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2011年12月27日 (火)
Armstrong, J.S. (2012) Illustions in regression analysis. International Journal of Forecasting, forthcoming.
著者はマーケティングの予測手法研究の偉い人。この論文は先日読んだ Soyer & Hogarth へのコメンタリーで、昔話と冗談を交えたうんちく話という感じ。
面白かったところをメモ:
- とにかく先生は、変数選択はデータに基づかずアプリオリにやんなさい、と強調しておられる。ステップワイズ変数選択はもちろん、モデル比較もデータマイニング手法ももってのほか。さらには、回帰式に3つ以上変数をいれてはいけません、とのこと。ううむ。
- 回帰分析による予測の正確性の過信につながる幻想として、先生は次の5つを挙げている:複雑さの幻想(複雑なほうがよいわけではない)、回帰モデルがあれば十分だという幻想(複数の手法を併用すべきだ)、回帰が最良線形不偏推定量を与えるという幻想、統計的統制という幻想、「適合しているモデルは正確だ」幻想。
- 意思決定における回帰分析の利用につきまとう幻想として、先生は2つ挙げておられる: 統計的有意性の幻想("One might also ask if there is a study wherein statistical significance improves decision-making" とのこと。そうかもね)、相関を因果性と取り違えてしまう根強い幻想。
先生が推薦するところの、事前知識をフル活用したアプリオリな手法として、index method というのが紹介されているのだけれど、説明が短くてよくわからなかった。Armstrong & Graefe (2011, J. Business Res.)がreferされているが、先生はやたらに著作の多い方らしいから、きっと他のにも書いてあるだろう。
論文:データ解析(-2014) - 読了: Armstrong(2012) 回帰分析にまつわる幻想