elsur.jpn.org >

« 読了:「スバらしきバス」「スペイン内戦」「消されたマンガ」「日本型雇用の真実」 | メイン | 読了: Hsee, Yang, Li, & Shen (2009) お金がもたらす幸せは他人との比較で決まるが、消費がもたらす幸せは絶対的に決まることもある »

2013年7月29日 (月)

Bookcover ハイエク - 「保守」との訣別 (中公選書) [a]
楠 茂樹,楠 美佐子 / 中央公論新社 / 2013-04-09
先日、集合知についてのお話を伺う機会があった際に、この分野ではハイエクの業績が重要だ... という話をちらりと伺い、頭のなかが疑問符でいっぱいになった。えーっと、たしかハイエクって、リバタリアンの神様、サッチャリズムの権化、金持ちのアイドルみたいな経済学者じゃなかったっけ? それでもって、南米で秘密警察が無辜の市民を拉致虐殺しているときに、その独裁政権を支持した人じゃなかったっけ?
 と不思議に思って、試しに読んでみた本の一冊。経済学の話はからきし苦手なので(「自然利子率」などといわれただけで頭が真っ白になってしまう)、冒頭の景気循環論のところで音をあげそうになったが、わからないところはとばして読了。
 ハイエク先生は経済学から社会哲学にシフトした人で、自生的秩序というとても面白い概念を唱えた人だということがわかった。ついでにいえば、なんでもかんでも自由競争に任せればいいと主張したわけではないし、理性を信じず伝統を重んじたという点で保守的ではあったが、保守主義とは鋭く対立した人であったということも分かった。逆にいうと、そんだけ偉い人であっても、うっかりピノチェト政権を支持しちゃったりするもんなんだな、ということもわかった。

哲学・思想(2011-) - 読了:「ハイエク 『保守』との訣別」

rebuilt: 2020年11月16日 22:59
validate this page