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2015年6月16日 (火)
先日から仕事の都合で生存時間(イベント発生時間)データの分析について考えていたのだけど、資料をみていると、サンプリング・デザインの用語がいろいろあって混乱してしまう。同じことを違う名前で呼んでいることもあって、ちょっと困る。
というわけで、クライン&メシュベルガー「生存時間解析」より関連用語をメモ。この本、原題を"Survival Analysis: Techniques for Censored and Truncated Data"というだけあって、サンプリング・デザインの問題についてやたらに詳しい。
1. 打ち切り(censoring)。
- 1.1 右側打ち切り。
- 1.1.1 タイプ I 打ち切り。関心あるイベントが、前もって指定したある時点よりも前に生じたときにのみ観察できる。打ち切り時間は人によって同じでも、違っていてもよい。特殊ケースとして以下がある。
- 1) 進行性タイプ I 打ち切り。打ち切り時間が人によって異なる(これの打ち切り時間を「犠牲時間」ということもある)。
- 2) 一般化されたタイプ I 打ち切り。カレンダー時間でみて、観察開始時点が人によって異なり打ち切り時間が全員で固定されている。Lexis diagramはこういうときに便利 [←あ、なるほど...]
- 1.1.2 タイプ II 打ち切り。n 人の観察対象者のうち r 人でイベントが生じるまで観察する。尤度の決定や推定がちょっと楽になる。r はあらかじめ定められた定数だが、打ち切り時間は確率変数であることに注意。特殊ケースとして以下がある。
- 1) 進行性タイプ II 打ち切り。まず r1 人でイベントが生じるまで観察し、そこで残りの対象者のうちある人数について観察を打ち切る。
- 1.1.3 競合リスク打ち切り。競合リスクを体験した人の観察を打ち切る。特殊ケースとして以下がある。
- 1) ランダム打ち切り。
- 1.1.1 タイプ I 打ち切り。関心あるイベントが、前もって指定したある時点よりも前に生じたときにのみ観察できる。打ち切り時間は人によって同じでも、違っていてもよい。特殊ケースとして以下がある。
- 1.2 左側打ち切り。関心あるイベントが観察開始よりも前に生じていることがあり、生じていたことはわかるがいつ生じていたかはわからない。
- 1.3 両側打ち切り。左側打ち切りと右側打ち切りの両方がある。
- 1.4 区間打ち切り。イベント発生がある区間に生じたかどうかだけがわかる。
2. 切断(truncation)。ある期間中にイベントが発生した人だけが観察される。
- 2.1 左側切断。イベント発生時間が切断時間を超えた人だけが観察される。(この切断時間を「遅延登録時間」ということもある)。
- 2.2 右側切断。イベントがある時間までに生じた人だけが観察される。
やれやれ...
雑記:データ解析 - 生存時間データの打ち切り・切断に関する用語総ざらえ