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2011年12月 5日 (月)
Boztug, Y., Hildebrandt, L. (2005) A market basket analysis conducted with a multivariate logit model. SFB 649 Discussion Paper, 2005-028. Humboldt-Universitat zu Berlin.
仕事のことなのであまり具体的には書けないが,ここしばらく延々と頭を抱え続けていた問題があって,いっくら探しても文献が見つからず,途方に暮れていたのである。abstractがそれらしい論文をみつけては驚喜して入手,中身を読んでは意気消沈,の繰り返しであった。ついに,ようやく,探している話にかなり近い話を見つけることができた(要するに探し方が悪かったのである)。薄ーい内容の論文だが,とにかく手がかりを見つけたという点が嬉しい。
「複数カテゴリからの任意個の商品選択」を説明する数理モデル。意外なことに,あまりややこしいことは考えず,基本的には各商品の購買有無を従属変数にとった多変量ロジットモデルをつくってしまうアプローチである(そんなんでいいんすか,と拍子抜け)。ただし独立変数として,世帯変数とマーケティングミクス変数のほかに,併買商品数(バスケットのサイズ),ならびに他カテゴリ商品の購買有無を入れ込む。えーと,逐次モデルにはならないんだけど,同時推定できるみたいですね。
バスケットのサイズは購買行動の所与の性質であるという側面と,個々のカテゴリについてのマーケティングミクスの結果という側面もあると思うので,このように外生的に扱って良いのか,俺にはどうもよくわからないんですが。多変量ロジットだなんて親しみが持てる手法じゃなくて,もっと小難しい感じの手法があるような気もするんですが(著者は今後の課題として一般化加法モデルの適用を挙げている)。いやいやそんなことより,消費者の異質性をモデルに入れないことには,ちょっと商売にならないんですが。。。などなど,いろいろ思うところあるが,とにかく先行研究をまとめて,論文の形にして,俺のような素人に見つけさせてくれたことに大感謝。
論文:マーケティング - 読了: Boztug & Hildebrandt (2005) 多変量ロジットモデルでバスケット分析