2012年7月18日 (水)
特高警察 (岩波新書)
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荻野 富士夫 / 岩波書店 / 2012-05-23
聞き書 野中広務回顧録
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/ 岩波書店 / 2012-06-29
さきほど読了。政治の世界は,やはり,怖い。。。
残念ながら,感想を書きとめる時間がないのだが...
マルティン・ルター――ことばに生きた改革者 (岩波新書)
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徳善 義和 / 岩波書店 / 2012-06-21
君主論 (岩波文庫)
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ニッコロ マキアヴェッリ / 岩波書店 / 1998-06-16
意外な面白本であった。文章に独特のリズムと力があって,読み飽きない。イタリア史の体系的な知識があれば,もっと面白いと思うのだが。
宮中のシェフ、鶴をさばく―江戸時代の朝廷と庖丁道 (歴史文化ライブラリー)
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西村 慎太郎 / 吉川弘文館 / 2012-04
包丁道を題材に,近世の公家家職について論じる内容であった。
劇場型首長の戦略と功罪―地方分権時代に問われる議会
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有馬 晋作 / ミネルヴァ書房 / 2011-11
ノンフィクション(2011-) - 読了:「宮中のシェフ,鶴をさばく」「劇場型首長の戦略と功罪」「君主論」「マルティン・ルター」
7月に入ってから読んだマンガ。
にげまどうし―みんなみんな、にげたがり (IKKI COMIX)
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三友 恒平 / 小学館 / 2012-06-29
たまりば 2巻 (ビームコミックス)
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しおやてるこ / エンターブレイン / 2012-06-15
瓶詰の地獄 (ビームコミックス)
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丸尾末広 / エンターブレイン / 2012-06-25
ものものじま 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
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野村 宗弘 / 小学館 / 2012-06-29
南国トムソーヤ 1 (BUNCH COMICS)
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うめ / 新潮社 / 2012-07-09
凍りの掌
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おざわゆき / 小池書院 / 2012-06-23
著者の父親のシベリア抑留体験についての聞き書きをマンガにしたもの。歴史学習的な価値は脇に置いても,これは素晴らしい作品だと思う。
シリウスと繭 1 (マーガレットコミックス)
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小森 羊仔 / 集英社 / 2012-06-25
コミックス(2011-) - 読了:「にげまどうし」「シリウスと繭」「凍りの掌」「南国トムソーヤ」「ものものじま」「瓶詰の地獄」「たまりば」
ちょっと身辺が混乱していて,読んだ本の記録さえきちんと取れなくなっている。以下は6月中に読んだマンガだと思うが,何冊が抜けがありそうだ。
とりあえず地球が滅びる前に 2 (フラワーコミックスアルファ)
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ねむ ようこ / 小学館 / 2012-06-08
ジゼル・アラン 3 (ビームコミックス)
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笠井スイ / エンターブレイン / 2012-06-15
夏雪ランデブー 4 (Feelコミックス)
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河内 遙 / 祥伝社 / 2012-04-07
コミックス(2011-) - 読了:「とりあえず地球が滅びる前に」「ジゼル・アラン」「夏雪ランデブー」
2012年7月10日 (火)
Marcoulides, G.A., Saunders, C. (2006) PLS: A silver bullet? MIS Quarterly, 20(2), iii-ix.
MIS Quarterly (MISはmanagement information systemの略) という雑誌にはときどきデータ解析の論文が載っているようで、特にPLSモデリングに関する論文を目にすることが多いような気がする。この文章は、2006年にエディタのMarcoulidesさん(SEMの有名な研究者だと思う)が巻頭コメントとして載せたもので、8頁を費やしつつも主旨は非常にシンプル。いわく... たとえばFalk&Miller(1992)の入門書には、PLSではサンプルサイズがそんなに重要でないなどと書いてあり、こういう意見を真に受けた投稿が最近増えていて困っている。審査で潰しているが追いつかない。「我々がこのエディトリアルを書いているのは、情報科学コミュニテイにおいてみられる、サンプルサイズが小さいときでもPLSなら使えるという誤った信念を打倒するためである。」はっはっは。
PLSだろうがなんだろうがサンプルサイズは大事なんだよ、各自モンテカルロ・シミュレーションで検定力を調べろよ、という仰せなのだが、その模範例として実演しておられるのが、2因子CFAの因子間相関の検定力という例。算出に使っているのはmplusである。思わず「節子、それPLSとちゃう、普通のSEMや」と呟いた。
研究者へのガイドラインとして、著者らは以下の点を挙げている。
- 現時点での理論的知識のすべてと整合するモデルを提案し、その理論を検証するためにデータを集めなさい。(→言うは易いが行うは難い、ですね...)
- ちゃんとデータをスクリーニングしなさい。
- モデルに出てくるすべての変数についてその計量心理的特性を検討しなさい。(→いかにも著者が云いそうなことだが、この分野の人にとっては耳が痛い指摘なのかも)
- モデルのなかで検討しているすべての変数の間で、関係性と効果の強さを調べなさい。(→たとえば因子間相関を調べているとき、因子の測定がプアだったら大きなサンプルが必要になる、というような話)
- ちゃんと信頼区間を求めなさい。
- 検定力を調べて報告しなさい。
論文:データ解析(-2014) - 読了: Marcoulides, & Saunders (2006) PLSは銀の弾丸ではない
2012年7月 2日 (月)
Greenland, S. (1989) Modeling and variable selection in epidemiologic analysis. American Journal of Public Health, 79(3), 340-349.
回帰モデリング(ロジスティック回帰とかCox回帰とかも含む)における諸注意事項をまとめたコメンタリー。重回帰の変数選択をクラシカルかつスマートにやることが鍵になるような仕事を抱えていて、面倒な作業の山の前でだんだん士気が落ちてきたので、気分転換のつもりで読んだのだけれど、これがまた面倒な内容で、ますます士気が落ちた。なんでこんな古いのを読まねばならんのかとも思うが、ステップワイズ変数選択がなぜ悪いかというような「枯れた」話題になると、新しい文献にはかえって説明が見つからないのである。
変数選択のところで面白かったのは、変数の有意性に基づくステップワイズ選択と、Change-in-esimate法でのステップワイズ選択を比較しているところ。後者は、独立変数のなかに注目している奴があって(これを投入することは確定している)、その係数が変わるかどうかで他の変数(共変量)の投入の是非を判断するやりかた。そういうやり方があることは知っていたが、伝統的な変数選択法と比較しようという発想がなかった(まるきり違う話題だと思ってた)。思うに、疫学では独立変数がリスク要因への曝露変数と共変量とにアプリオリに分かれていて、「曝露の効果を正しく推定するためにどうやって共変量を選択するか」という点だけが問題になるから、この二つの手法は同じ目的を持つことになるのだろう。機械的な変数選択そのものが良くないという話を別にすれば、Change-in-esimate法のほうが優れている由。いまちょっと調べてみたら、SASのproc regやproc glmselectではできないようだが、誰かがつくったマクロがあるらしい。Rではどうだかよくわかんなかった。
論文:データ解析(-2014) - 読了:Greenland (1989) 疫学における回帰モデルと変数選択
丸岡吉人 (1998) ラダリング法の現在:調査方法、分析手法、結果の活用と今後の課題. マーケティング・サイエンス, 7(1-2), 40-61.
消費者調査手法のひとつであるラダリング法についての包括的レビュー。著者は電通の超偉い人。
web調査の話が数行しか出てこないあたりに時代を感じるけど、内容は古くなっていないと思う。仕事と関係しているので詳細は書かないが、大変勉強になりました。
論文:調査方法論 - 読了:丸岡(1998) ラダリング法の現在
Christodoulides, G. & de Chernatony, L. (2010) Consumer-based brand equity conceptualisation and measurement: A literature review. International J. Market Research, 52(1), 43-66.
消費者ベースのブランド価値(CBBE)の測定についての文献レビュー。ちょっと用事があって読んだ。前に一度ざっとめくってあったのだけど、内容を全然覚えていなかった。
いくつかメモ:
- 消費者ベースのブランド価値(CBBE)の研究は、アーカーさんとかケラーさんのように記憶構造に焦点を当てた認知心理学の系統のものと、市場の不完全性・非対称性に焦点を当てた情報の経済学の系統のものがある。後者の観点からは、ブランドとは消費者に対するシグナル、CBBEはそのシグナルの価値である。研究例としてErdem&Swait(1998, J. Consumer Psych.)というのが挙げられている。ふうん。
- 著者らはCBBE測定をdirectな方法とindirectな方法にわける。前者は、たとえばPark&Srinivasan(1994,JMR)のように、コンジョイント分析やブラインドテストで製品のブランド名抜きの選好を測り、ブランド名つきの場合の選好から引き算するアプローチである(わたしも試しました。ははは)。著者らいわく、このアプローチではブランド価値をその規定因へと分解できない(そりゃまあそうですね)。なお、Kamakura&Russell(1993, IJMR)は選好じゃなくてスキャンデータを用いており、またSwait et al.(1993, IJMR)はブランド名の価値ではなくブランドつき製品の全体効用だけに注目し「全製品のシェアが等しくなる」仮説的価格を求めているとのこと。どちらも面白そうだ。
- いっぽうCBBEのindirectな測定とは、ブランド価値を反映するであろう、選好や効用以外の諸指標を多次元的に調べる方法。アーカーの影響の下、提案はたくさんあるけど(そしてそれぞれ次元のリストが違うんだけど)、実証研究として一番すぐれているのはYoo&Donthu(2001, J. Business Res.)である由。brand awareness&association, perceived quality, brand loyaltyの3次元だそうだ。その他、次元の国際比較としてBuil et al.(2008, J. Product & Brand Mgmt.)というのがある由(2ヶ国間比較だけど)。なお、ブランドの価格プレミアムに注目するアプローチもあるが(Ailawadi et al., 2003, J.Mktg)、著者らは否定的。
- CBBEのindirectな測定においては、コンサル企業の独自ソリューションも重要なプレイヤーで、Interbrand, Young&Rubicam, WPP(ブランドとしてはMillward Brownなんだろうな), Research International のモデルが挙げられている。わざとじゃないか、と笑っちゃうぐらいにお互い次元が違う。最後のRIのソリューション(Equity Engine)は、webで探してみたけど、現存しているのかどうかよくわからなかった。
- 本筋とはちがうけど、対人認知とブランド認知は神経基盤からして違う、というfMRIの研究があるんだそうだ(Yoon, et al., JCR)。へー。
著者らによる研究者・実務家へのアドバイス:
- ブランド価値は多面的概念であって、どういう指標を選ぶべきかはそのブランドのビジョンによって決まる。高級スーパーは安売りスーパーより知覚品質に関心を持つだろう。
- ブランドが製品経験全体に寄与しているそのあり方を知ることが大事だ。
- 指標はカテゴリによってちがって当然。ユニバーサルなブランド価値指標なんて意味がない。(→はっはっは)
- ブランド価値測定は知覚と動機づけによって構成されるべき。行動指標じゃなくて。
- 機能的側面、感情的側面、経験的側面のすべてを含めることが大事。
- マネージャーが短期的な財務指標に注目しすぎている昨今、ブランド価値が金銭的な儲けにつながっているんだということ、そういう諸側面を評価することが大事だということ(そしてそれを維持する方法)を心して説くべきである。
論文:マーケティング - 読了:Christodoulides, G. & de Chernatony, L. (2010) 消費者ベースのブランド価値測定