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2016年3月25日 (金)

佐藤舞, ポール・ベーコン (2015) 世論という神話: 日本はなぜ、死刑を存置するのか. The Death Penalty Project.
 死刑について内閣府調査の追っかけ調査をやった研究者がいるという話を新聞で読んで、検索してみつけたもの。いま考えている件に関係するかと思って読んでみた(関係なかったけど)。第一著者は英国在住の社会学者の方。
 死刑廃止運動の団体が出したパンフレットのようなものなので、話の方向性は目に見えているのだけれど、方法論が面白そうなので目を通した。著者らの立場としては、死刑の存廃を世論で決めるべしと主張したいわけじゃないんだけど、現に日本政府は世論による死刑支持に死刑存置の論拠をおいているわけだから、その論拠をアタックします、という内容である。

 分析するデータは:

 面白かったところのみメモ。

うーむ...調査データの集計値の絶対的な大きさでなにかを主張することの難しさを痛感した次第だが、そもそも「国民の8割以上が死刑を支持している」から死刑は廃止できないという日本政府の主張を掘り崩すことが目的なので、これで筋は通っているのだろう。むしろ、死刑のような問題に対する態度がどのように形成されているかに関心があるのだが、そっちは論文を探して読まないといけない模様。
 というわけで、著者の方々のご趣旨とは違うところに目を引かれているような気もするけど、興味深い文章であった。

論文:調査方法論 - 読了:佐藤 & ベーコン (2015) 世論という神話

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