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2011年12月 2日 (金)
ただいま 「なんであれ読んだものは記録」 強化期間中につき,論文のメモを二件。すぐに飽きるような気がしてきたが。
土田尚弘(2010)「マーケティング・サイエンスにおける離散選択モデルの展望」, 経営と制度, 8, 63-91.
掲載誌は首都大の経営学専攻の紀要。著者は朝野先生のお弟子さんだと思う。こういうレビュー論文、ほんっとに、ものすごく助かります。ありがたや、ありがたや。
選択モデルの誤差項に相関を許すかどうかと、そのモデルがIIA特性を持たないかどうかは同じではない由。知らなかったー。
Temme, D., Paulssen, M., Dannewald, T. (2008) Incorporating latent variables into discrete choice models: A simultaneous estimation approach using SEM software. BuR – Business Research, 1, 220-237.
できれば新しいことは勉強したくないわけですよ! いまさら何を学んだってどうなるものでもないんだから! 手早く済ませて酒でも飲みたいのですよ! という心の叫びに従って読んだ論文。あれもこれも全部Mplusだけで済ませることができたら助かるなあと思って。掲載誌はドイツのオープンアクセス誌で、どういう位置づけの雑誌なのかわからない。
個人属性を表す潜在変数を効用の説明変数にした離散選択モデルをMplusでつくったよ、という内容。Mplusは名義尺度の従属変数をそのまま扱えるから、まあそりゃできるでしょうね、という話ではある。事例は交通手段の選択で、中身には全然関心ないので飛ばし読み。好きな乗り物に乗らせとけばいいじゃないですか。
要するにSEMと多項ロジットモデルを合わせましたという話であって、てっきり有限混合分布が出てきたりIIA特性の緩和の話が出てくるのかと思っていたのだが、その実例は結局出てこなかった。がっくり。ま、スクリプトが載っていたから、いずれなにか助かることがないとも限らない。
論文の趣旨からはちょっと離れるが... 離散選択モデルのマーケティング分野での適用としては、コンジョイント分析とスキャンデータの分析が思い浮かぶが、前者の場合はたいてい、まずは選択データで個人レベルの部分効用を求めましょう、しかるのちにそれと個人属性との関係を調べましょう、という風に考えると思う。選択モデルに個人属性を埋め込んで同時推定したほうが洒落てるじゃんと思い、実際それに近いことを周囲に提案したこともあるのだが、そんなんワケワカランからやだ、という反応であった。ま、その気持ちもわかる。そんなこんなで、そもそも同時推定を誰がいつ必要としているのか、という点についても考える必要があると思う。
いま調べたら、第一著者は前に読んだ順序尺度指標の測定不変性についての論文の著者でもあった... どうもお世話になってます。
論文:データ解析(-2014) - 読了:土田(2010)「MSにおける離散選択モデルの展望」; Temme, et.al. (2008) 「潜在変数入りの離散選択モデルをSEMのソフトで同時推定」