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2009年12月21日 (月)
アメリカ言語哲学入門 (ちくま学芸文庫)
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冨田 恭彦 / 筑摩書房 / 2007-05
題名とは異なり,著者の論文10編を集めた本。
前半6編は,サールとクワインを中心にした概観。サールとクワインは以前に一生懸命読んだことがあるので,懐かしく振り返るような気分で読んだ。デイヴィドソンが出てくるあたりからわけわかんなくなるのも昔どおりで,それはそれで懐かしい。
後半は。。。現代の分析哲学からみたイギリス経験論,とか。。。ローティのロック解釈には問題がある,とか。。。これ絶対「入門」じゃないよ先生!
リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する (光文社新書)
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中原 淳,金井 壽宏 / 光文社 / 2009-10-16
有名な経営学の先生と,教育学出身の若い研究者が対話する形式の本。
題名の「リフレクティブ・マネージャー」とは,成人の成長のためには実践を通した内省が重要だ,という主張を表しているのだが,この元ネタ(?)はショーンという経営学研究者の唱えたreflections in actionという概念らしい。組織学習で有名なアージリスという学者がいるけど,ショーンはその共同研究者でもあった。で,reflection in actionとは,状況の分析と状況への対応を同時に実行し,アドホックな理論を即興的に構築していくことを指していて,デザイナーや医師といった専門家に特徴的な振る舞いだそうだ。この指摘は経営学だけでなく,それまで静態的なスキル獲得を重視していた教師教育の分野にも大きな影響をもたらし,「ショーン・ショック」と呼ばれたそうだ。へー。
検疫官 ウイルスを水際で食い止める女医の物語 (角川文庫)
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小林 照幸 / 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2009-11-25
途上国での医療活動を経て,仙台検疫所所長,仙台市副市長を務めたスーパーウーマン・岩崎惠美子さんの活躍を描いたノンフィクション。題材の面白さで一気に読み終えたが,ノンフィクション作品としてはちょっと冗漫な感じ。
いま調べたら,岩崎さんはその後仙台市長選に出て落選している由。
堕落する高級ブランド
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ダナ・トーマス / 講談社 / 2009-05-13
原題"Deluxe: How luxuary lost its luster". 高級ブランドビジネスの変容を暴くノンフィクション,なのだが。。。読み終えてつくづく思うに,俺にとっては,もうほんとに,心底どうでもいい内容であった。いいじゃないですか,どんどんlusterを失えば。
ブラジルでは,高級ブランドはいまだ輝きを失っていない。サンパウロには富裕層向けの巨大な高級ファッションショップがあって,そこでは世界中の高級ブランドの特別な最高級品が手にはいる。売り場と売り場はシャンパン色の厚いカーペットが敷かれたサロンでつながれ,あちこちに蘭の花が飾られている。美しいセールスガールたちは上流階級の娘で,彼女たち自身も社交界に属している。チャペル,披露宴会場,旅行代理店,外車ディーラー,高級住宅専門の不動産屋,レストラン,スパ,保育園もある。このショッピングセンターの入口にたどり着くまでには,セキュリティを2回通過しなければならない。。。この豪華な店舗の外に広がっているのは,10%の富裕層が総所得の半分を独占する超格差社会なのだ。こうしてみると,高級ブランドがどう堕落しようが,大した問題ではないと思う次第である。
ノンフィクション(-2010) - 読了:12/20まで (NF)