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2011年12月 8日 (木)
仕事上の必要に迫られて、選択モデルの資料の山を机の脇に押しのけ,急遽読んだ文献。
小林光夫(2002)「色名による表色法」, 日本色彩学会誌, 26(4), 253-260.
小林光夫(2003)「心理的な表色系PCCSとNCS」, 日本色彩学会誌, 27(1), 56-71.
研究論文というより、学会誌に連載された啓蒙記事。表色系(色を表すシステム)のひとつに日本産のPCCSというのがあるんだそうで、その解説。
読者がマンセル表色系に詳しいことを前提に説明しているので、詳しくない俺にはちょっとつらかった。さらに、Ciniiで買ったPDFはモノクロなもので、ほとんど真っ黒なチャートを見ながら読み進めることになり。。。9割がた理解できていないけど、ま、いっか。
松田豊・加藤美奈子・嶋崎裕志(2000)「色の記憶ーPCCSカラーカードの再認」, 日本色彩学会誌, 24(3), 146-155.
PCCSのカラーカードを使った色の再認記憶実験。あるカードを30秒記銘、リハーサルを妨害しつつ2分間保持、ランダムに並べられた47枚のなかから選択。色空間のなかで誤再認が生じる方向性を、これでもかというくらいに細かーく記述している。おそらく第二著者の方の卒論であろう。
PCCSではhueとtoneという二次元の空間を考える。マンセル空間と性質が違うようだが、toneってのはまあvalueとchromaがコミになったようなものらしい。で、誤再認はhueよりもtoneで起きやすいんだそうだ。さらに、hueによってtone誤再認の方向性が違う由。へえー。
全然知識がないので、この研究の基礎研究としての位置づけについてはよくわからない。色の記憶メカニズムという問題と、色刺激をどんな表色系で表すかという問題とは本質的には別だろうから、「OSA色カードを使った実験はあるけどPCCS色カードをつかった実験はないからやってみます」という問題設定にはどういう意味があるのかしらん、と。しかし一読者としては、知見をマンセル表色系の難しい言葉で説明されるより、もっと簡易な表色系で説明してくれるほうがうれしい... という面はある。それに、表色系間の色の変換はそんなに簡単な話ではないそうだから、そういう面でも価値がある研究なのだろう。
論文:心理 - 読了:小林(2002,2003) PCCS表色系; 松田ほか(2000) PCCSカラーカードの再認