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2018年10月 3日 (水)

 調査法の研究で有名なKrosnickさんが、97年にリッカート尺度項目の段階数(5件法とか7件法とか)についてレビューしている。助かるけれど、手元のPDFが汚すぎて困っている(本買えよって話ですけど...)。

 引用している論文について何とか解読したので、リストを作っておく。
 出典は:
Krosnick, J.A., & Fabrigar, L.R. (1997) Designing rating scales for effective measurement in surveys. in L. Lyberg, et al. (Eds.), Survey Measurement & Process Quality. Wiley.
 この章の3節「尺度点の数」のみメモする。なお、途中でちょっと話が逸れてマグニチュード尺度の研究も紹介されているんだけど、そこは省略する(あんまし使わんほうがいいというのが著者の評価)。

信頼性
 概して、両極尺度では7件法ぐらいが良い模様。

 単極尺度では5~7件法ぐらいが良い模様。

妥当性
 連続変数をx件法に変換したときになにがおきるかというシミュレーションによれば、段階数を増やしたほうがデータの歪みが減る、でも5~7件以上に増やしてもあまり意味がない。

相関的な妥当性研究でも同様。

回答に文脈が及ぼす効果の研究によれば、段階数を増やしたほうが文脈の効果が小さいが、7件法ぐらいから上ではあまり減らない。

個人内・個人間変動は、7~9件法くらいまで増やしたほうがうまく捉えられる。

中央の点[「どちらでもない」みたいなやつね]
 Krosnick (1991 App.Cog.Psych.) いわく、回答者はsatisficeしようとするとき、どう回答したら良いかを示唆する手掛かりを探すだろう。中央の点はその手がかりのひとつになる。よって、中央の点を設けると、satisficingが起きやすくかもしれない。
 実証研究をみると... 中央の反応が認められていない時、対象者が自発的に中央に反応することは少ないが[←??? どういう状況の話なんだろうか]、中央の点を与えれば、そこに反応する人は多い。

また、個人的に重要でないトピックでは中央に反応しやすい:

信頼性への効果ははっきりしない。

妥当性への効果もよくわからない。

使いやすさ

 まとめ。一般に5~7件法がよろしかろう。中央の点を作るべきかどうかはよくわからないが、概念的に中央の点があったほうがいいような点のときには作ったほうがいいだろう。いずれにせよsatisficing対策は別の形でやんないといけない。

 ... いやー、90年代の研究がAyudiya & McClendon (1990 POQ)のほかにはKrosnickの奴しかないのには、ちょっと引いちゃいました。著者が見落としてるんじゃなくて、ほんとにないんだろうと思う。どれだけ枯れた話題なんだか。

雑記 - 覚え書き:調査におけるX件法尺度のXをどうするか研究レビュー by Krosnick(1997)

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