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2010年9月20日 (月)

Bookcover 音もなく少女は (文春文庫) [a]
ボストン テラン / 文藝春秋 / 2010-08-04
著者ボストン・テランはノンストップ系アクション「神は銃弾」で評判になった人。俺も読んだけど,読んでいるあいだ面白かったという記憶しかない。
 この小説は第4作,NY・ブロンクスを舞台に,三人の女たちの三十年を静かに描いた佳編であった。解説で北上次郎さんが誉めているとおり,胸に残る良い小説である。

Bookcover 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838) [a]
デイヴィッド・ベニオフ / 早川書房 / 2010-08-06
青春小説「25時」でデビューしたD.ベニオフの最新作。この人,いまでは売れっ子脚本家であることのこと。この小説も,レニングラード包囲戦という暗鬱な舞台にもかかわらず,ちょっとファンタジックでさわやかな冒険小説になっているあたり,さすがである。

Bookcover 悪の教典 上 [a]
貴志 祐介 / 文藝春秋 / 2010-07-29
Bookcover 悪の教典 下 [a]
貴志 祐介 / 文藝春秋 / 2010-07-29
生徒や同僚の信頼厚い好青年だが,実は他者への共感能力を欠く異常者であるところの高校教師を主人公にしたホラー小説。後半は校内を血に染める大虐殺となる。読ませる小説ではあるけれど。。。好みが別れるところであろう。俺自身は,途中から一種のブラック・ユーモア小説として頁をめくっていたのだけれど,そういう捉え方で良かったのかどうかよくわからない。
 それにしても,高校生同士の会話場面になると,なんだか急にふわふわ宙に浮いたような文章になってしまうのは,いったいなぜなんですかね。これはもうライト・ノベルとして捉えるべきなのか。それとも,高校生についての俺のスキーマのほうに問題があって,他の読者にとってはリアリティある描写なのか。よくわからんなあ。

フィクション - 読了:「音もなく少女は」ほか

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