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2014年12月12日 (金)

Buckley, P., McDonagh, E. (2014) Ideas markets: A literature review and classification scheme. The Journal of Prediction Markets, 8(2), 76-88.
 予測市場の新世代(?)、「アイデア市場」についてのレビュー。

 実のところ、こういう主旨のレビューがあるはずだ、なければいっそ自分で書いちゃおうか...と思っていたところであった。で、この論文の公刊に気が付き、これはなんとしても読まねばならん、なるはやで!と勢いこんだ。あいにくマイナー誌につき入手困難。著者に連絡しちゃおうかと思案しつつも、ついクリックしてPDFを買ってしまった。例によって購入システムにトラブルが生じ(私の経験では大抵そうなる。論文をPayParViewで買う奴なんて少ないのだ)、UKの担当者に連絡したりして、結局は半日かかっちゃったのだが。
 で、届いたPDFをプリンタが吐き出すのを横に立って眺めていて、あっけにとられた。なに、このレイアウト。Excelで描いたと思しき巨大な円グラフだけで丸々1頁。棒が2本しかない棒グラフでまた1頁。とんでもないページ水増しぶりである。これって許されるんですか? これで16ポンドって、ちょっとあんまりじゃない!?

 ここでアイデア市場といっているのは、予測市場とちがって正解がなく、かつ証券が事前に決定していないタイプの市場のこと(MITのDahanたちのが含まれていないのは後者の基準のせいだと思う)。著者いわく、利点は二つ。(1)創造的なアイデアの開発。(2)アイデアの選択を集合知で改善。
 で、著者らはアイデア市場の先行研究を20本集め、いろいろな角度から分類する。応用が10本、市場設計が4本、残りが6本でした。応用はビジネス9本、アカデミック1本でした。云々。省略。
 結論。短い期間でこんだけ研究が出てきてんだからたいしたもんだね。実務家も関心持ってくれてるみたいで喜ばしいね。参加者のコミュニケーションをよりリッチにしたらイノベーションが活性化されないかね。報酬スキーマの研究も大事だね。云々。

 これだけ集めるのはさぞや大変でしたでしょうに、それに20本もの研究に目を通したんだから、なにかしら個別具体的に批評的意見をお持ちでしょうに、そういうご意見はほとんどゼロ。すごく謙虚な方々なんでしょうね。ええそうでしょうとも。

 著者らが集めた20の先行研究は以下の通り。実のところ、この論文で最も価値ある情報はこのリストじゃないかと思う。これに3000円払ったようなもんですよ、まったく。

いろいろ不備があって困ってしまうが、きっとご多忙で校正のお時間もとれなかったのでしょう。ええそうでしょうとも!

論文:予測市場 - 読了:Buckley & McDonagh (2014) アイデア市場についてのすっごく包括的で批判的でためになるレビュー

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