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2013年8月27日 (火)
Morwitz, V.G., Johnson, E., Schmittlein, D. (1993) Does measuring intent change behavior? Journal of Consumer Research, 20(1), 46-61.
質問-行動リンクの初期研究としてよく引用される論文。
えーっと、著者らは類似の先行研究として以下を挙げている:
- 態度質問でその態度へのアクセス容易性が上がる。 (Fazio, Powell & Williams, 1989, JCR)
- 態度質問を繰り返すとアクセス容易性が上がる。(Karde, Allen, Pontes, 1993, in "Advences in Consumer Research")
- 自分の行動について予測すると、その予測はたいてい過大予測であり、かつ予測したせいでその行動が生じやすくなる。(Sherman, 1980, JPSP; Sherman et al., 1983, JPSP; Greenald et al, 1987, J. Applied Psych.)
で、この研究の仮説は次の3つ。
- ある製品の購入意図の測定が、その後の実際の購入に影響するだろう(単純測定効果)。その影響の方向は、意図の質問が引き起こす思考がポジティブかどうかと、事前の態度がポジティブかどうかで決まるだろう。
- 購入意図の質問を繰り返すと、影響はより極端になるだろう。
- 製品使用の経験が多いと、事前の態度がはっきりしているので、単純測定効果も繰り返しの効果も小さいだろう。これ、Tesserとは逆の仮説であるとのこと(すっかり忘れていたけど、自分の講義資料を引っ張り出して思い出した。ごめんなさい)。Tesserの実験の場合とちがい、製品使用経験は知識を豊かにするだけでなく態度も決めちゃうから。
大規模な郵送パネル調査データを分析する。この調査では7時点にわたり、PCと自動車について今後買う予定を聴取している。途中でパネルに入ってきた世帯がいっぱいあるので、聴取された回数で世帯をわけることができる。従属変数はそのあとで実際に買ったかどうか。聴取回数は実験的に統制できていないので、かわりにデモグラ変数でウェイティング。細かい話がいっぱいあったけど、すいません、読み飛ばしました。
結果: 一回聴取しただけで購入発生率は向上する(仮説1を支持)。一回聴取した群と複数回聴取した群を比較すると、初回の購入意向が高い場合は複数回聴取によって購入発生率が上がり、低い場合は下がる(仮説2を支持。ただし、統計的には有意だったりそうじゃなかったり)。PCの場合、すでに使用経験があると、聴取の効果は小さくなる、などなど(仮説3を支持)。云々。申し訳ないけど超めんどくさいので、スキップ、スキップ。デモグラ変数を共変量にいれたモデルで再検証しているけど、スキップ、スキップ。ほんっとにゴチャゴチャめんどくさい!
... 気を取り直して結論。まずは単純測定効果の大きさに驚くべし。市場調査会社は危機感を持つべし。今後は質問と行動のあいだの心理的メカニズムの研究が期待される。云々。
あー、もう、途中でイライラして悶え死ぬかと思った。もう少しスマートに書けないものですかね?
ともかく、実際の市場調査データを用いて、質問が行動にもたらす効果(単純測定効果)が実質的なサイズを持っているということを示した点が、この研究の先駆的な貢献なのだろう。
ところで、購入意図と購入とのあいだに購入の心的シミュレーションを想定するLevav&Fitzsimons(2006)流の考え方は、すでにKalwani & Silk (1982, Marketing Sci.)で提案されている由。ふうん。
論文:調査方法論 - 読了: Morwitz, Johnson, & Schmittlein (1993) 購入意向を訊くと購入が生じやすくなる