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2016年9月15日 (木)
朝野熙彦(2004) コンジョイント分析の定義と適用をめぐる論争点. 経営と制度, 1, 1-24.
都立大時代の朝野先生による紀要論文。意外に入手が難しく、国会図書館関西館に複写依頼した。丁寧にコピーしてくださって、ほんと、ありがたいです。
コンジョイント分析黎明期の原理的議論が大変興味深い。勉強になりました。10年以上前の論文なので、パラメータ推定の話はいまとはかなりちがうんだけど(現在の主流はたとえ効用の消費者間異質性に関心がなくてもHBモデルを組むやりかただろう)、その辺は他でも勉強できるわけだし。
いくつかメモ:
- Wilkie & Pessemier(1973 JMR): Fishbeinモデルみたいな多属性態度モデルのメタ分析。測定手法が一貫していないことを指摘。[忘れてたけどこの論文、Myers & Alpert (1977)にも出てきてた。こんなことじゃ、いくら読んでもざるで水をすくっているようなものだ]
- Day (1972 JMR): 主観的重要性への批判。これ、読まなきゃ...
- Srinivasan (1988 DecisionSci): 部分効用の主観申告を支持する意見
- Gibson (2001 MktgRes): 同上。[←探してみたら、これ、実務家がコンジョイント分析をディスるコラム記事。面白そう!]
- マーケティング分野での初のコンジョイント分析論文はGreen & Rao (1971)。書籍はGreen & Wind (1973)。
- Haaijer, Kamakura, Wedel (2000 JMR): コンジョイント回答の反応潜時のモデル。2000年からあるのか...
- コンジョイント分析というと、どうしても「タスクをどう組むか」「どうやって効用を推定するか」という尺度構成の方向に頭が向いちゃうけど、初期には(部分効用の結合法則がわかんないとして)なにがどうだったら尺度がどうなるかという公理論的問題に関心が集まった。東大出版会「心理学研究法」シリーズ(1973. 懐かしい)の17巻にこの問題を扱った章がある由。えっ、著者の佐伯って... サエキバン先生!?まじ!?
- Arora & Allenby (1999 JMR): 夫婦の意思決定問題にコンジョイント分析を適応した例。そ、そんなへんなモデルがあるのか... それは読んでみないと...
付録にはなんと、いくつかの古典的コンジョイント分析モデルの推定方法について、詳細な解説がついている。60年代のクラスカルの単調回帰とか。
論文:調査方法論 - 読了:朝野(2004) コンジョイント分析の歴史を辿る