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2016年4月 4日 (月)

Bordley, R.F. (1982) The combination of forecasts: a Bayesian approach. Journal of Operation Research Society, 171-174.
 これも、80年代のベイジアン合意研究でよく引用される論文。中身はWinkler(1981)とほぼ同じなのだが、独立に書かれた論文だそうだ(と、どこかに書いてあったが、どこだっけ... Clemenの文献レビューかな...)。

 いわく。
 $X$についての$n$個の予想$z_1, \ldots, z_n$があるとき、その加重和
 $Q = \sum_k w_k z_k$
は、$z_1, \ldots, z_n$が共分散行列$S$を持つ確率変数であるとき
 $Q = (I^t S^{-1} I)^{-1} (I S^{-1} z)$
とすることで分散最小になる。ということは、実はBates & Granger (1969) などがとっくに示している。問題は、これが最良の推定量だといえるのがどんなときか、だ。これにベイジアン・アプローチで答えようとしたのがBunn(1975)なのだが、いくつか欠点がある[説明省略]。厳密な解を示そう。

 ベイジアン・アプローチでいうと、予想を受け取った意思決定者の事後分布は
 $f(x | z_1, \ldots, z_n) = \frac{f(z_1, \ldots, z_n | x) f(x)}{\int 分子 dx}$
なんだけど、$f(x)$がわかんないので、Edwards et al.(1963)に従い、有限区間$B$について
 $f(x | z_1, \ldots, z_n) = \frac{f(z_1, \ldots, z_n | x) }{\int 分子 dx}$
とする。[←これ、要するに拡散事前分布を使うってことだよね...当時はそういういい方はなかったのだろうか]

 いま、$f(z_1, \ldots, z_n | x)$が真値まわりのMVNに従い、共分散行列が$S$だとすると、[...途中大幅に端折って..] 上式の$Q$が事後分布の平均、つまり最良の推定量であることが示せる。
 いっぽう、$f(z_1, \ldots, z_n | x)$が対数正規分布をとるならば(汚染レベルの評価なんかはそうですね。過小評価は小さいが過大評価は大きい)、重みつきの幾何平均が最良になる。このように、最良の推定量は誤差の分布次第である。

論文:データ解析(2015-) - 読了:Bordley (1982) ベイジアン合意モデル

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