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2015年11月19日 (木)
Chen, Y., Dimitrov, S., Sami, R., Reeves, D.M., Pennock, D.M., Hanson, R.D., Fortnow, L., Gonen, R. (2010) Gaming prediction markets: Equilibrium strategies with a market maker. Algorithmica, 58(4), 930-969.
かなりの時間を費やし、細かくメモをとりながら10頁くらい読んだが、これは私には到底歯がたたない、と云い切れる内容であった。これ以上泥沼をのたうちまわっても時間の無駄なので、涙を飲んで断念。
理路は全くもって理解できないが、読んだ範囲では、どうやらこういう内容であるらしい。
LMSRマーケット・メーカを使った予測市場は近視眼的にインセンティブ整合であることがわかっている。つまり短期的にいえば、投資家は予測対象についての自分の真の信念に従って取引するのが最適である。では非近視眼的にみるとどうか。つまり、序盤で自分の信念に反する取引をして他の投資家を騙しておき、あとで食い物にする、というようなことはできるか。
市場を不完備情報の下での展開型ゲームと捉え、ごにょごにょごにょごにょごにょと、お前ら凡人には死ぬまで理解できないであろう魔術的な分析を行った結果、次のことがわかった。
みんなが使っているある製品について、その製品の材料が高品質か低品質かを当てる予測市場について考えよう。個々の参加者は製品使用経験というプライベートなシグナルを持っているが、それら「ある製品の材料が高品質か低品質か」という真相の下で条件つき独立だ。こういう風に、投資家が持っているプライベートなシグナルが世界の真の状態のもとで条件つき独立であるような市場であれば、自分の信念に基づく取引が弱完全ベイジアン均衡(WPBE)になる。
こんどは選挙の予測市場について考えよう。有権者は自分の投票意向というプライベートな情報を持っている。これは互いに独立である。選挙結果は投票で決まる。つまり、世界によってシグナルが決まるわけじゃなくて、シグナルが世界に影響する。このような、投資家のプライベートな情報が独立である市場では、自分の信念を貫く取引はWPBEにならない。
そこで、新たに「割引LMSR」を提案する。なんだかよくわからんが、対数スコアリング・ルールで求めるスコアにある係数を掛けておき、取引が進むごとにその係数をちょっとずつ増やしていくらしい[ってことは、株価が次第に動かなくなるってこと??]。
せっかく膨大なメモをとったのに... ああ、無性に腹が立つ。死ね、俺より頭のいい奴はみんな死ね。(まずいな、人類滅亡の危機だ)
論文:予測市場 - 読了:Chen, et al.(2010) LMSR予測市場で他人を騙す方法とその防止策 (を考えたが貴様ら凡人にはわかるまい)