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2015年8月 4日 (火)

Asparouhov, T., Muthen, B., Morin, A.J.S. (2015) Bayesian Structural Equation Modeling with Cross-Loadings and Residual Covariances: Comments on Stromeyer et al. Journal of Management, 41, 1561-1577.
 Muthen & Asparouhov (2012)が提唱したベイジアンSEM(BSEM)に対するStromeyerらの批判論文に、Muthen一家がさっそく反論。Stromeyerらの主張である「確認的因子分析で小さな交差負荷を推定するのは避けろ」「独自因子の共分散を片っ端から推定するのはやめろ」に猛攻撃を加える。さあ歯を食いしばれ!

 交差負荷について。
 まず、彼らの「小さな交差負荷はモデル化するな」という主張はBSEMそのものへの批判にはなってない点に注意。[←そうそう、そうですよね]
 さて、我々はこの主張に賛成しない。どの項目も有意味な情報とノイズの両方を含む。小さな交差負荷の項目だって有意味な情報を持っている。モデルはそれを明示すべきだ。サーストンのいう単純構造とは構成概念の評価を明確にするための原則であって、解が有意味かどうかを決めるガイドラインではない。
  交差負荷をゼロに固定すると共通因子の共分散がインフレを起こす。そんなのたいしたことないはずじゃんと仰るが、いいえ、たいしたことあるんです。彼らが示しているのはただの意見、我々が示しているのはシミュレーションに基づく事実だ。

 残差共分散について。
 これも小さな交差負荷の話と同じだ。小さな情報事前分布を与えることで、モデルを保ちつつデータを調べるべし。まず残差共分散なしのCFAモデルを推定し、その結果を使った事前分布を与えよ。
 残差共分散を自由推定するとどんなモデルでも適合してしまう、と彼らはいうが、これは誤り。理由:

 事前分布として与える逆ウィシャート分布の自由度をだんだん下げていけば、BSEMモデルは次第に無制約な共分散行列の推定に近づいていき、PPPは高くなり、モデルは棄却されなくなるだろう。これは制約を緩めたからであって、BSEMの欠点じゃない。
 彼らはガイドラインがないとかいっているから、ここでガイドラインを示そう。[自由度を変えて様子を見る手順の紹介。略]

 残差共分散推定の活用事例紹介。[どれも概要だけ。コードを公開しているんだと思う]

 まとめると、

 なお、残差相関パラメータの推定は因子モデルの推定と絡み合っている。たとえば、CFAで残差相関をひとつだけモデル化し損ねているとして、BSEMではそのせいで複数の残差相関が出現する(問題の項目を中心に、他の項目も巻き添えを食う)。一番でかい残差相関だけを解放して様子を見るのが吉。

 DICの話。彼らはDICよりBICを使えと主張しているが、むしろDICのほうがよい。[ふうん。いま関心ないのでパス]
 最後に、Stromeyerらの分析例を再分析。[パス。いやー性格悪いなあ]

 いやー、勉強になりました、導師... (平伏)
 私もですね、Stromeyerさんたちの批判を読んだとき、交差負荷に関する論点は言いがかりに近いなと思いましたです。測定モデル構築というより尺度開発の俺セオリーを語っているんじゃなかろうかと。いっぽう、残差共分散に関する批判には危うく説得されちゃうところでした。残差共分散行列をまるごと推定したらいったいなにをモデル化しているんだかわかんなくなると思ったからですが、そうじゃないんですね導師、あくまでゼロの代わりに分散の小さな事前分布を与えて様子をみようって話なんですね。誠に申し訳ございません、不信心をお許しください。ついていきます導師... お背中流します導師...

論文:データ解析(2015-) - 読了:Asparouhov, Muthen, Morin. (2015) おまえら全然わかってないな、ベイジアンSEMってのはこうやって使うんだよ

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