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2008年6月29日 (日)

Bookcover赤い諜報員[a]
太田 尚樹 / 講談社 / 2007-11
ゾルゲ,尾崎秀実,アグネス・スメドレーが活躍する講談調小説であった。著者は学者さんだから史実には正確なのかも知れないけど,小説としては,ちょっと。。。

フィクション - 読了:06/29まで (F)

Bookcover 愛国経済 中国の全球化(グローバリゼーション) (朝日選書) [a]
吉岡 桂子 / 朝日新聞出版 / 2008-04-10

Bookcover 人事と出世の方程式 (日経プレミアシリーズ) [a]
永井 隆 / 日本経済新聞出版社 / 2008-06

Bookcover 日本のアウトサイダー (中公文庫 R 9) [a]
河上 徹太郎 / 中央公論新社 / 2004-11

Bookcover 物乞う仏陀 (文春文庫) [a]
石井 光太 / 文藝春秋 / 2008-06-10

Bookcover 公安調査庁の深層 (ちくま文庫) [a]
野田 敬生 / 筑摩書房 / 2008-06-10

Bookcover 元アイドル! (新潮文庫) [a]
吉田 豪 / 新潮社 / 2008-05-28

Bookcover よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり [a]
よしなが ふみ / 太田出版 / 2007-10-04

ノンフィクション(-2010) - 読了:06/29まで (NF)

Bookcover 甘粕正彦 乱心の曠野 [a]
佐野 眞一 / 新潮社 / 2008-05
文革の頃に日中共産党の関係が悪化し,日本の共産党から親中派の活動家たちが離脱したが,そのなかでいまでも活動を続けている党派のひとつが,下関にある日共左派である。反米愛国調の見出しが踊る新聞を出していて,もう亡くなっている党指導者がいまだ編集主幹ということになっていて,たしか劇団もやっていて,雰囲気がなんだかカルト的だと揶揄する文章を読んだ覚えがあるが,なにしろ遠く山口県の話だからよく知らない。
 かの甘粕大尉について書いたこの本を読んでいたら,突然その話が出てきてびっくりした。甘粕は満映で左翼からの転向者を多く配下に置いたが,その一人に三村亮一という非合法共産党の活動家がおり,この人が満州で結婚したのが檀一雄の妹の檀寿美さんという方(ってことは女優の檀ふみの叔母さんですね)。1917年生まれのこの方は現在,下関の長周新聞社(つまり,日共左派の機関紙)で「住み込みのスタッフとしてイラストなどの仕事をしている」のだそうで,檀一族の間では「毛沢東おばさん」と呼ばれているのだそうである。へえーー。
Bookcover 広田弘毅―「悲劇の宰相」の実像 (中公新書) [a]
服部 龍二 / 中央公論新社 / 2008-06

日本近現代史 - 読了:06/29まで (CH)

Bookcover 長い長いさんぽ ビームコミックス [a]
須藤 真澄 / エンターブレイン / 2006-01-16
飼い猫が死んだ経緯についてのエッセイマンガ。
ここんところ読んだマンガのなかではベストワン。悲しみのあまりちょっとおかしな挙動にいたる自分自身を,ユーモラスに描きだすところが凄い。この著者のマンガはあまり読んでいないんだけど,推測するに,生涯に一本しか書けないタイプの作品なのではないかと思う。

Bookcover 半神 (小学館文庫) [a]
萩尾 望都 / 小学館 / 1996-08

Bookcover ヴィンランド・サガ(6) (アフタヌーンKC) [a]
幸村 誠 / 講談社 / 2008-06-23

Bookcover ラブやん(10) (アフタヌーンKC) [a]
田丸 浩史 / 講談社 / 2008-06-23

Bookcover カワイコちゃんを2度見る [a]
福満 しげゆき / 青林工芸舎 / 2003-12

Bookcover おやじ文庫 (ビームコミックス文庫) [a]
桜 玉吉 / エンターブレイン / 2008-05-26

Bookcover 西洋骨董洋菓子店 (1) (ウィングス・コミックス文庫) [a]
よしなが ふみ / 新書館 / 2008-05-27
Bookcover 西洋骨董洋菓子店 2 (WINGS COMICS BUNKO) [a]
よしなが ふみ / 新書館 / 2008-05-27
Bookcover 西洋骨董洋菓子店 3 (WINGS COMICS BUNKO) [a]
よしなが ふみ / 新書館 / 2008-05-27
この著者の出世作らしい。「大奥」でこれはエライ作家だとびっくりしたのだが,とっくに有名な人だったようだ。で,急遽旧作を漁ったところ。。。
Bookcover 愛すべき娘たち (Jets comics) [a]
よしなが ふみ / 白泉社 / 2003-12-19
Bookcover こどもの体温 (ウィングス・コミックス) [a]
よしなが ふみ / 新書館 / 1998-07-01
この二作はよかったんだけど。。。
Bookcover それを言ったらおしまいよ (F×comics) [a]
よしなが ふみ / 太田出版 / 2004-01-24
これには油断した。いきなり野郎がフェラチオをはじめたので絶叫。通の方にとってはどうか知らんが,俺にとっては限度を超えるゲイマンガであった。表紙に「一般人さわるな危険」マークをつけておいてほしい。

コミックス(-2010) - 読了:06/29まで (C)

Kruskal, W. & Majors, R. (1989) Concepts of relative importance in recent scientific literature. The American Statistician, 43(1), 2-6.
 タイトルに重要性ということばが入っている論文を集めて,重要性をどうやって調べているかを集計した報告。統計的有意性に頼っている論文が多い由。ふーん。

Gustafsson, A. & Johnson, M.D. (2004) Determining Attribute Importance in a Service Satisfaction Model. J. Service Research, 7(2), 124-141.
 独立変数の重要性を調べる手法を比較した論文。サービス満足度・ロイヤリティと属性評価のデータについて,PLSモデル,主成分回帰モデル,重回帰モデル,NPE(単相関みたいなもの),重要性の直接評定を比較する。手法を評価する指標は,分散の説明率とか,重要性と重要性の順位の関係が線形になるかどうか(診断性の指標である由。よくわからん)とか,負の係数が出るかどうかとか。
 手法を評価する方法がいまいちわからなかったのだが。。。統計的指標は経験された満足に対する属性の重要性をうまく示し,いっぽう主観的指標はロイヤリティに対する属性の重要性をうまく示す由。なるほど,重要性測定手法の良し悪しは,目的変数の生成メカニズムによっても変わるわけだな。

Bring, J. (1994) How to standardize regression coefficients. The American Statistician, 48(3), 209-213.
 重回帰式における独立変数の重要性の指標として標準偏回帰係数を使うのは筋が通りません。X1の偏回帰係数は「X2, X3...が固定されたときになにが起きるか」をあらわしますが,X2, X3, ...が固定されちゃったらX1のSDも変わります。ですから偏回帰係数を全体のX1のSDで割る(標準偏回帰係数)のではなく,X2, X3, ...を固定したときのX1のSD,つまり偏SDで割るべきなのです。云々。
 ウプサラ大の院生さんが書いた論文。この雑誌は啓蒙的な論文が多いような印象があるのだが,心理学でいうAmerican Psychologistみたいなもんなんだろうか?
 論文中には独立変数の重要性がどうこうという話が出てくるが,そもそも偏回帰係数ベースの指標が重要性をあらわしうるのか,という議論は避けていて,あくまで偏回帰係数を重要性指標とみなすにあたっての正しい標準化について述べた論文であった。なるほど,それはそれでわかりやすい。
 数学がからきし駄目なのでよくわかんないんだけど,この人がお勧めしている新しい標準偏回帰係数というのは,きっとTypeIII平方和とか部分相関係数みたいなものなのであろう。

論文:データ解析(-2014) - 読了:06/29まで (A)

2008年6月 3日 (火)

Bookcover 吉野弘詩集 (現代詩文庫 第 1期12) [a]
吉野 弘 / 思潮社 / 1968-08
しばらく前からめくっていた本。付録の作家論は面倒だからパスして,読了にしておく。
 たとえばこんな詩がある。永年勤続を表彰される従業員が,式典のさなかに突然叫ぶ。「諸君/魂のはなしをしましょう/魂の話を!/なんという長い間/ぼくらは魂の話をしなかったんだろう」
 上のようなくだりに出会うと,この従業員はそれでも,仲間たちに向かって叫ぶことができたんだなあ,と思う。あるいは,同じ職場で何十年も顔をあわせるであろう同僚たちの倦怠や,首切案が出た朝の事務所の変わらぬ談笑や,挫折したストについて,この詩人は語ることができたのだなあ,と思う。それらはみな終身雇用制が生んだ詩なのだ。
 この詩人の作品は少しも古びていないけれども,それとはまた別に,連帯などということばがほとんど意味を持たなくなってしまった世界を,砂のように形を変えて流れていく人々についての詩,俺についての詩があってもいいはずだ,と思う。

Bookcover 白の闇 新装版 [a]
ジョゼ・サラマーゴ / 日本放送出版協会 / 2008-05-30

フィクション - 読了:06/03まで (F)

Bookcover ドキュメントヒトラー暗殺計画 [a]
グイド・クノップ / 原書房 / 2008-03-04

Bookcover 世界の歴史〈21〉アメリカとフランスの革命 (中公文庫) [a]
五十嵐 武士,福井 憲彦 / 中央公論新社 / 2008-04

ノンフィクション(-2010) - 読了:06/03まで (NF)

Bookcover インド夫婦茶碗 11 (11) (ぶんか社コミックス) [a]
流水 りんこ / ぶんか社 / 2008-05-30

Bookcover 昭和のこども‾こんな親でも子は育つ (ぶんか社コミックス) [a]
流水 りんこ / ぶんか社 / 2008-05-28

Bookcover グーグーだって猫である(4) [a]
大島 弓子 / 角川グループパブリッシング / 2008-05-30

コミックス(-2010) - 読了:06/03まで (C)

Gromping, U. (2007). Estimators of Relative Importance in Linear Regression Based on Variance Decomposition. The American Statistician 61, 139-147.
 相対的重要度についての論文。著者はRのrelimpというパッケージの作者でもある。
 Kruskal流のall subset regressionと,それを改善したというFeldmanのProportional marginal variance decomposition(PMVD)というアプローチを比較する。X1がX2を経由してYに影響しているとき(SEM風にいえば,X1に間接効果があって直接効果がないとき),X1はKruskal的な重要度は持つが,Feldmanのアプローチだと重要度が0になるのだそうだ。それはまあ,なんというか,良し悪しですわね。
 数学にはからきし弱いもので,Feldmanの提案の中身についてはさっぱりわからない。webで説明を公開しているが,査読論文ではない(この論文で引用されているのもdraftみたいなやつだ)。Feldmanさんに直接問い合わせてみたが(どうもありがとうございました),現時点でもそうらしい。これじゃ引用されにくいだろう,もったいないなあ,と思ったが,この方は自営の統計コンサルタントらしく,webには「PMVDによるヘッジファンドの分析をご提供します」などとハナヤカなことが書いてあるから,全然もったいなくないんだろうな。
 この論文には後にMenardという人がコメントを寄せていて,いわく,all subset regressionだのPMVDだのと大変な計算をしなくても,単に偏回帰係数×相関係数なりなんなりを重要度とみなせばいいじゃん,運悪く偏回帰係数が負になっちゃったら絶対値にすればいいじゃん,とのことであった。いやいや,いまそういう話をしてないでしょう,と笑ってしまったが(著者もコテンパンな感じの返答をしている),この人とてプロのstatisticianなわけであって。。。要するに,想定している課題状況がちがうんじゃないかと思う。

論文:データ解析(-2014) - 読了:06/03まで (A)

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