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2014年6月21日 (土)
芳賀麻誉美(2005) 調査は製品開発に役立つか? 3-step researchによる統合的製品開発. マーケティング・ジャーナル, 98, 48-69.
ずっと前に読んでいたのだけど、このたび仕事の都合で再読。著者は市場調査分野では知らない人のいないアクティブな研究者である。
著者いわく、製品開発に役立つリサーチが行われない理由は:
- どの場面でどんな手法を使うのかという経験や知識が欠けている
- MRへの期待が高くない
- 製品開発に関わる人の立場がばらばら(強力なブランド・マネージャーの不在)
で、3-step researchというフレームワークの提案。製品開発のためのリサーチを、質的発見のステップ、消費者の評価構造を探索し市場を把握するステップ、効果を確認するステップにわけて考える。調査手法のカタログをつくるんじゃなくて、まず製品開発の一般的プロセスを考え、フェイズを特定し、各フェイズにツールをテンタティブにくっつけていく考え方で、グローバル消費財メーカーさんが整備しているプロトコルに近い。
最初のステップで紹介されている手法は評価グリッドとテキストマイニング。次のステップは、いわゆるU&A調査とベンチマーク調査にあたるものだと思う。3番目のステップはいわゆるアセスメント・テストなんだけど、単なるgo/no-goゲートウェイの役割だけじゃなくて、2番目のステップで同定した消費者の評価構造を使った選好シミュレーションまでをスコープとする。
後半は実例の紹介。前に読んだときも思ったんだけど、これ、ほんとに勉強になります。
最初のステップの実例で、ラダリングで得た評価構造を図にしたり、QFDでいうところの品質表に整理したり、消費者言語の辞書にしたりグラフにしたりしている例を紹介しているのだけれど、共通部分を抜き出すことだけでなく、数名しか挙げていない評価項目を把握することも大事である、という説明がある。そうだ、まさにそこんところが課題なのだ...
※発行年が誤っていたので修正しました。失礼しました!
論文:マーケティング - 読了:芳賀(2005) 製品開発のための 3-step research