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2014年2月16日 (日)
Mplus 7.1に搭載された多群因子分析のための新機能が、魅力的なんだけどちょっとわかりにくいので、自分のための備忘録としてメモをとった。誰かの役に立たないとも限らないからブログに載せておく。きっとどこか間違えていると思うので、ほんとにお使いになる方はマニュアルをごらんください。
この新機能 「MODEL=」は、「GROUPING=」か「KNOWNCLASS=」をつかった多群モデルで、測定不変性についてのカイ二乗検定を自動的にやってくれるというもの。従来は「DIFFTEST=」を使ったりなんだり、非常に面倒だった。
「MODEL=」が使えるのはCFAかESEMのモデル。BY文は一回しか使えない(一次因子しか定義できない)。部分測定不変性は扱えない。変数のタイプは以下に限られる。
- 連続変数で、ML推定かベイズ推定
- センサード変数で、WLS推定かML推定
- 二値ないし順序カテゴリカル変数で、WLS推定かML推定かベイズ推定
- カウント変数で、ML推定
つまり、inflatedな変数(日本語ではなんて訳すのかしらん... 「ゼロ過剰モデル」っていうときの「過剰」ですね)、名義変数、連続時間生存変数、負の二項分布の変数、は扱えない。
「MODEL=」は値として、CONFIGURAL, METRIC, SCALARの並びをとる。たとえば「MODEL = CONFIGURAL METRIC SCALAR;」という風に指定する。
さて、「MODEL=」を指定すると正確にはどんなモデルが構築されるのか、という点だが、これが結構ややこしい...
以下、因子分散の指定を、どこかの項目の因子負荷を固定するやり方で行う場合を[A]、どこかの群の因子分散を固定するやり方で行う場合を[B]と略記する。なお、Mplusが勝手に [B]を適用するとき、「GROUPING=」を使っている場合は最初の群、「KNOWNCLASS=」を使っている場合は最後の群が選ばれる。
- 連続変数、センサード変数、カウント変数の場合。これはまあ想像通りで、
- CONFIGURAL: 因子負荷、切片、残差分散は群間で自由。因子平均は全群で0に固定。
- METRIC: 因子負荷は群間で等値。切片と残差分散は群間で自由。因子平均は全群で0に固定。
- SCALAR: 因子負荷と切片は群間で等値。残差分散は群間で自由。因子平均はある群で0に固定, 他の群は自由。
- さあ、徐々にややこしくなって参ります。二値変数、WLS推定の場合。なお、以下にスケール・ファクタとあるのはdelta法の場合、残差分散とあるのはtheta法の場合。
- CONFIGURAL: 因子負荷、閾値は群間で自由。スケール・ファクタor残差分散は全群で1に固定。因子平均は全群で0に固定。
- METRIC: 指定できない。
- SCALAR: 因子負荷と閾値は群間で等値。スケール・ファクタor残差分散はある群で1, 他の群で自由。因子平均はある群で0, 他の群で自由。
- 二値変数、ML推定の場合。METRICが指定できる。なぜなら、残差分散がどの群でも1であると暗黙のうちに指定されているから(そ、そうなんですか)。
- CONFIGURAL: 因子負荷、閾値は群間で自由。因子平均は全群で0に固定。
- METRIC: 因子負荷は群間で等値、閾値は群間で自由、因子平均は全群で0に固定。
- SCALAR: 因子負荷と閾値は群間で等値。因子平均はある群で0, 他の群で自由。
- 順序カテゴリカル変数、WLS推定の場合。なお、以下のいずれかの場合、METRIC は指定できない: (1)クロス・ローディングがある場合。(2)[B]路線。(3)ESEM。なお、以下にスケール・ファクタとあるのはdelta法の場合、残差分散とあるのはtheta法の場合。
- CONFIGURAL: 因子負荷、閾値は群間で自由。スケール・ファクタor残差分散は全群で1に固定。因子平均は全群で0に固定。因子分散は、[A]ならば群間で自由、[B]ならばある群を除き自由。
- METRIC: 因子負荷は群間で等値。スケール・ファクタor残差分散はある群で1, 他の群で自由。因子平均はある群で0, 他の群で自由(←ここ、つい勘違いしそうですね)。各項目の最初の閾値が群間で等値。2番目以降の閾値は、[A]のために選ばれた項目のみ群間で等値。因子分散は群間で自由。なんでこんな指定になるのかは、Millsapの測定不変性の本を読めとのこと。いやーん。
- SCALAR: 因子負荷と閾値は群間で等値。スケール・ファクタor残差分散はある群で1, 他の群で自由。因子平均はある群で0, 他の群で自由。因子分散は、[A]ならば群間で自由、[B]ならばある群を除き自由。
- 順序カテゴリカル変数、ML推定の場合。
- CONFIGURAL: 因子負荷、閾値は群間で自由。因子平均は全群で0に固定。
- METRIC: 因子負荷は群間で等値。閾値は群間で自由。因子平均は全群で0に固定。因子平均はある群で0, 他の群で自由。
- SCALAR: 因子負荷と閾値は群間で等値。因子平均はある群で0, 他の群で自由。
あれ? 二値や順序カテゴリカル変数でベイズ推定したらどうなるんだろうか。今度試しにやってみよう。
雑記:データ解析 - Mplus 7.1 で多群因子分析をやるときの魅惑の新機能 MODELオプションについて