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2005年6月29日 (水)

Bookcover 虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ [a]
高橋 伸夫 / 日経BP社 / 2004-01
成果主義は間違っている。動機づけの期待理論には説明力がない。大事なのは内発的動機づけだ。日本型年功制は素晴らしい。という本。
 ビジネス書の常として,自慢話あり無駄話ありのエッセイ風読み物に仕立てられているのだが,さすがに一線の研究者が書いただけあって,読み応えがあった。
 とはいえ,なにぶん不勉強なもので,いろいろ疑問も残った。(1)成果主義が全部間違っているというのはいいとしても,日本型年功制が一番正しいことにはならないのではないか。年功制への不満はすべて制度の運用の問題に帰着する(つまり,制度自体の問題ではない)んだそうだが,運用が大変な制度というのはそれなりの問題があるのではないかしらん。「上司は親身で丁寧な評価を心がけよう」というアドバイスでは,答えにならないと思う。(2)これはこの本にとっては本筋じゃないんだろうけど,正社員の雇用体系の話ばかり聞かされても,なんだかなあ,と思ってしまう。「見通し」があることが大事だといわれても,非正規雇用にはそもそも見通しなんてないわけだし。うーん,なんだか脱力してきた。

ノンフィクション(-2010) - 読了:06/29

2005年6月26日 (日)

Bookcover 枇杷の樹の下で [a]
ユズキ カズ / 青林工芸舎 / 2001-09

コミックス(-2010) - 読了:06/26 (C)

Bookcover 北朝鮮「虚構の経済」 (集英社新書) [a]
今村 弘子 / 集英社 / 2005-06

ノンフィクション(-2010) - 読了:06/26 (NF)

2005年6月25日 (土)

Bookcover オールナイトライブ (1) (Beam comix) [a]
鈴木 みそ / エンターブレイン / 2001-11

Bookcover ラブやん(5) (アフタヌーンKC) [a]
田丸 浩史 / 講談社 / 2005-06-23

Bookcover 蟲師 (6) (アフタヌーンKC) [a]
漆原 友紀 / 講談社 / 2005-06-23

コミックス(-2010) - 読了:06/25

2005年6月24日 (金)

Fidler, F., Thomason, N., Cumming, G., Finch, S., Leeman, J. (2004). Editors can lead researchers to confidence intervals, but can't make them think. Psychological Science, 15(2), 119-126.
 かつてKenneth Rothmanという疫学の有名な先生が,American J. Public Healthという雑誌の副エディターになったとき,担当した投稿論文すべてに対して「仮説検定についての記述を削るか,さもなくば他の雑誌に出せ」と命じた。そこで掲載論文を調べてみると,たしかにその4年間はp値の使用が激減しているが,Rothmanが辞めるとすぐに元に戻っている。いっぽう信頼区間の掲載はこの時期から定着しているものの,結果の考察には用いられていない節がある。心理学に対する教訓:「検定よりも信頼区間を使いましょう」という決まり文句に安住するのはもうやめて,どうすればみんなが信頼区間を使うようになるのかを考えるべきだ ---という内容。
 うんうんそうだよねえ,と楽しく読んだ。解析手法方面に強い人(嫌な言い方をすれば,統計マニアの人)は,仮説検定論の問題点を好んで主張するけど,特に代替案があるわけではなかったりすることも多くて,単に批判が好きなだけと違うか?というような感じを受けることがままある。まあどうでもいいけど。
 Loftus(旦那のほう)は,Memory&Cognitionのエディターになったとき,信頼区間を書いてくれと投稿者に頼んでも埒があかないので,自分でいちいち計算してやったそうだ。ははは。
 こういうメタレベルな研究は読んでいてとても楽しい。きっと性にあうのだろう。

 この論文の後で,信頼区間は検定のかわりにならないというコメントも載ったようだ。CIは群内の分布を記述するためには便利だが,群間の差について推論するなら効果量のほうが便利だ,という趣旨らしい。ふうん。

論文:データ解析(-2014) - 読了:06/24

2005年6月23日 (木)

Prais, S.J. (2003) Cautions on OECD's recent educational survey (PISA): rejoinder to OECD's response.
Oxford Review of Education, 29(3), 569-573.
 PISAを批判したPrais(2003),返答したAdams(2003)に引き続く再反論。これはPISAのサイトに載ってなかったので(ははは),非常勤先で取り寄せてもらった。
 (1) PISAが「生きる力」に焦点を当てるのは結構だが,それにしか焦点を当てないのはひどい。(2)教育の改善のためには対象を年齢ではなく学年で区切るべきだ。(1)(2)のせいで,ほかの調査と比較できないじゃないですか。(3)参加率が低いことによるバイアスがないとはいえまい。(4)項目反応理論だかなんだか知らんが,生徒の成績じゃなくて各項目の通過率を国際比較すべきだ。(5)90年に我々が調査したときは英国よりスイスのほうが上だったのに,なぜPISAでは逆なのだ。
 (1)(2)の論点は本質的批判ではないと思う。金が掛かる割には役に立たんというご批判ならば,「こんなに金がかかっているのよ」「なのに全然役に立ってないのよ」という二点について証拠を出すべきところだ。(3)は議論をちゃんと追いかけてないからわからないが,データがない分弱そうだ。PISA側がバイアスがないというデータを出してきてるんだから,いやありますよというデータで対抗するのが筋だろう。(4)はなんだかレベルが低い。著者はえらい経済学者らしいが,経済学者がデータ解析に強いとは限らないようだ。(5)にいたっては,なんと言うか...既存の調査と違う結果を出したというだけで叱られたのではたまらない。
 というわけで,せっかく取り寄せたのに,かなりがっくりとさせられる内容であった。えらそうだね,おい。
 Goldsteinという人がPISA調査の解析上の問題点を指摘している,ということがわかったので,まあよしとしよう。この人はMLwinをつくった人らしいし,期待できそうだ。

大した仕事もせず,こんな論文を読んだりしている今日この頃である。せっかく一会社員として更生しようと思ったのに,世の中なにがなんだかわからない。クビになっても不思議じゃないねえ。

論文:教育 - 読了:06/23

2005年6月21日 (火)

Bookcover 幻想曲 孫正義とソフトバンクの過去・今・未来 [a]
児玉 博 / 日経BP社 / 2005-06-03
先ほど2時間弱で一気読みした本なので,細かいところはわからないが,どうもつくりが雑だ。なぜ同じエピソードが何度も繰り返されるのだろう?

ノンフィクション(-2010) - 読了:06/21

2005年6月19日 (日)

Bookcover 駿河城御前試合―南条範夫原作集 (上) (レジェンドコミックシリーズ―平田弘史作品 (5)) [a]
平田 弘史 / マガジン・ファイブ / 2005-05
Bookcover 駿河城御前試合―南条範夫原作集 (下巻) (レジェンドコミックシリーズ―平田弘史作品 (5)) [a]
平田 弘史 / マガジン・ファイブ / 2005-06

コミックス(-2010) - 読了:06/19 (C)

Bookcover 甘粕大尉 (ちくま文庫) [a]
角田 房子 / 筑摩書房 / 2005-02-09
ここしばらくの風呂の友であった。

日本近現代史 - 読了:06/19 (CH)

2005年6月18日 (土)

Bookcover 国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて [a]
佐藤 優 / 新潮社 / 2005-03-26
これは大変に読ませる本だった。立派な仕事をしている人たちは大変ですね。

ノンフィクション(-2010) - 読了:06/18 (NF)

Bookcover インドな日々 (3) (Honwara comics) [a]
流水 りんこ / 朝日ソノラマ / 2005-06

Bookcover ひかりのまち (サンデーGXコミックス) [a]
浅野 いにお / 小学館 / 2005-06-17

コミックス(-2010) - 読了:06/18 (C)

2005年6月17日 (金)

Bookcover 魁!!クロマティ高校(13) (講談社コミックス) [a]
野中 英次 / 講談社 / 2005-06-17

コミックス(-2010) - 読了:06/17

2005年6月15日 (水)

Bookcover 御家騒動―大名家を揺るがした権力闘争 (中公新書) [a]
福田 千鶴 / 中央公論新社 / 2005-03

ノンフィクション(-2010) - 読了:06/15まで (NF)

Bookcover 休暇はほしくない (ハヤカワ文庫 HM (153-16)) [a]
パーネル・ホール / 早川書房 / 2005-06-09
シリーズ14作目。こうなってくると,もう面白いかどうかという問題ではなくなってくる。

フィクション - 読了:6/15まで (F)

2005年6月11日 (土)

Bookcover 座頭市 レジェンドコミックシリーズ3 (レジェンドコミックシリーズ (3)) [a]
平田 弘史 / 星雲社 / 2004-07-06

コミックス(-2010) - 読了:06/11まで (C)

Bookcover 雨の日と月曜日は (新潮文庫) [a]
上原 隆 / 新潮社 / 2005-05

ノンフィクション(-2010) - 読了:06/11まで (NF)

Bookcover ピンク・バス (角川文庫) [a]
角田 光代 / 角川書店 / 2004-06

フィクション - 読了:06/11まで (F)

2005年6月 1日 (水)

Sperber, D. & Hirschfeld, L.A. (2004) The cognitive foundations of cultural stability and diversity. Trends in Cognitive Sciences, 8(1), 40-46.
 文化の多様性にも関わらず,素朴物理学とか心の理論とかに普遍性が見られるのは,領域固有な認知モジュールのせいでありましょう。それらのモジュールの対象とする領域が人為的に拡張される,そのありかたに文化差があるのです。とかなんとか,そういう趣旨だったかな。
 成長曲線分析のブームがちょっと一段落して,昼飯時に読むものがなくなってしまったので,気まぐれに手に取ったもの。著者の名前に惹かれたんだけど,関連性理論のかの字も出てこないし,レビューというよりオピニオン論文だったし。別に読むことなかった。

論文:心理 - 読了:06/01

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