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2007年11月23日 (金)

Bookcover 誰のための「教育再生」か (岩波新書) [a]
/ 岩波書店 / 2007-11-20
教育基本法改正反対陣営の研究者たちが書いた本。

一昨年,郵政民営化法案が参院で否決されたら,首相が衆院を解散してしまい,果たして民営化賛成派が馬鹿勝ちし,法案は衆院を通過して,もう一度参院で採決されることになった。もう反対票を投じても否決の見込みはないというこの場面で,解散前は反対派であった自民党の有力議員が(元首相の息子だっけ,そんな感じの人),郵政民営化の他にも喫緊の政治課題がある,だから今度は涙を飲んで賛成票を投じます,と述べていた。たしかに,いま反対しても党から処分されるだけだから,それはまあひとつの見識だよなあ,と思った。
 さて,この政治家が信念を曲げてまで優先したいと考える,緊急を要する政治課題とはなんだろうか? 新聞で読んであっけにとられたのだが,なんと,教育基本法の改正だったのである。なぜ? 改正の是非は別にして,教育基本法が重要だと思うのはわかる。でも,教育基本法を変えるとなにかすぐに良いことがあるのか? 基本法を変えないと実現できない緊急の政策があったとも思えない。それとも,急いで基本法に「我が国と郷土を愛する」と書き込まないと,子どもが我が国と郷土を愛するようにならない,とか?
 俺は教育そのものには特に興味がないのだが,人々が教育に向けるこの不思議な情熱,それを支えている摩訶不思議なファンタジーに強く関心を惹かれる。不謹慎な言い方だけど,なんだか面白くて仕方がない。どんな問題にだってなにかしら不思議なところがあるとは思うが,教育を巡る議論ほどに不合理さと思いこみに充ち満ちたものは,ほかにないんじゃないかしらん。

心理・教育 - 読了:11/23まで (P)

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