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2010年7月21日 (水)

Bookcover 夢の泪 [a]
井上 ひさし / 新潮社 / 2004-07-17
東京裁判三部作の第二作。松岡洋右の弁護人となった弁護士夫婦の奮闘を描く。ラストシーンは戦後の復興景気を背景にしたハッピーエンドだが,本質的な問題はなんら解決していないところ,苦いエンディングである。

フィクション - 読了:「夢の泪」

Bookcover エセー〈3〉 [a]
ミシェル・ド モンテーニュ / 白水社 / 2008-03
ながらく鞄のポケットに差し込んで,気分転換用にちびちびめくっていたのだが,このたび4巻が刊行されたのを機に,残りの章を一気に読みおえた。もし組み立てがしっかりしている文章をもって良い文章と呼ぶならば(常識的にはそうですよね),このフランス貴族の文章は,もうどうしようもないレベルである。「父親が子供に寄せる愛情について」という章なんて,子育ての話をしていたと思いきや,突然著者と作品のあいだの関係の話に移り,落ちもまとめもないままに終わってしまう。モンテーニュさんの話の流れはくねくねと蛇行し,いったいどこに進むのか見当もつかない。これが妙に面白いのである。昼休みにコーヒー飲んでいるときなどは特に。

Bookcover 勝者の代償―ニューエコノミーの深淵と未来 [a]
ロバート・B. ライシュ / 東洋経済新報社 / 2002-07
著者はアメリカのリベラル派の論客。ずいぶん前にほとんど読み終えていて,最後の章だけ残っていた。
 高度情報化社会が生んだ過酷なグローバル資本主義と,その反動たるネオ・ラッダイト的な閉鎖主義とのあいだでバランスを取っていくためには,共同性の再構築に基づく社会的選択が必要だ,というような趣旨であった。失業保険を収入保険に置き換えるとか,貧困層への住宅支援バウチャーで地域格差を減らすとか。

Bookcover お風呂の歴史 (文庫クセジュ) [a]
ドミニック・ラティ / 白水社 / 2006-02-15
ヨーロッパのお風呂の歴史について述べた本。お風呂の中で読むには最適であった。ギリシャ・ローマ時代はもちろん,中世においても入浴はさかんに行われていたのだが,ルネサンスとともにお風呂の暗黒時代が訪れるのだそうだ。ふーん。

Bookcover 限界集落 [a]
曽根 英二 / 日本経済新聞出版社 / 2010-04-23
テレビ記者による,岡山の過疎集落の長期密着ドキュメント。

ノンフィクション(-2010) - 読了:「エセー 3」ほか

Bookcover あしなり(1) ~漫画家アシスタントで成金になれるか!?~ (バンブーコミックス WIN SELECTION) [a]
葛西 りいち / 竹書房 / 2010-06-26
著者はアシスタント生活を綴ったブログで人気を呼んだ人。いまや連載を四本も持っているらしい。この本は,中堅どころのマンガ家の仕事場を取材するという趣旨のエッセイマンガであった。

コミックス(-2010) - 読了:「あしなり」

2010年7月16日 (金)

Bookcover 夢の痂 [a]
井上 ひさし / 集英社 / 2007-01-06
東京裁判を題材にした三部作の第三作。戦後の東北の田舎町で,東北巡幸を迎えることになった旧家の人々が,粗相の無いようにと念入りな予行演習をする。天皇役に扮した元陸軍大佐は,天皇をあまりに敬愛し,敗戦をあまりに深く受け止めるが故に,思わず天皇として戦争責任を認め,退位を宣言してしまうのであった。

Bookcover 編集室 (白水uブックス―海外小説の誘惑) [a]
ロジェ グルニエ / 白水社 / 2002-08
大昔に買って本棚に眠っていた本。ふと思いついて読んでみた。ジャーナリスト出身の作家による,面白いような,そうでもないような,奇妙な印象の短編集であった。

フィクション - 読了:「夢の痂」ほか

Bookcover 日本政治思想史―十七~十九世紀 [a]
渡辺 浩 / 東京大学出版会 / 2010-03
意外や意外,最近読んだ本のなかでベストワンの超面白本。書名から受ける堅い印象とは異なり,碩学による歴史エッセイというべきフォーマットである。内容をメモしている時間がないが,儒学から中江兆民まで,江戸・明治期の多様な知的挑戦を生き生きと描き出す,そのあまりの面白さに一気読みしてしまった。アクチュアルかつエキサイティング。ホンモノの学者はちがう。

日本近現代史 - 読了:「日本政治思想史」

Bookcover 無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和 (平凡社ライブラリー (150)) [a]
網野 善彦 / 平凡社 / 1996-06
歴史学の名著として誉れ高い本だが,網野先生一世一代の大勝負!という熱さが伝わってくる内容で,学術書としてはいささか型破りかもしれない。とても面白かった。よく理解できてもいないのに無責任に面白がることができるのは,門外漢の特権でありましょう。

Bookcover 不屈のために 階層・監視社会をめぐるキーワード (ちくま文庫) [a]
斎藤 貴男 / 筑摩書房 / 2005-06-08
先日の東京国際ブックフェアで購入。例年大盛況の筑摩書房ブースで,半額本として処分されていた。。。

ノンフィクション(-2010) - 読了:「無縁・公界・楽」ほか

このつまらない人生にもささやかな波風はあるもので,忙しすぎたり完徹したり体調を崩したりやる気を無くしてしまったり。。。なんだかんだで,読むものといえばマンガばかり。あーあ。

Bookcover ベントラーベントラー(3) (アフタヌーンKC) [a]
野村 亮馬 / 講談社 / 2010-05-21
暢気なコメディの形をとったハードSF。最終話,主人公はある意味で死んでしまうのだけど,それでもなんだか心温まる終わり方であるところが良いと思った。

Bookcover 世界最後の日々 [a]
山本 直樹 / イースト・プレス / 2010-07-08
著者自選集。ほとんど既読であった。

Bookcover 刻刻(1) (モーニング KC) [a]
堀尾 省太 / 講談社 / 2009-08-21
Bookcover 刻刻(2) (モーニング KC) [a]
堀尾 省太 / 講談社 / 2009-08-21
SFホラー。なかなか面白い。講談社のマイナー誌に連載がはじまったときに気になっていたのだが,単行本化されていたのに気づいていなかった。

Bookcover 午前3時の無法地帯 3 (Feelコミックス) [a]
ねむ ようこ / 祥伝社 / 2009-09-08
零細企業で働く若い娘の恋愛譚。

Bookcover ペンとチョコレート 1 (まんがタイムコミックス) [a]
ねむ ようこ / 芳文社 / 2009-09-08
Bookcover ペンとチョコレート 2 (まんがタイムコミックス) [a]
ねむ ようこ / 芳文社 / 2010-06-07
これがたぶん著者第二作。売れないマンガ家が担当編集者に恋をして云々という,いかにもつまらなそうな内容だが,これが案外面白い。恋愛マンガというより,安野モヨコ「働きマン」と同種の仕事マンガとして捉えたほうがいいのかも。

Bookcover 嫁姑の拳 3 (秋田レディースコミックスデラックス) [a]
函岬 誉 / 秋田書店 / 2010-05-28

Bookcover 野性のじかん (バンブー・コミックス) [a]
カラスヤサトシ / 竹書房 / 2010-06-26

Bookcover 俺はまだ本気出してないだけ 4 (IKKI COMIX) [a]
青野 春秋 / 小学館 / 2010-06-30

Bookcover たまりば 1巻 (ビームコミックス) (BEAM COMIX) [a]
しおや てるこ / エンターブレイン / 2010-06-26

Bookcover もやしもん(9) (イブニングKC) [a]
石川 雅之 / 講談社 / 2010-07-06

Bookcover 岳 12 (ビッグコミックス) [a]
石塚 真一 / 小学館 / 2010-06-30

コミックス(-2010) - 読了:「ベントラー ベントラー 3」ほか

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