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2015年6月17日 (水)
神山進(1999) 性の商品化と商品価値:ジェンダーを焦点にして. 彦根論叢, 317, 153-175.
ちょっと用事があって目を通した資料のひとつ。
著者いわく、「男性の女性化、女性の男性化によって生み出される性アンドロジニィ(両性タイプ)や性未分化タイプの増加は、伝統的でステレオタイプ化されたジェンダー・カテゴリーからの個人の解放の現れである。また消費が受動的な欲求充足過程であるよりは能動的な自己構築過程であるという傾向も、伝統的なジェンダー・カテゴリーからの解放を促している」とのこと。この引用部分に限らず、けっこう楽観的に捉えておられるところが興味深い。あとで触れている、「自由を手にしたあとで、市場において再度構築された"理想的な"性のイメージに振り回され、逆に人々がジェンダーに強く統制され[...] 自分自身までも商品として消費する」という危険性のほうがまさにリアルな問題だという気がするんだけど。現時点ではどのようにお考えかしらん。
引用文献をメモ:
- ジェンダー・アイデンティティ(gender identity, gender self-concept, sex role identity) と商品選択:Fly(1971 JMR), Vitz & Johnson, 1965 J.App.Psych.), Gentry, et al.(1978 ACR), Stern(1988, Psych.Mktg.), Jaffe & Berger (1988 Psych.Mktg.), Worth et al. (1992 Psych.Mktg.), Gainer(1993, Psych.Mktg.)
- 製品のジェンダー帰属(サンダルは女性らしい、というようなの): Allison, et al (1980 ACR)
論文:マーケティング - 読了:神山(1999) 性の商品化と商品価値