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2019年7月 9日 (火)

中田寛(2016) ラグジュアリーにおけるブランディングの民主化-英国ブランドBueberryの事例-. 経営と制度, 14, 29-46.

 バーバリーを事例としてブランディングの民主化について論じるというもの。著者は都立大の院生の方だと思う。
 バーバリーは早くからネット対応に積極的で、2014年のCEOのインタビューでは次の3つの取り組みを挙げているのだそうだ。(1)バーバリーのトレンチコードを着た人が自分の一押し写真を投稿できるサイト。自由なカスタマイズを奨励するとともに製品使用の文脈・行動を把握できる。(2)ファッションショーのライブ配信。(3)トレンチコートのカスタムメードサイト。良く考えてみるとこれはマス・カスタマイゼーションであって純粋な一品受注生産じゃないんだけど、経験価値の共創を実現する。
 こういうのが、著者いうところの「ブランディングの民主化」、つまり、名声やプレステージ性の共創。
 もともとラグジュアリーとは「民主主義が追いやった社会階層を創りなおすための」手段でいう面があって、ブランディングの民主化は希少性や審美性に危険をもたらすんだけど、バッグや時計と違って、バーバリー(どのみち年2回新製品が出る)では内的な価値(愛着やこだわり)のほうが大事なもんで、価値創造プロセスを開放しちゃったほうがよかったわけだ。
 云々。

 やっぱし和田「ブランド価値共創」という本は読んどいたほうがよさそうだな。
 Tynan, Mckechnie &l Chhuon (2010 J.BusinessRes.) というのがあって、ラグジュアリーの価値を有益性、象徴・表現、経験・快楽、関係性、費用・犠牲の5つに整理したうえで、価値共創について論じているのだそうだ。あ、これ、面白そう。

 ラグジュアリー・ブランドの話は、一消費人としての私自身にはまったく理解できない部分が多く、なんだか社会人類学の昔の本(「悲しき南回帰線」とか)を読んでいるような気持ちになる。遠い部族の異様な習俗に垣間見る人類の見知らぬ可能性、というか。そんなことでは仕事に差し支えるだろうというご意見もあろうが、ま、こういう立場でないと見えないものもきっとあるよな、と思うことにしている。

論文:マーケティング - 読了:中田(2016) バーバリーにみる価値共創

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