elsur.jpn.org >

« 読了: 「Rによる時系列分析入門」 | メイン | 統計学者のみなさん、記法は統一してもらえないかしら (状態空間モデルの巻) »

2014年9月23日 (火)

Commandeur, J.J.F., Koopman, S.J., Ooms, M. (2011) Statistical Software for State Space Methods. Journal of Statistical Software, 41(1).
 JSSのこの号は状態空間モデル特集号だったようで、その巻頭論文。著者があのコマンダー&クープマンであることに気づき(翻訳書が出ている)、いちおう目を通そうかと...。
 仕事の役には立たないけれど、歴史の話って、ちょっと面白いんですよね。ええと、状態空間モデルはもともと制御工学に由来しており、その発想は1960年のカルマンの論文までさかのぼり、1969年のアポロ11号の月着陸の際にも役に立ったそうです。いっぽう、時系列分析一般に広く適用されるようになったのは1980年代になってから、とのこと(ちなみにBox-Jenkinsモデルは1976年)。古いんだか新しいんだか。

 2節は状態空間モデルの一般的解説。せっかくご説明いただいているので、ちょっとメモをとっておくと... まず、線形ガウシアンの状態空間モデルを一般的形式で示す。それから以下の特殊ケースを紹介: ローカルレベルモデル, ローカル線形トレンドモデル, 季節ダミー要素の導入, 周期性要素の導入。で、説明変数・媒介変数の導入。構造的アプローチへの展開 (いろんな観察不能要素についてそれぞれの説明モデルを組んで合体させる)。多変量時系列への展開(SURモデルとか)。いやー、教科書何章分もの内容を一気に説明されても...

 3節は推定の話。前向きパス(カルマンフィルタ)と後ろ向きパス(状態平滑化と攪乱項平滑化)、とかなんとか... 4節はARIMA要素モデル。5節は非ガウシアン。すいません、後日きちんと勉強しますので、今日のところはお見逃しください。
 
 で、ようやく本題。状態空間モデルのためのソフトウェアの星取り表。多変量モデル(MM)、正確な初期化(exact initialization, EI), 多変量時系列の単変量的扱い(UTMTS)、非線形非ガウシアンモデル(NLNGM)について扱えるかどうかを、以下の14のソフトについて整理。名前を聞いたこともないのもあって、へー、という感じ。全部メモしておくと(一部リンク付き):

で、本特集号の各論文の構成。各論文はそれぞれに特定のソフトを解説しているのだが、著者らにそれぞれのソフトで同一のデータを分析してもらったそうだ。へー。

論文:データ解析(-2014) - 読了:Commandeur, Koopman, & Ooms (2011) 状態空間モデルのためのソフトウェア

rebuilt: 2020年11月16日 22:57
validate this page