はSolomonの8th edition)。構成が良いし,事例が豊富で,図表もわかりやすい。
消費者理解のための心理学
[a]
/ 福村出版 / 1997-06
心理学畑の人が書いた日本語のテキストでは,残念ながら97年刊のこの本がいまだにベストだと思った。なぜこういう教科書がもっと出てこないのか,きっとニーズがないんだろうなあ。
消費者行動論体系
[a]
田中 洋 / 中央経済社 / 2008-09-26
経営系の人が書いた消費者行動論の日本語テキストは案外たくさんあるのだが,どれも癖が強すぎて困った。ずいぶん本代を無駄遣いしたような気がする。包括性という点で使い物になったのは,云っちゃなんだがこの本だけだった。干天の慈雨という感じでした。
新しい消費者行動
[a]
清水 聡 / 千倉書房 / 1999-05
消費者視点の小売戦略
[a]
清水 聡 / 千倉書房 / 2004-04
戦略的消費者行動論
[a]
清水 聰 / 千倉書房 / 2006-04
素人目には,消費者行動論の基礎研究とマーケティングには相当なギャップがあるように感じられる。そのギャップにうまく橋を架け,ああこれは心理学をほんとに実務に適用していると納得できたのは,集めた日本語文献の範囲ではこの清水先生の本だけであった。実務家でも心理学者でもだめ,マーケティングの研究者じゃないとできない仕事である。正直いって,わざわざ大学院でマーケティングを研究しようと思う院生の気持ちが俺にはよくわからないんだけど,この三冊に限っては,ああなるほど,そりゃ研究したくなるかもね,という感想であった。
Handbook of Consumer Psychology [a]
Curtis P. Haugtvedt, Paul M. Herr, Frank R. Kardes / 2008-4-30
広辞苑より分厚いハンドブック。入手が遅れて講義準備には間に合わなかったのだが,この本は役に立ちそうだ。非常に広範なトピックにわたって,かなり突っ込んだ解説がなされている模様。なぜかamazon.comでは$70で売られている。信じられない安さだ。
雑記:心理 - 消費者行動論の教科書