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2019年5月20日 (月)
Maeyer, P.D., Estelami, H. (2011) Consumer perceptions of third party product quality ratings. J. Business Research, 64, 1067-1073.
いわく。
消費者からしてみると、製品品質について判断するというのが難題である。変数がいっぱいあって、統合が難しいからだ。そこで消費者は、特定の手がかりに依存して判断してしまうことが多い。価格とか、生産国とか。
誰かのendorsementをみて決めるというのもそのひとつである。ミシュランとか、JD Powerとか。自分の経験に依存するよりは正確な品質評価ができるだろう。
しかし、その情報の内容にはばらつきがある。たとえば、専門家の評価なのか、消費者の評価なのか。商品の品質は客観的に評価できるので前者が効果的、サービスの品質は客観的に評価できないので前者が効果的だろう[←そ、そうかなあ...]。
とかなんとかで、仮説は以下の通り:
- H1. 消費者に品質情報を与えたとき、消費者からみた情報源の信憑性と消費者の行動的意図は、製品の場合には専門家の意見の形で与えたときに高くなり、サービスの場合には消費者の証言の形で与えたときに高くなる。
- H2. 情報源の信憑性についての知覚は、製品品質のレイティングにアクセスするのにかかるコストが高いときにポジティブになる。
- H3. 情報源の信憑性についての知覚と使用意図は、品質レイティングをしている組織がメーカーの広告を受け入れているときに低くなる。
- H4. 製品品質レイティングが無料で提供されている場合、消費者からみた情報源の信憑性は広告の存在によって低くなる。
- H5. 製品品質レイティングが有料で提供されている場合、それに金を払おうという意図は、広告の存在によって(無料の場合よりももっと)下がる。
実験やります。
要因は、内容(消費者の証言, 専門家の意見), コスト(無料, 有料), 広告(あり、なし), 製品タイプ(製品、サービス)。すべて被験者間。
...めんどくさくなってきたので、このあたりからろくに読んでないんだけど、USでモール・インタセプトでやった実験で、目的変数は情報源の信憑性と、サイトをみたいと思うかどうか。そうか、購買に対する効果の研究じゃなくて、endorsementに対する態度・行動の研究なのね、なるほどね。H1-H5すべて支持らしい。
本筋じゃないけど、実験をストリート・キャッチでやっちゃうというところが面白いっすね。うーん... まあ...いいんだろうなあ。「対象者が誰だかわかったもんじゃない」と怒る人もいるかも知れないけど、手法のdefendは1段落軽くあるだけなので、最近はこういうのもアリなのかもしれないな。
endorsementを広告のタイプとして捉えて効果を調べた研究を探しているんだけど(絶対あるはず)、この論文はちょっと毛色が違う模様。Dean & Biswas (2001 J.Adv), Biswas et al.(2006, J.Adv.)というのが近そうだ。
論文:マーケティング - 読了:Maeyer & Estelami (2011) 製品品質に対する専門家の評価や消費者の体験談はどういうときに信用されるか