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2013年7月 3日 (水)

Bookcover 丸山眞男――理念への信 (再発見 日本の哲学) [a]
遠山 敦 / 講談社 / 2010-06-30
こんな評伝を読んでいるくらいなら、本人の書いた本を読めよ、と思いつつ...
 丸山真男は福沢諭吉に深く私淑していたが、そのいっぽうで、ある論文で福沢を「ヒューマニズムの論理をぎりぎりの限界にまで押し詰めた」と評したのは、福沢の人間主義に対する批判なのだ、と話していたそうだ。福沢は「典型的なtough-minded型の思想家」であり、「具体的人間以上の超越的価値を認めない立場」に立っている。いっぽう著者によれば、丸山は人間の主体性を超越的価値に直面した精神によってのみ基礎づけられるものと捉えていた。だから福沢のヒューマニズムそれ自体は丸山の批判の対象となる。
 しかし、丸山が人間の主体性のために、具体的にどのような普遍的理念や超越的絶対者へのコミットメントを求めていたかは、ついに明かされることがなかった。著者いわく、「それはあるいは研究者としての丸山の、自己抑制だったのだろうか」。へー。

哲学・思想(2011-) - 読了:「丸山真男:理念への信」

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