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2015年4月16日 (木)

Dickson, P.R. (1982) Person-situation: Segmentation's missing link. Journal of Marketing, 46, 56-64.
 person-situationセグメンテーションという概念について理論的に整理する論文。消費者の多様性を理解する際には個人-状況の組み合わせを考えないといけないよね、という文脈でよく引用されると思う。実に33年前の論文だ。暇人といわれても仕方ないなあ。
 
 著者いわく。person-situationセグメンテーションという考え方は新しくない。

 理論的整理。

 コトラーいわく、セグメンテーションには測定の容易性、接近可能性、実質性がなければならない。さて、person-situationセグメンテーションでは...

従来よく用いられているサイコグラフィクス特性も、実はその人がおかれた状況にすぎないのかもしれないよ、というような話があって...[←パーソナリティ研究でいう一貫性論争みたいな話ですかね]

 person-situationセグメンテーションの観点からいうと、セグメンテーションのベース変数には、person, situation, person-within-situationの3種類があることになる。この3種類が基盤となって、(下位レベルから順に)ベネフィット・セグメンテーション、製品知覚セグメンテーション、行動セグメンテーションが構築される。云々。

 最後に手順の話。個々の使用状況における対象者のニーズなり製品知覚なり行動なりを調べ、使用状況とヒトの属性を縦横にとったマトリクスを書いてセルを埋めていく、という感じ[←おっと、つまりここではセグメントがアプリオリに決まるタイプのセグメンテーションを想定しているわけか]。著者ら曰く、すべての使用状況をリストアップする必要はない。

 途中からまどろっこしくなって飛ばし読みになっちゃったんだけど、理論的整理のところは明解で、頭の整理になった。こうしてみると、いわゆるoccasion segmentationという表現は、(1)ヒトを単位として、製品への行動・態度を使用状況で分類するセグメンテーション、(2)ヒトx使用状況の組み合わせを単位として、行動・態度を分類するセグメンテーション、のどちらを指しているのかわからない、あまりよろしくない表現だということになると思う。

 歴史的にみると、マーケティングの文脈では、消費者の選好の形成において個人特性と状況要因の交互作用に注目するという発想は70年代になって出てきた... という理解でいいのかしらん? 心理学の文脈でも、パーソナリティの状況一貫性論争は60年代末からだったし、クロンバックが適性処遇交互作用という概念を唱えたのもたしか70年代であった。面白いなあ。

論文:マーケティング - 読了:Dickson (1982) ヒトx状況のセグメンテーション

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