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2013年8月24日 (土)

Hekkert, P. (2006) Design aesthetics: Principles of pleasure in design. Psychology Science, 48, 157-172.
 昨年ざっと目を通していたのだけど、都合により再読。著者はインダストリアル・デザインの研究者。みたこともない誌名だが ("Psychological Science"ではない!)、ドイツの学術誌で、紆余曲折あって現在はPsychological test and assessment modelingという誌名になっているらしい。日本にも購読している大学図書館があるようだから、そんなに変な雑誌ではなさそう。

 えーっと、経験には3つの側面がある。著者はそれぞれについていろいろな言い回しで呼んでいるので、目に留まったのを書き出すと、

 この3つは概念上の区別で、現象としては分けられない、とのこと。はっきり書いていないけど、どうやら生起の順序として、aesthetic → meaning → emotion というふうに考えているらしい。してみると、著者のいうaestheticをなんと訳せばいいのか、難しいところだ。日本語で「美学的経験」などと呼んでしまうと、高次なappraisalのことになってしまう。「感覚的な喜び」という感じだろうか。
 でもって、僕はねえaestheticsには進化心理的な基盤があると思うのよ、などという与太話をはさみ(ごめんなさい。でもこういうの、ほんとに与太話にしか聞こえない)、すべての感覚様相を通じてaesthetic experienceを支配する4つの原理、というのを挙げる。いわく、「最小の手段で最大の効果を挙げている」「多様性の中に統一性が見いだされる」「受容可能な中でもっとも進んだものが採用されている」「異なる感覚様相の間で最適なマッチングがなされている」とかなんとか。

 今回もまた、途中から飛ばし読みになってしまった。残念ではあるが、こういう種類の文章を読んでいると、なんと申しますかその... 心情的に耐えがたいのである。「飛行機に乗っていて、離陸後に窓の外を見たら雲の上だった」というのなら大丈夫だけど、「新幹線に乗っていて、ふと窓の外をみたら雲の上だった」ら、それはものすごく怖いだろう。そういう恐怖を感じるのであります。いま読んでいるのが実証的議論なのか、そうでないのかがわからなくて。

論文:心理 - 読了: Hekkert (2006) デザインにおける美的経験とはなにか

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