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2012年10月24日 (水)
Myers, J.H., Alpert, M.I. (1977) Semantic Confusion in Attitude Research: Salience Vs. Importance Vs. Determinance, Advances in Consumer Research, 4, 106-110.
Van Ittersumらの重要性指標研究レビューで、ある属性が重要であるという概念がsalience,relevance,determinanceに分類されていたが、その典拠として引用されていた論文(ただし、relevanceはここではimportanceと呼ばれている)。これ、カンファレンスのproceedingsらしく、webに全文がHTMLで掲載されていた。ざっと目を通したのだが、画面上ではやっぱり読みづらい。
気になったところをメモ。3つの概念の定義の歴史について。
- salienceの最初期の定義は、 Krech & Crutchfield (1948)の社会心理学の教科書。Fishbein(1971)にも登場する。操作的には、自由想起の順序のこと。
- importanceは、もともとあいまいな概念。通常は直接評定で調べる(って書いてある...)。Fishbein/Rosenberg流の多属性態度モデルを修正し、この重要度指標を適用しよう、という試みが多い(Wilkie & Pessemier, 1973, JMR というのが引用してある)。
- determinanceは著者らがMyers&Alpert(1968)で定義した概念。
Alpert(1971, JMR)はdeterminanceをこう定義しているのだそうだ。ある属性について、
(determinance) = (stated importance) x (perceived differences among products)
概念の定義に"stated"という操作的な特徴づけが含まれているところが気持ち悪いけど、言いたいことはよくわかる。上のdifferencesというのは、ある閾値を超えた差異が存在するかどうかとして解する見方(thresholdモデル)と、分散そのものだと解する見方(parametric model)がある由だが、後者はまさにAchenのいうdispersion importanceだ。
論文後半は手法間比較研究のレビュー。昔の話なのであまり関心が持てず、流し読み。どうでもいい感想だけど、この頃にUSで態度調査の手法開発をしていた人は(Johnsonさんとか)、きっと楽しかっただろうなあ。フロンティアという感じで。
論文:調査方法論 - 読了:Myers & Alpert (1977) 重要性という概念の曖昧さ