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2015年1月 4日 (日)
Zhong, C. & Liljenquist, K. (2006) Washing away your sins: Threatend morality and phisical cleansing. Science, 313(5792), 1451-1452.
手洗いと道徳性の関係を示し、身体化認知研究の例として非常によく引用される論文。引用文献のなかに聖書や「マクベス」がある... はっはっは...
実験1. 被験者60名。過去の自分の{倫理的/非倫理的}行動を思い出させた後、単語完成課題。たとえばw__hというような刺激を与え、cleansing関連語(wish)を生成する割合を調べる。結果: 非倫理的行動を想起したほうがcleasing関連語を生成しやすい。
実験2. 被験者27名。物語文章を読ませたのち、製品名(Doveのシャワーソープ, SonyのCDケース, etc.)を提示して望ましさ評定。要因は物語文章: {同僚を助ける/同僚を妨害する}。結果: 非倫理的文章群でcleansing関連製品の望ましさが高くなる。
実験3. 被験者32名。実験1の想起手続きのあとで、報酬として滅菌タオルか鉛筆かを選ばせる。結果: 非倫理的行動を想起したほうが滅菌タオルを選びやすい。
と、ここまでは、道徳的純粋性への脅威が物理的cleansingを活性化する(マクベス効果)という話であった。では、物理的cleasingは罪を洗い流すか?
というわけで、もっとも有名な実験4。被験者45名。実験1の想起手続きの後、滅菌タオルで手を{拭く/拭かない}。で、感情状態についての項目について回答。さらに、いまやばい状態に陥っている院生がいるんだけど、無報酬でボランティアやってあげてくれない? と尋ねる。結果: 非倫理的行動を想起した条件で、手を拭くと道徳的感情が下がり、ボランティアへの協力率も下がる。
いったいどういう理屈付けをするんだろうか、概念メタファ説を持ち出すのだろうか... と期待していたのだが、心的機序についての説明はなかった。さっすがScience。態度でかいな。
論文:心理 - 読了:Zhong & Liljenuist (2006) 手洗いで罪を洗い流すことができる