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2013年3月13日 (水)
Lasen, A. (2005) Understanding mobile phone users and usage. Wireless Future Studies, No.4. Vodafone Group R&D.
イギリスのSurrey大学というところに、Vodafoneが金を出しているDigital World Research Centreというのがあって、そこに属していた研究者によるモノグラフ。固定電話網と携帯電話網の社会的形成の歴史的比較、ロンドン・マドリード・パリの携帯電話使用の比較、デジタル機器と感情、の3部構成。全部で200頁近いので、第3部だけめくった。
社会学系の研究者が書いたこういう文章って、実証と思弁をわざと複雑に混在させているような気がして、どうにも苦手なんだけど、まあそれは私の側の問題である。
ユーザと携帯電話との感情的関係の発現として、著者は以下を列挙している。
- mobile phones receive the emotional value of the exchanges and relationships carried out and sustained through them
- mobile phones permits the renegotiation of the norms governing social/emotional relationships and the display of emotions in public contexts
- mobile phones influence the body language of users
- mobile phones as a technology of intimacy. 携帯でのテレフォン・セックスとか、ポルノとかの話。
- mobile phones receive a range of meanings linked to identity, sexuality and desire.
- the content stored in the phone as social capital. 電話帳とかのことね。
- mobile phones make the owners think that there are third parties present even then they are not using it.
- mobile phones are embedded in users' daily lives. あまりに大事なので、携帯電話を失くすのが怖くてあえて持ち歩かない人もいるほどだ (という例、この分野の第一人者であるらしいJane Vincentさんが良く引き合いに出す事例だけど、ほんとにそういうことあるのかしらん...身の周りでは聞いたことないけど...)
後半は「未来のaffective mobile phoneはこうなる」というような話になっちゃったので斜め読みで済ませたが、それはそれで面白かった。
論文:マーケティング - 読了:Lasen (2005) 携帯電話ユーザを理解する