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2016年10月20日 (木)

Morrison, D.G. (1981) Triangle Taste Tests: Are the Subjects Who Respond Correctly Lucky or Good? Journal of Marketing, 45(3), 111-119
 仕事と関連があるぞという気がして急遽目を通した。PDFが有料なので、JSTOR無料枠のweb画面上で。泣かせるね。

 官能評価でいうdouble triangle test、つまり、「3刺激を与え、そのなかの同一の2刺激がどれかを言い当てる」試行を2回やるテストで、個人の判別能力と正解数(0,1,2)との間にはどういう関係があるか、という論文。
 なぜそんな不思議なことに関心を向けるのかというと、著者らの説明によれば、(1)あとで選好テストをするときに対象者を重みづけしたいから、(2)反応時間と選好の関係を調べる際に示唆があるかもしれないから。

 triangle test試行において、ある対象者が正解を検出する確率を$p$としよう。正解を検出できないとき、にもかかわらずguessingで正解する確率は$1/3$。だから、ある対象者がある試行で正解する確率は
 $c = p + (1/3)(1-p)$

 さて、$p$の個人差について、2つの極端なモデルを考える。
 モデル1, 等質母集団。全員が同じ$p$を持っている。このとき、double triangle test で正解数が(0,1,2)になる確率は、それぞれ
 $P(0) = (1-c)^2$
 $P(1) = 2c(1-c)$
 $P(2) = c^2$
 モデル2、両極母集団。ある人が持っている$p$は0か1のどちらかであり、1である人の割合は$\gamma$である。このとき、
 $P(0) = (1-\gamma)(2/3)^2$
 $P(1) = (1-\gamma) 2(1/3)(2/3) = P(0)$
 $P(2) = \gamma + (1-\gamma)(1/3)^2$
 モデル2なら$P(0)=P(1)$だというのがポイント。モデル1の場合、2問正解者は単にラッキーな人だが、モデル2の場合は高能力者である。

 今度は連続的モデルを考えよう。$p$の分布$f(p)$を考える。$f(p)$としてベータ分布を仮定しよう。ご存知のように、
 $E[p] = \frac{\alpha}{\alpha+\beta}$
 $Var[p] = \frac{\alpha\beta}{(\alpha+\beta+1)(\alpha+\beta)^2}$
 この$f(c)$から得られる$c$の分布を$g(c)$とする。正解数の分布は、試行数$k=2$と正解率$g(c)$をパラメータとする混合二項分布である。正解数のデータから$\alpha, \beta$を推定することができる。Morrison & Brockway(1979, Psychometrika)をみよ。
 なお、$p$の極化の程度を表す指標として
 $\phi = 1 / (\alpha+\beta+1)$
が便利。等質母集団なら$\alpha,\beta$は無限大、すなわち$\phi$は0に近づき、両極母集団なら$\alpha, \beta$は0付近、すなわち$\phi$は1に近づく。

 この$f(p)$を事前分布とし、ある対象者が$k$試行中何回成功したかという値によって分布をベイズ更新し、$p$の事後期待値 $E[p | r of k]$を求めることができる。あとの選好課題とかでのウェイティングにも使える。
 [... ほかにサンプルサイズの話、反応時間の話など載っていたけれど、あんまり厳密な議論じゃないのでパス]

 ... なるほどね。勉強になりました。
 この論文は官能検査のdouble triangle testについての論文だけど、guessing可能な項目群への反応データからその人の特性を推測する場面すべてに通じる話だろうと思った。潜在特性に分散がなくても正解数には分散が生じる。正解数が多い人は優秀だと早合点する前に、正解数の分布をきちんと調べるのが大事だ。

 double triangle testの話に戻ると、一般には、2試行両方で正解した人を正解者とみなし、帰無確率の下での正解者の割合が母比率1/9の二項確率に従うとみなして二項検定を行うことが多い。帰無仮説の下で2試行が独立だと仮定しているわけだ(この論文で言う等質母集団モデル)。でもさ、同じ人の二試行が独立なわけないじゃん?と、かねがね気になっているのだけれど、その証拠を得るうまい方法が思い浮かばなかった。この論文でやっているみたいに、正解数の分布と等質母集団モデルとの適合度をカイ二乗検定すれば、てっとり早く検討できるわけか...

論文:データ解析(2015-) - 読了:Morrison(1981) 2回続けて正解した人は優れた人か、それともただのラッキーな人か

2016年10月18日 (火)

Bi, J. (2001) The double discrimination methods. Food Quality and Preference, 12, 507-513.
 仕事の都合で大急ぎでめくった論文。官能検査での識別試験でいうところのdouble testについて、その数理的側面の解説。double testってなんて訳せばいいんだろう? えーと、同じ被験者に同じ刺激で2試行やってもらう奴ね。

 いわく。doubleテストの分析にはふたつの路線がある。2回とも正解したことをもって正解とみなし二項モデルを適用する路線と、2回の反復測定と考えてベータ二項モデルとか一般化線形モデルとかを適用する路線。前者は、正解の確率は被験者間で等しく、反応は互いに独立だと想定していることになる。この2つの路線のちがいは、識別テストについての哲学の違いである。本論文は前者の路線。
 [←あー、なるほど。わたくし、かねがね、三点識別テストを2回繰り返したデータを被験者単位に潰して分析するのってダサすぎる、生データで反復測定モデル使えよ... 官能検査ってこれだからもう... といらだっていたんだけど、良し悪しじゃなくて哲学のちがいだよといわれれば、ま、そうかもね]

 ... で、2選択肢強制選択、3選択肢強制選択、3点識別、duo-trioの、それぞれsingleとdoubleについて、検定力の求め方(二項分布を正規近似する考え方と、サーストンの$d'$に基づく考え方)、doubleとsingleのあいだでの正解率の変換方法、$d'$の分散の推定の仕方について簡潔に紹介している。簡潔すぎて式の導出を追えてないんだけど、必要になったら読み直そう。

 そもそもサーストンのモデルについてすっかり忘れてしまっている。やれやれ困ったものだ... と思ったけど、考えてみたら習ったのはいまは亡きM先生の学部の講義、もはや二十五年以上も前だ。しかも講義中私は常に熟睡していた。忘れていても仕方がない。往時茫々としてなんとやらだ。

論文:データ解析(2015-) - 読了:Bi (2001) double識別試験の統計学的諸側面

2016年10月13日 (木)

菅野佐織(2011) ブランド・リレーションシップ概念の整理と課題. 駒大経営研究, 42, 87-113.
仕事の都合で大急ぎで読んだレビュー論文。フォルニエの研究を中心に関連研究を整理している。こういうのを日本語で読めるの、すごく助かりますです。感謝。

論文:マーケティング - 読了:菅野(2011) ブランド・リレーションシップとはなにか

Calderon, E., Rivera-Quintero, A., Xia, Y., Angulo, O., O'Mahony, M. (2015) The triadic preference test. Food Quality and Preference, 39, 8-15.
 消費者に製品の選好を訊く際の新手法を提案する論文。
 仕事の都合で急遽目を通したんだけど、これがなんというかその、かなり納得のいかない内容で...

 いわく。
 新製品開発では一対選好テスト(paired preference test)が良く使われている。"No preference"選択肢をいれておき、各製品の選好率をみたり、"No preference"率をみたりする。ある製品の選好の強さを測るために、信号検出理論でいうd'を応用したhedonic d'を使うこともある。
 一対選好テストの問題点として、仮に2製品が全く同一でも、かなり多くの被験者がどちらかを選好するという点が挙げられる。先行研究における回答分布はいろいろだが、たとえば40%-20%-40%。選好反応は製品属性だけでなく、なんらかの「外的要因」にも影響されているわけである。それら外的要因は、2製品が異なるときにも影響しているはずだが、その大きさはわからない。そこで、被験者に全く同じ2製品のペア(これをプラセボ・ペアと呼ぶ)についての一対選好テストと、異なる2製品のペア(テスト・ペアと呼ぶ)についての一対選好テストを求め、結果を比較する、という手続きが用いられることもある。

 一対選好テストにおける「外的要因」についての研究は2系統ある。
 ひとつは統計学的な研究で、プラセボ・ペアへの反応とテスト・ペアへの反応をどう比べるかという研究。カイ二乗検定とか、hedonic d'を使うとか...[中略]
 もうひとつは実験心理学的研究の系統で(本論文もこれに属する)、「外的要因」をどうやったら排除できるかを考える。先行研究としては、"No preference"を複数水準にすると合計の割合が増えるとか[←そりゃそうでしょうね]、"liking"じゃなくて"buying"の選好を訊くと"No preference"が増えるとか[←そりゃそうでしょうね]、韓国人はなぜか"No preference"が少ないとか[←へえー]、プラセボ・ペアに"No preference"反応をする傾向には安定性がないとか、いろいろあるけど、問題の解決には遠い。

 著者ら(Alfaro-Rodriguez, et al., 2007 Food Quality & Preference; Sung et al., 2011 J. Sensory Studies)は「プラセボ・ペアで"No preference"と答えた人がテスト・ペアでこう答えたか」に注目した研究を行ってきた。いわばプラセボ・ペアをスクリーナとして使うわけだが、サンプルサイズが1/3くらいになっちゃうのが欠点である。それに、プラセボ・ペアでは「外的要因」に惑わされた人でも、テスト・ペアでは製品属性の違いに目覚めて選好を回答してるかもしれない。
 問題は、消費者が「選好テストではどっちかを選好しなきゃ」と思っちゃっているという点にある。そういう思い込みを捨てて気持ちよく"No preference"とお答えいただき、スクリーナ通過者が増えるように、テストの外見と構造を修正したい。

 そこでtriadic選好テストをご提案します。
 3製品(実はうち2品が同一製品)を提示し選好を訊く。選択肢は、「2製品は同じ、残り1製品はそれより上」「2製品は同じ、残り1製品はそれより下」、「すべて同じ」、「3製品それぞれちがう」の4種類(紙に書いて見えるところに置いておく)。4番目の回答をした人はスクリーナを通過できなかったとみなし、除外して集計する。

 実験1。
 対象者は学生・大学職員、200名。刺激はジュース2銘柄(P,Q)。
 課題は2つ。課題1、通常の一対選好テスト。プラセボ・ペア、テスト・ペアの順。プラセボ・ペアはP-PとQ-Qの2種類(被験者を折半)。テスト・ペアはP-Q。休憩して、課題2、triadic選好テスト。
 結果。通常の一対選好テストでは、プラセボ・ペアに対する"No preference"は34%。triadic選好テストでは、スクリーナ通過者はなんと92%。

 実験2。教示をちょっと簡略化して変化をみる。[あんまり本質的な話じゃないと思うので略]

 考察。[プラセボ・ペアで選好が生じる理由について、急に大風呂敷を広げて議論しているけど、省略]

 いやあ。。。久しぶりに納得できない論文を読んだ。

 著者らいわく、同一の2製品(プラセボ・ペア)に対する選好テストで"No preference"率が低いということは、選好テストが製品属性以外のなんらかのノイズを被っているということを示している。ここまではわかる。
 そこで、そのノイズを減らすための工夫をしましょう、という話ならばよくわかる。また、ノイズを減らすのは難しいので、テスト・ペアだけでなくプラセボ・ペアについても選好テストを行い、プラセボ・ペアでの"No preference"率をノイズのサイズを表すベースラインにしましょう、という話であっても、よくわかる。
 いっそテスト・ペアとプラセボ・ペアを同一被験者に訊いちゃえ、という著者らのアプローチも理解できる。プラセボ・ペアで正しく"No preference"を選んだ人だけについて分析しましょう、というのも... おいおいずいぶん荒っぽい話だなとは思うけど、話の筋としては理解できる。
 しかし。この論文で著者らが云っているのは、そもそも選好テストにおける"No preference"反応率が不自然に低すぎるんだ、実験手続きを工夫して高めよう、という話なのである。あれれ? "No preference"率の低さは選好反応におけるノイズの強さを表してるんじゃなかったの? そのノイズの元を絶たずして、外見上の"No preference"率だけを高くしてもしょうがないんじゃない?
 著者らが示さないといけないのは、(1)一対選好テストにおける"No preference"反応率が、日常生活における選好とは異なり、一対選好テストそのものの課題特性によって不自然に低くなっているのだというエビデンス、(2)著者らが提案している新手法が、単に外見上の"No preference"率を高めているんじゃなくて、選好テストにおけるノイズの低減(著者らの主張によれば課題特性によるバイアスの低減)に寄与しているんだというエビデンス、なのではないかと思う。
 (1)が難しいというのはわかる。著者らにいわせれば選好と行動とは異なる概念であるから、結局のところ真の選好を示す外的基準は手に入らない。代わりに著者らは先行研究からそれっぽい定性的知見を引き合いに出しているけど(被験者の事後インタビュー)、議論としてはあまりに弱い。たとえば、"No preference"反応の検査再検査信頼性が低いというような証拠を出せばいいんじゃないかしらん。
 (2)についてはいろいろ調べる手があると思う。プラセボ・ペアの2製品の製品属性をちょっとずつ変えていって、既存手法と提案手法の判別能を比較するとか?

 ところでこの論文、実験手続きについてもかなり疑問があって、たとえば、実験1の手続きは変だと思う。被験者内で従来手法と提案手法の順で聴取し手法を比較している(それも刺激を使いまわして)。仮に試飲のたびに少しずつ真剣さが増してたらどうすんだ。従来手法と提案手法は被験者間で比較するか、被験者内だとしてもせめて順序をカウンターバランスするべきであろう。

 まあいいや。著者らの筋立てを離れて、提案手法について考えてみると...
 著者らは一対選好テスト(日本の伝統的な官能検査用語でいうところの「二点嗜好法」)を改善したいという入口から入って、新しい選好テストを開発するんだけど、結局のところ著者らが提案しているのは、日本で「三点嗜好法」と呼ばれているあの悪名高き手続きに近い。ちがいは、三点嗜好法ではまず3製品のなかの同一2製品を識別するように求め、次に選好を訊くのに対して、著者らの方法では識別を問わず、いきなり3製品の選好順序(タイあり)を訊く、という点である。
 よく知らずに勝手なことを言うけど、官能検査の方面の方々はこういう手法を嫌うんじゃないかと思う。感覚刺激に集中してもらうために、反応課題の認知負荷をできる限り軽くしようとするからだ。「この三つのうちどれが同じですか」「では同一の二つと残り一つのどちらが好きですか」を別々に訊く三点嗜好法が、いろいろ問題はあるとはいえ長く用いられてきたのは、個々の反応課題を単純にすべしという信念の表れではないかと思う。それに対して、3つの刺激の選好順位づけ、しかもタイありってのは、認知的に結構むずかしい課題だと思うのだが、どうだろうか。選択肢を紙に書いて見えるところに置いておかないといけないということ自体、このテストの認知負荷の高さを表しているのではないか。

 さらにいうと(嗚呼、いちゃもんがあふれ出てくる...)、そもそも「同一刺激に対してどちらかを選好した人は分析から除外する」という、著者らの枠組み自体がいかにもローテクに思えてしかたがない。百歩譲って、選好判断において製品属性以外のノイズに影響されちゃう人とそうでない人がいるとして、その個人差は二値的ではなく連続的なものだろう。むしろ、個人差の確率分布を仮定したなんらかのモデルをつくって、プラセボ・ペアでうっかりどっちかを選好しちゃった人のテスト・ペアへの回答には小さな重みをつけ、プラセボ・ペアで正しく"No preference"と答えた人には大きな重みをつける、というような、うまい統計的分析を考えたほうがいいんじゃなかろうか。

 なんか文句ばっかりメモしちゃったけど、考察のところに面白い話があったのでメモしておく。選好判断の妥当性を調べた研究は少なくて、9件法ヘドニック尺度でいえば論文が2本しかないそうだ。Peryam, et al. (1960) がのちの選択行動との関連を、Rosas-Nexticapa et al.(2005, J.Sensory Studies)がのちの購買行動との関係を調べている由。えええ、そんなに少ないかなあ? それは官能検査方面に限った話で、マーケティング分野での上市後売上予測に関する研究のなかで、もっとあるような気がするんだけど?
 ... おっと、また文句になってしまった。カルシウムが足りないのだろうか。

論文:マーケティング - 読了:Carderon (2015) 製品選好を訊く新手法

2016年10月 6日 (木)

Bookcover 神曲 地獄篇 (講談社学術文庫) [a]
ダンテ・アリギエリ / 講談社 / 2014-06-11
なにがきっかけなのか思い出せないんだけど、先日よりダンテ「神曲」をちびちびと読み進めている。これでようやく1/3。解説と照らし合わせないと、とてもじゃないけど理解できない。これは時間がかかりそうだ。

Bookcover 【第155回 芥川賞受賞作】コンビニ人間 [a]
村田 沙耶香 / 文藝春秋 / 2016-07-27
芥川賞&ベストセラーということで、ちょっと二の足を踏んだのだけど、面白い小説であった。

Bookcover 怪盗ニック全仕事(3) (創元推理文庫) [a]
エドワード・D・ホック / 東京創元社 / 2016-06-22
60年代から著者の死まで書き続けられた、ちょっとコミカルな味わいの短編ミステリ「怪盗ニック」シリーズ、従来ハヤカワから出ていたが、このたび新たに創元推理文庫で作品集が出る模様。初訳の作品も入っていた。正直、傑作ぞろいとはいいがたいんだけど、なんだか心和むんですよね、のんびりしていて。

Bookcover カンディード (光文社古典新訳文庫) [a]
ヴォルテール / 光文社 / 2015-10-08
ユーモアとアイロニーに満ちた哲学小説。面白かった。北杜夫の童話を思い出したんだけど、ひょっとしてなにか関係があるのかしらん。

Bookcover 夏に凍える舟 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) [a]
ヨハン テオリン,Johan Theorin / 早川書房 / 2016-03-09
夏ごろに読んで、記録するのを忘れていた。暗くて重ーい北欧ミステリ四部作、その最終作。

Bookcover シェイクスピア全集 (5) リア王 (ちくま文庫) [a]
W. シェイクスピア / 筑摩書房 / 1997-12-01
前に小田島訳で読んでいたが、このたび松岡訳で再読。いやー、面白い。いろいろ思うところあるのだが、ひとつだけメモしておくと、コーディリアって、この人、仕事ができるタイプの人だよね...

フィクション - 読了:「神曲 地獄篇」 「コンビニ人間」「リア王」「カンディード」「怪盗ニック全仕事3」「夏に凍える舟」

Bookcover マーケティング・リサーチの基本 [a]
岸川 茂,JMRX / 日本実業出版社 / 2016-09-29
お世話になっている方が企画し、知人を含め多くの人々が寄ってたかって書いた本。どうか売れますように... 南無南無...

マーケティング - 読了:「マーケティング・リサーチの基本」

Bookcover 「南京事件」を調査せよ [a]
潔, 清水 / 文藝春秋 / 2016-08-25
しばらく前に、日本テレビが「南京事件 兵士たちの遺言」という優れたドキュメンタリー番組を放映し評判を呼んだけれど、これはその制作者による本。

日本近現代史 - 読了:「『南京事件』を調査せよ」

Bookcover 筑摩書房の三十年 1940-1970 (筑摩選書) [a]
和田 芳恵 / 筑摩書房 / 2011-03-16
1970年に出版された、筑摩書房の社史だそうだ。

Bookcover 新版 バブルの物語 [a]
ジョン・ケネス・ガルブレイス / ダイヤモンド社 / 2008-12-19
ガルさん... 滅法面白いですよ、ガルさん...

Bookcover ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢 (文春新書) [a]
佐藤 伸行 / 文藝春秋 / 2016-08-19

Bookcover 日本会議 戦前回帰への情念 (集英社新書) [a]
山崎 雅弘 / 集英社 / 2016-07-15

Bookcover 人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書) [a]
吉川 洋 / 中央公論新社 / 2016-08-18
日本の将来への悲観論は害悪なり、人口が減っても経済成長は可能、なぜなら成長を支えるのはイノベーションだから... という内容。残念ながら著者の意図に反し、さらに悲観的な気分になってしまった。だって、イノベーションってめっちゃ難しいじゃん...

Bookcover 分裂から天下統一へ〈シリーズ日本中世史 4〉 (岩波新書) [a]
村井 章介 / 岩波書店 / 2016-07-21

Bookcover 代議制民主主義 - 「民意」と「政治家」を問い直す (中公新書) [a]
待鳥 聡史 / 中央公論新社 / 2015-11-21
最初はアメリカ建国史と憲法というような話が続くので、読み通せるのかどうか不安になったが、読み終えてみると面白い本であった。
 本筋と全然関係ないけどメモ。政党の議席数は得票率と必ずしも対応しない。そのずれの程度を定量化する「非比例性指数」というのがあり、政党$i$の得票率を$v_i$、議席占有率を$s_i$として、$(1/2) \sqrt{ \sum_i (v_i - s_i)^2}$なのだそうだ。ずれの二乗和の平方根まではわかる、それをなぜ2で割るんだろう? 式をみて不思議に思い、ちょっと検索してみたら、他にもいろんな指数が提案されているようで、こりゃあきりがない、と慌ててブラウザのタブを閉じた。それにしても、ちょっと不思議だなあ。

ノンフィクション(2011-) - 読了:「日本中世史4 分裂から天下統一へ」「代議制民主主義」「筑摩書房の三十年」「バブルの物語」「ドナルド・トランプ」「日本会議 戦前回帰への情念」「人口と日本経済」

Bookcover 生き抜け、その日のために ―長崎の被差別部落とキリシタン― [a]
高山 文彦 / 解放出版社 / 2017-04-25
長崎・浦上の被差別部落の解放運動と、キリスト教弾圧の歴史を辿るカトリックの神父を軸にしたノンフィクション。浦上のキリシタンの弾圧において被差別部落は権力に使嗾された加害者の立場であり、その和解までには関係者の大変な努力が必要であった由。知らなかった。

Bookcover ガルブレイス:異端派経済学者の肖像 [a]
根井 雅弘 / 白水社 / 2016-08-27
旧著の再刊。同じ版元が「アメリカの資本主義」を再刊するのにあわせての出版だそうだ。ガルブレイスさんの本はもっと読んでみたいと思っていたところなのでうれしいんだけど、これ、なにがきっかけなのかしらん。単に没後10年というだけ?

Bookcover YKK秘録 [a]
山崎 拓 / 講談社 / 2016-07-20

Bookcover 上方文化講座 曾根崎心中 [a]
/ 和泉書院 / 2006-09-01

Bookcover 武士道の誤解 捏造と歪曲の歴史を斬る [a]
清水 多吉 / 日本経済新聞出版社 / 2016-07-09

Bookcover 堤清二 罪と業 最後の「告白」 [a]
博, 児玉 / 文藝春秋 / 2016-07-27

Bookcover なぜ蚊は人を襲うのか (岩波科学ライブラリー) [a]
嘉糠 洋陸 / 岩波書店 / 2016-07-15
いやー、面白かった。科学読み物の秀作であった。

ノンフィクション(2011-) - 読了:「なぜ蚊は人を襲うのか」 「堤清二 罪と業 最後の告白」「ガルブレイス 異端経済学者の肖像」 「武士道の誤解」 「生き抜け、その日のために」 「YKK秘録」 「上方文化講座・曽根崎心中」

Bookcover ハウアーユー? (フィールコミックス) [a]
山本美希 / 祥伝社 / 2014-09-08
良いマンガなんだけど、なんていえばいいんだろう? ものすごく理詰めの演出というか、遊びを取り除いたような感じというか、本作は単行本描き下ろしだけれども仮にそうでないならばいったいどんな媒体に載るのか見当がつかないというか、とにかくちょっと異質な印象を受けるマンガであった。なぜそう思うんだろうと考えながら読み進めて、あ、これはもしかして大学だか大学院だかでマンガを学んだ人なんじゃなかろうか、と。調べてみたらそれどころか、筑波大の若い助教さんであった(我ながら勘がいいな、と自画自賛)。それにしても、マンガを取り巻く社会的環境も変わってきましたね。

Bookcover 三代目薬屋久兵衛 4 (フィールコミックス) [a]
ねむ ようこ / 祥伝社 / 2016-09-08

Bookcover いつかティファニーで朝食を 6 (BUNCH COMICS) [a]
マキ ヒロチ / 新潮社 / 2014-12-09

Bookcover レッド(8)<完> (KCデラックス) [a]
山本 直樹 / 講談社 / 2014-02-21

Bookcover 闇金ウシジマくん (38) (ビッグコミックス) [a]
真鍋 昌平 / 小学館 / 2016-09-20

Bookcover ブルーサーマル 2: 青凪大学体育会航空部 (BUNCH COMICS) [a]
小沢 かな / 新潮社 / 2016-04-09

Bookcover 日の鳥 2 [a]
こうの史代 / 日本文芸社 / 2016-05-30

コミックス(2015-) - 読了:「ハウアーユー?」「日の鳥」「三代目薬屋久兵衛」「ドロヘドロ」「いつかティファニーで朝食を」「レッド」「闇金ウシジマくん」「ブルーサーマル」

Bookcover 銃座のウルナ 2 (ビームコミックス) [a]
伊図透 / KADOKAWA/エンターブレイン / 2016-08-25
この作者の作品は新人の時からずっと忠実に追いかけているんだけど、すごく魅力的な風呂敷がうまく畳まれるかどうかに、いささか不安が残るのである。どうかどうか、話をきちんと完結させてくださいますように...
 第一巻は凝りまくった造本も印象的であったが、この二巻目はごく普通であった。売れているといいんだけど。

Bookcover ヴィンランド・サガ(18) (アフタヌーンコミックス) [a]
幸村誠 / 講談社 / 2016-08-23

Bookcover 地獄のガールフレンド 2 (フィールコミックスFCswing) [a]
鳥飼 茜 / 祥伝社 / 2016-03-08

Bookcover めしばな刑事タチバナ 22 (トクマコミックス) [a]
坂戸佐兵衛,旅井とり / 徳間書店 / 2016-07-30

Bookcover 中間管理録トネガワ(3) (コミックDAYSコミックス) [a]
萩原天晴,福本伸行,橋本智広,三好智樹 / 講談社 / 2016-08-05

Bookcover BLUE GIANT(9) (ビッグコミックス) [a]
石塚真一 / 小学館 / 2016-09-09

Bookcover 重版出来!(8) (ビッグコミックス) [a]
松田奈緒子 / 小学館 / 2016-08-30

コミックス(2015-) - 読了:「銃座のウルナ」 「地獄のガールフレンド」 「ヴィンランド・サガ」「めしばな刑事タチバナ」 「中間管理職トネガワ」 「BLUE GIANT」「重版出来!」

Bookcover 鬱ごはん 第2巻 (ヤングチャンピオン烈コミックス) [a]
施川ユウキ / 秋田書店 / 2016-08-19
自意識過剰気味の暗ーい青年を主人公にしたコメディ。これ、好き嫌いが分かれそうだが、私はとても気に入っている。そこはかとないユーモアがある。

Bookcover 忘却のサチコ (7) (ビッグコミックス) [a]
阿部 潤 / 小学館クリエイティブ / 2016-08-30

Bookcover あさひなぐ (20) (ビッグコミックス) [a]
こざき 亜衣 / 小学館 / 2016-08-30

Bookcover シュトヘル (13) (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL) [a]
伊藤 悠 / 小学館 / 2016-09-12

Bookcover 千と万(3) (アクションコミックス(月刊アクション)) [a]
関谷 あさみ / 双葉社 / 2016-09-12

Bookcover 娘の家出 5 (ヤングジャンプコミックス) [a]
志村 貴子 / 集英社 / 2016-09-16

Bookcover いぬやしき(7) (イブニングKC) [a]
奥 浩哉 / 講談社 / 2016-08-23

コミックス(2015-) - 読了:「鬱ごはん」「忘却のサチコ」「あさひなぐ」「シュトヘル」「千と万」「娘の家出」「いぬやしき」

Bookcover たそがれたかこ(8) (KCデラックス) [a]
入江 喜和 / 講談社 / 2016-09-13
平凡な中年女性の平凡な日々に潜む葛藤を丁寧に描く作品。いま一番気になるマンガのひとつである。

Bookcover チェイサー(3) (ビッグコミックス) [a]
コージィ城倉 / 小学館 / 2015-07-30
Bookcover チェイサー(4) (ビッグコミックス) [a]
コージィ城倉 / 小学館 / 2016-08-30

Bookcover あれよ星屑 5 (ビームコミックス) [a]
山田 参助 / KADOKAWA/エンターブレイン / 2016-08-25

Bookcover 機械仕掛けの愛 (4) (ビッグコミックス) [a]
業田 良家 / 小学館 / 2016-07-29

Bookcover スティーブ・ジョブズ(5) (KCデラックス) [a]
ヤマザキ マリ / 講談社 / 2016-08-12

Bookcover ダンジョン飯 3巻 (ビームコミックス) [a]
九井 諒子 / KADOKAWA/エンターブレイン / 2016-08-12

Bookcover 健康で文化的な最低限度の生活 (4) (ビッグコミックス) [a]
柏木 ハルコ / 小学館 / 2016-08-30

コミックス(2015-) - 読了:「チェイサー」「あれよ星屑」「機械仕掛けの愛」「スティーブ・ジョブズ」「たそがれたかこ」「ダンジョン飯」「健康で文化的な最低限度の生活」

いまそんなことをしている場合ではないのだが... 最近読んだ本の記録。まずはコミックスから。

Bookcover アキオ… (ビッグコミックススペシャル) [a]
村上 たかし / 小学館 / 2016-08-30
主人公は若く美しい妻と可愛い娘だけを心のよすがに生きる冴えない中年サラリーマン。ある日帰宅すると、狭いダイニングに見知らぬ男がいて、妻と共に土下座する。「別れてください」。男はかつて妻と引き裂かれ、IT事業で身を起こした青年で、経済力はもちろんのこと、人格から外見に至るまで、あらゆる側面で主人公を上回る。主人公は妻と娘の幸せを思い離婚を承諾するが、ある奇妙な条件をつける。。。
 1巻完結のコメディ。情けない主人公の悲哀が胸に迫る。喜劇と悲劇とはまさに裏表なのだ、と改めて痛感した。最近読んだマンガのなかではピカイチに面白かった。

Bookcover 取水塔 [a]
粟岳高弘 / 駒草出版 / 2016-06-01

Bookcover 辺獄のシュヴェスタ (4) (ビッグコミックス) [a]
竹良 実 / 小学館 / 2016-09-12

Bookcover 東京タラレバ娘(6) (KC KISS) [a]
東村 アキコ / 講談社 / 2016-09-13

Bookcover 緑の罪代 (フラワーコミックスアルファ) [a]
梅 サト / 小学館 / 2015-11-10

Bookcover 昭和元禄落語心中(10)<完> (KCx) [a]
雲田 はるこ / 講談社 / 2016-09-07
完結。良いマンガであった。

Bookcover 吼えろペン (サンデーGXコミックス CHRONICLE) [a]
島本 和彦 / 小学館 / 2010-07-17
先日、日本マンガを主題にした美術展「「描く!」マンガ展」を観に行ったときに知ったのだけど、ベテラン漫画家の島本和彦さんのかつての連載作「吠えよペン」、実は掲載されなかった幻の最終話がある由。なるほど、確かにちょっと腑に落ちない終わり方ではあった。
 その最終話はのちにひっそりと出版されたということなので、探した挙句、版元に注文して手に入れた。コンビニ販売用の傑作選。お目当ての最終話は、それまでのストーリーに照らして腑に落ちる見事なものだったが、なによりも、この最終話が掲載中止となった事情を語るオマケのマンガがとても面白かった(ヤングサンデーの休刊にぶつけるタイミングで、マンガ誌の休刊をネタにしたマンガを同じ版元のマンガ誌に掲載することは可能か...という問題)。どの世界にもいろいろな大変さがあるのだなあ。

コミックス(2015-) - 読了:「アキオ」「取水塔」「辺獄のシュヴェスタ」「東京タラレバ娘」 「緑の罪代」「昭和元禄落語心中」「吼えろペン」

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