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2012年1月 3日 (火)
レーガン - いかにして「アメリカの偶像」となったか (中公新書)
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村田 晃嗣 / 中央公論新社 / 2011-11-24
64年生まれの政治学者によるレーガンの評伝。面白くてつい一気に読んでしまった。
印象深いくだりをメモ:
- レーガンは父の放浪に従って幼少期から転居を繰り返した。成人して俳優となると,華やかなハリウッドにおいて中西部の純朴な青年だけをひたすら演じることになる。共和党保守派にあって元民主党員。政界にあって元映画俳優。レーガンは「常に所属社会の『よそ者』であり続けた」
- 「通常,保守派は歴史に社会の統合作用を求める。しかし,共通の記憶としての歴史が浅いだけに,共有できる希望としての未来に統合作用を求めるのが,アメリカの保守派の特徴である。大衆文化を熟知した『幸福な戦士』,『救済ファンタジー』に駆られたレーガンこそ,保守派の糾合そして過去と未来の架橋に適任であった。その意味で,レーガンは政治的タイムマシーンであった」
- (ある人の人生を後から振り返っていくつかのキーワードで整理しようとするのは,危険なことだとは思うのだけれど,) 著者いわく,レーガンの人生には特有の受動性と責任転嫁がある。最初の結婚の破綻についてレーガンいわく「妻に離婚された」。民主党から共和党に移ったのは,自分ではなく民主党の主張が転向したから。映画「カサブランカ」の主役として名前を挙げられていたのに結局出演できなかった,その理由を大統領時代に問われていわく「そうなんだ,イングリット・バーグマンに役を取られてね」 (先生,それはただの冗談だと思いますが)。確かに,本質的なところで受け身なのだけれど,人生の物語化にすごく長けていて,その物語化の力で人を巻き込んでいく人っていますね。そういう人だったのだろうか。
ノンフィクション(2011-) - 読了:「レーガン」