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2011年6月15日 (水)

Strauss, M.E., Smith, G.T. (2009) Construct validity: Advances in theory and methodology. Annual Review of Clinical Psychology, 5, 1-25.
 測定の妥当性についての最近の展開を知りたくて読んだレビュー。なにか資料を探していて、clinical psychology関係の雑誌の論文をみつけると、やったあ、って思いますね。概して数学が苦手な臨床心理学関係者向けに、親切な書き方になっていることが多いように思うもので。。。すみません、失礼をお許しください。
 妥当性研究の歴史のあたりについてメモ:

どうやら、構成概念妥当性を「ザ・妥当性」として包括的に捉える考え方は、すでに50年代からあったらしい。では、よく本に載っている「妥当性には基準関連妥当性と内容的妥当性と構成概念妥当性があります」という話はどこからやってきたのだろうか。あれこそAPAの基準が典拠だと思うのだが。よくわからんなあ。
 ほかに面白かった話:


 最近折にふれて、前の勤務先(市場調査の会社)で働きはじめた5年前のことを思い出す。市場調査のことなんてもちろん全然知らなかったから、いろいろ戸惑うことが多かったものだ。そのころ面食らったことのひとつに、たとえば集計値の信頼区間の話をしているときに、まあ「買いたい」と答えた人が必ず買うとも限らないんだから、購入意向の信頼区間なんて考えたってねえ... などという話を始める人がいる、ということだった。いやいや、犬は犬で猫は猫、信頼性は信頼性で妥当性は妥当性でしょう、ちがう話をごっちゃにする人に明日はないですよ、と思わず憤ったわけだが、長年この仕事をしていた人でさえそうだということは、この混乱にもなにかしら俺の知らない背景と意義があるはずだし、第一、ちがう話をきちんと分けたからといって、俺に輝かしい明日が開けるわけでもない。
 まあそれはともかく、そのとき思ったのは、どうやらこの業界では測定の信頼性と妥当性をあまり区別していない人が多いようだ、ということだったのだが、それがなぜなのかが不思議であった。というのは、そのまた前のご奉公先(教育産業)で会った人々のことを思い出すと、データ解析についてのトレーニングなど受けていなくても、この手の話には理解が速く的確であったように思うからだ。いまにして思えば、主に集団レベルの特性に関心を持つ消費者調査の関係者と、たとえ集計値をみていても本質的には個々人に関心を持つ教育関係者の違いかもしれない。

論文:データ解析(-2014) - 読了:Strauss & Smith (2009) 構成概念妥当性レビュー

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