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2005年11月30日 (水)

 勤め先の会社で,調査データをどう分析するかという相談をしていたら,相手がふとこんなことを云った。データを調べる前に,あらかじめ「見たいもの」を決めてしまうようなやり方は嫌なんです。なんだかそれって予定調和だという感じがする。
 そうつぶやいた若い女性は,データ解析に関してはほぼnoviceだといってよい。しかし,(会社の先輩に対して大変失礼な言い方だが) とても勘の良い人で,明確で筋道だった問題意識を持っている人だった。
 どんな話の流れの中でそんな言葉がでてきたのか,よく思い出せない。その時は特に強い印象を受けず,なにか適当な受け答えで済ませてしまったような気がする。ずっとあとになって,あの言葉は俺に対する間接的な批判ではなかったか,と考えるようになった。正確にいえば,それは意図的な批判ではない。そのときの文脈やそのあとのやりとりから考えても,その人自身は俺に対して反論する意図を全く持っていなかったし,その言葉も深い意味合いをこめたものではなかったと思う。しかし俺にしてみると,その人に対して俺が繰り返し強調していたことについて,その問題点を一言で言い当てられたような,首筋にそっとナイフを当てられたような気がしたのだった。

 俺がその人に主張していたのはこういうことだ。ここにデータ行列があるから,それを虚心に眺め,なにか面白い事柄をみつけよう --- こういう発見的な方略は,魅力的ではあるけれども,勝算がほとんどない。まず「なにが見たいのか」を決めましょう。どんなナイーブな思いつきでもいい,分析に際しての視点を定めましょう。
 俺の考え方は決して間違っていないと思う。何の予断も持っていないように思えても,実はデータを手にした段階で,我々は現象を捉えるなんらかの枠組みを持っているものだ。我々はその枠組みに沿って問いを立て,その枠組みに沿って結果を解釈する。だから,その枠組みを顕在化・明確化することがまず必要だし,それによって「見たいもの」は自ずから定まるはずだ。強い言い方をすれば,分析に際して「見たいもの」がはっきりしないというのは,当該の現象そのものについてよほど関心がないか,でなければ物事をきちんと考えていないということだと思う。
 さらにいえば,実際の分析手順としてみても,ある程度までは仮説検証的なアプローチを採るのが現実的だ。データ行列が含んでいる情報はあまりに豊かであり,データをインタラクティブに視覚化して仮説探索していく作業は,仮説検証的な分析よりもはるかに高いスキルを必要とする。要するに,仮説を探すよりも検討する作業のほうがラクなのだ。考えてみればそれは当たり前の話で,仮説検証と仮説探索のちがいは,現象を抽象化するというしんどい作業をあらかじめ済ましておくかどうかというちがいでもある。
 でもその一方で,あらかじめ視点を限定すればするほど,そこから得られる知見は痩せていく。現象駆動的な問題意識からスタートしている場合,確たる理論的背景がないこと自体は悪いことではないし,そのときデータとの対話の中で自分の分析枠組みを明確化していこうとするのはひとつの見識だし,そうすることによってしか得られないタイプの視点もあるはずだ。俺はそういう要素をできるだけ減らして,コストと納期を見積もりやすい分析へと向かおうとしていたわけだが,それが一種の出来レースだという批判は,なるほど一面の真実である。

 というのは,ずいぶん奇麗な言い方だ。
 要するに怖いのです。データと際限なく格闘する泥沼に突き進むのが。答えがないかもしれない問いに巻き込まれるのが。容赦なく時間だけが経ち,はっきりするのは自分の無能さだけ,そういう恐怖をあなたは知っていますか(誰に向かって訴えているんだかわからんが)。真実なんてどうだっていい,平和が欲しい,幸せになりたい。そういうお年頃なのです。

雑記:データ解析 - 予定調和

Bookcover 博士の愛した数式 (新潮文庫) [a]
小川 洋子 / 新潮社 / 2005-11-26
大変に評判になった本で,かえって手に取るのがためらわれていたのだが,文庫化されたのでは読まざるを得ない。
帰りの電車で読み始め,読み終えないうちに自宅の最寄り駅についたが,本を閉じるのが惜しいくらいであった。上手い。。。とにかく上手い。精緻な構成に溜息が出る。

フィクション - 読了:11/30 (F)

Bookcover だめんず・うぉ~か~ (9) (SPA! comics) [a]
倉田 真由美 / 扶桑社 / 2005-11

コミックス(-2010) - 読了:11/30まで (C)

2005年11月26日 (土)

Bookcover 悪役レスラーは笑う―「卑劣なジャップ」グレート東郷 (岩波新書 新赤版 (982)) [a]
森 達也 / 岩波書店 / 2005-11-18

ノンフィクション(-2010) - 読了:11/26まで (NF)

Bookcover ハルビン・カフェ (角川文庫) [a]
打海 文三 / 角川書店 / 2005-07-23
たまたま読み始めたのだが,これがとんでもなく面白くて,仕事が手につかないほどであった。
Bookcover 時には懺悔を (角川文庫) [a]
打海 文三 / 角川書店 / 2001-09
で,あわてて本屋でこの人の他の本を探し,コーヒーショップで読み始めたら,これがさらにまた面白くて,小一時間かけて読み終えるまで滞在するはめになった。最近読んだなかでは最大のヒット。昔の北方謙三のようなタイトルといい,二時間ドラマみたいな状況設定といい(「私立探偵とその見習いの女がたまたま死体を見つける」というのが導入部),これがこんなに素晴らしい小説だなんて,普通気がつかないぞ。
Bookcover 太鼓たたいて笛ふいて (新潮文庫) [a]
井上 ひさし / 新潮社 / 2005-10-28
音楽劇のかたちをとっている分だけ情報量がすくないんだけど,それにしてもメッセージがとても直接的で,ああ「イーハトーブの劇列車」のころの井上ひさしからはまた違ってきているんだな,と思った。

フィクション - 読了:11/26まで (F)

Bookcover 魁!!クロマティ高校 (15) 少年マガジンコミックス [a]
野中 英次 / 講談社 / 2005-11-17

Bookcover 55歳の地図 (ニチブンコミックス) [a]
黒咲 一人 / 日本文芸社 / 2005-05-19

Bookcover まほおつかいミミッチ 1 (IKKI COMICS) [a]
松田 洋子 / 小学館 / 2004-10-29

Bookcover 花喰幻燈機 [a]
三浦 靖冬 / ワニマガジン社 / 2005-09

Bookcover さおり&トニーの冒険紀行 ハワイで大の字 [a]
小栗 左多里,トニー・ラズロ / ソニー・マガジンズ / 2005-11-25
またこの夫婦に貢いでしまった...
Bookcover アジ玉。 [a]
黒川 あづさ / 中央公論新社 / 2005-11

コミックス(-2010) - 読了:11/26まで (C)

Bookcover 学力を育てる (岩波新書 新赤版 (978)) [a]
志水 宏吉 / 岩波書店 / 2005-11-18
知識重視的な学力観と態度重視的な学力観の振り子を乗り越えることが必要だ。学力は家庭の文化的環境に強く規定されている(データは岩波の「学力の社会学」の再利用。説明の引き合いに出すのはバーンスタインとブルデュー)。しかし格差を乗り越えるeffective schoolもある(ここでフィールド調査の紹介)。家庭と学校と地域がcollaborateするコミュニティが大事だ。
 最初の一章が子ども時代の思い出話に割かれていて,ドウシヨウカと思ったが(個人的体験を引き合いに出すのはくだらない教育論の目印だと思う),さすがに一線の学者だけあって,内容はまともだった。「学力の社会学」はきちんと読みかえさないといかんなあ。
 データ面では,定量調査とフィールド調査の両方を握っているのが強いところだ。大学の先生が観察先の現場の悪口を書くことは考えにくいわけで,そのへんは割り引いて考えるべきだと思うが,それにしてもちょっと面白そうだ。フィールドの話は岩波ブックレットになっている由。
 ゆとり教育的な新学力観は否定しないが,基礎学力を重視する方向との止揚をはかるべきだという立場(なるほどそりゃそうですね)。初等教育の学力差が社会格差を再生産するという問題意識はあるが,親御さんの心配りでどうにかなると考えている節があって,その点オプティミスティックだ。
 面白かったのは,学校選択制(金子郁容とかのいうところのコミュニティースクール)にはきわめて否定的であるところ。そっちは東京発の提案で,いっぽう大阪では学区ベースの教育コミュニティへの努力がなされている由(著者は阪大の先生)。どの業界にもそれぞれ事情があるものですね。

本は読み終えたらすぐにメモをとっとかねばいかんな。反省。

心理・教育 - 読了:11/26まで (P)

2005年11月24日 (木)

 文章のタイプには二種類あるのだそうだ。ひとつは,一文一文が短く簡潔な文章。もうひとつは,形容語が多く,息が長く続く文章。誰でも大抵はどちらかのタイプの文章を書きがちで,またどちらかのタイプの文章を好むのだけれど,都合の悪いことに,自分が書く文章のタイプと自分の好みのタイプとは逆になることが多い。だから,短い文章を書く人はもう少し長くなだらかに流れる文章を書きたいと思い,長い文章を書く人はもっとてきぱきとした文章が書けたらいいのにと思う。
 これはずいぶん前に雑誌で目にした話で,以来折に触れて思い出す。自分の書いたものをあとで読み返すと,もうすこし文を短く区切り,簡潔で論理的な書き方ができないのだろうか,とうんざりすることが多い。そんなとき,上の話はいささかの励ましになる。俺の文章がこんなにだらだらとしているようにみえるのは,俺の好みの文章のタイプでないからであって,客観的にみればそんなにひどくはないはずだ,と自分を慰めることができる。
 先日も,書いたばかりの短い文章のあまりの読みにくさに嫌気がさして,自主的に長めの昼休みを取り,コーヒーショップで窓の外を眺めながら上の話を思い出していた。腕時計を見て,カップの底に残った数滴を飲み干し腰を上げ,陽光差し込むビルの谷間をぼんやり歩いているときに,ふと気がついた。この話に証拠はあるのか?

 その記事はいつ・どこに載ったものか。馬鹿馬鹿しい話だが,その点に関しては明確な記憶がある。講談社の月刊PR誌「本」,おそらく1983年頃。雑誌の表紙は安野光雅だった。中学生の頃住んでいたマンションの,暗くほこりっぽい部屋の隅を思い出す。こういう無駄な記憶を消去して,空いた容量を有効活用できるといいのだが。
 それは高名なジャーナリストが書いた,文章の書き方や資料整理の方法を指南するという趣旨の連載記事だった。上の話は,特定の誰かが述べたことの引用ではなく,経験的な事実としてぽんと無造作に書かれていたような印象がある。
 そのジャーナリストは該博な知識と膨大な著作で名高い人だ。かつて政治家の資金源について書いたルポルタージュは,時の政権を崩壊させるきっかけとなった。経済,政治,工学,自然科学,そのほか多様な分野で綿密な作品を数多く発表し,新聞や雑誌でアクチュアルな発言を続けている。実はよく知らないことを書き飛ばしているのではないかという冷やかしや批判もあるようだが,第一級の知識人であることは疑いない。
 その人の著作について俺はあまりよく知らない。かなり昔の本を何冊か読んで,その徹底的な調査に感嘆したことがあったが,むしろ数年前のこんな出来事のほうが印象に残っている。その頃「捨てる!技術」という新書がベストセラーになっていた。要らないものは捨てましょうというような,ごく他愛もない内容の本だ。ところがそのジャーナリストが,月刊誌に長い文章を発表して,その本を徹底的に罵倒した。いわく,知的活動とは情報の積み重ねに支えられている,昔の書類は思い切って捨てましょうなどというのは,その人がごくくだらない仕事にしか従事していないことの証拠だ,云々。本屋で立ち読みしていて失笑したのを覚えている。なにも,ロッキード事件の捜査資料や宇宙飛行士のインタビューテープを捨てろという話ではない。十年前の段ボール箱が再び役に立つことが知的職業の条件なのだとしたら,そんな仕事に就いている人はほんの一握りしかいないだろう。結局のところ我々は大抵,なにか貴重なものを残すことなどなく,雪かきのような仕事をその時その時繰り返して人生を終えるのだ。

 この人が20年以上前に書いた記事に,俺はこれまで少なからず励まされてきたことになる。しかし,どのような根拠があれば「好きな文章のタイプと自分の文章のタイプとは違っているのが普通なのだ」と主張できるのか,どうにも判然としない。ひょっとするとあの話は,ジャーナリストが興に任せて綴った与太話に過ぎなかったのだろうか。
 そうかもしれない。でも,あれこれ思い巡らせているうちに,別の想像が頭から離れなくなった。多作で知られるあのジャーナリストもまた,自分の書いたものを読み返して,ため息をつくことがあったのではないだろうか。そんなとき,文章がまずいのではない,ただ自分の好きなタイプの文章でないだけなのだ,と自分を慰めることがあったのではないかと思う。
 これはただの想像に過ぎないし,高名な著述家に対して随分失礼な憶測だ。でも,俺の中でこの想像はもはや確信に近く,はっきりとした像さえ結んでいる。原稿を書き進めるとき,その人はふと疑念に駆られる。形容語ばかりでだらだらしているのではないか。簡潔すぎて独りよがりなのではないか。筋が通っていないのではないか。準備に要した労力も,蒐集した膨大な資料も,壮大な徒労に過ぎないのではないか。どんな栄光と名声に包まれていても,原稿用紙の前でその人はひとりきりだ。
 そんな風に勝手に想像することは多少の慰めになる。でも同時に,ほんの少しだけ哀しい気持ちにもなる。いまこの夜にも,数え切れないほどたくさんの人が,報われるかどうかわからない孤独に耐えているのだ。

雑記 - 自分の文章は好きな文章ではない

2005年11月16日 (水)

Bookcover 刀狩り―武器を封印した民衆 (岩波新書 新赤版 (965)) [a]
藤木 久志 / 岩波書店 / 2005-08-19
面白かった。

ノンフィクション(-2010) - 読了:11/16 (NF)

Nagin, D.S. (1999) Analyzing Developmental Trajectories: A Semiparametric, Group-Based Approach. Psychological Methods, 4(2), 139-157.
ここしばらくの間、昼飯時にだらだらめくっていたのだが,きりがないので読み終えたことにしておく。いわゆる成長曲線モデルとは発想がちょっとちがうようだ。

論文:データ解析(-2014) - 読了:11/16 (A)

2005年11月15日 (火)

Hershberger, S.L. (1998) "Dynamic Factor Analysis." in Marcoulides, A. (ed.), Modern Methods for Business Research. LEA.
動的因子分析の紹介。仕事で読んだ。ざっとめくっただけだけど,読んだことにしちゃおう。
この本は私費で衝動買いしてしまったのである。元をとらねばならん。

論文:データ解析(-2014) - 読了:11/15 (A)

Bookcover テレビの黄金時代 (文春文庫) [a]
小林 信彦 / 文藝春秋 / 2005-11-10
帰りの電車と大戸屋で読了。

ノンフィクション(-2010) - 読了:11/15 (NF)

2005年11月14日 (月)

Bookcover オクタゴニアン (1) (カドカワコミックスAエース) [a]
杉浦 守,大塚 英志 / 角川書店 / 2005-08-26
あとがきのみ格調高く,あとはつまらない。
Bookcover みなみけ(1) (ヤンマガKCスペシャル) [a]
桜場 コハル / 講談社 / 2004-11-05
「あずまんが大王」を水で薄めたようなもの。いずれにしろ,ネクタイ締めたおっさんが読むマンガではなかった。。。

コミックス(-2010) - 読了:11/14 (C)

Bookcover ブランドはなぜ墜ちたか―雪印、そごう、三菱自動車事件の深層 (角川文庫) [a]
産経新聞取材班 / 角川書店 / 2002-03

ノンフィクション(-2010) - 読了:11/14 (NF)

2005年11月13日 (日)

Bookcover 僕の小規模な失敗 [a]
福満 しげゆき / 青林工芸舎 / 2005-09
暗く冴えない,徹底的に負け組な青春のドロドロを,これでもかというくらいに赤裸々に描いた自叙的マンガ。ああここに俺の青春が描かれている,と感傷にひたる人がきっと大勢いるだろう。
しかし想像するに,いったんこの疾風怒濤の時期を乗り越え自意識を飼い慣らし,過去をいったんフィルタにかけて,はじめてこういう作品が可能になるんだろうと思う。マンガ家を目指してある時期を費やした人は大勢いるだろうけど,その時期をくぐり抜けてこういう視点を持てる人は,たぶんとても少ない。その意味で,これは勝ち組のマンガだ。
残酷なものだなあ。物語を創るというのはつくづく残酷なものだと思う。
Bookcover 文具天国 (てんとう虫コミックス〔スペシャル〕) [a]
そにしけんじ / 小学館 / 2004-03-27

コミックス(-2010) - 読了:11/13まで (C)

Bookcover ニッポンの単身赴任 (講談社文庫) [a]
重松 清 / 講談社 / 2005-10-14
この著者,質の高い仕事を量産し続けている。どうやって時間を作っているのだろうか。

ノンフィクション(-2010) - 読了:11/13まで (NF)

Bookcover 動機 (文春文庫) [a]
横山 秀夫 / 文藝春秋 / 2002-11
いくらサスペンスフルな展開でも,落ちはかならず人情噺!! GoGo横山秀夫!! 日本人はみんなあなたの味方だ!!

フィクション - 読了:11/13まで (F)

2005年11月11日 (金)

Bielefeldt, T. Computers and Student Learning: Interpreting the Multivariate Analysis Of PISA 2000. Journal of Research on Technology in Education, 37(4), 2005.
Google Scholar経由で入手。勤め先の用事で読んだ。
PISA2000のデータで,コンピュータ利用を尋ねる質問項目と学力との関係を調べたところ,利用している子のほうが学力が高いんだけど,家庭環境の変数を投入すると差がなくなる(下手すると逆転する)。という経済学者の報告があって(Fuchs & Woessmann, 2004),マスコミでも評判になりました(俺もBBCで読んだ覚えがある。これかな)。そこでその内容を簡単にご紹介しましょう。という論文。
助かりました。元の論文は長いんだもん。

論文:教育 - 読了:11/11 (A)

Bookcover つっこみドン!! (Cue comics) [a]
田中 圭一 / イースト・プレス / 1998-03-01
これはさすがに,ちょっと...

コミックス(-2010) - 読了:11/11まで (C)

Bookcover 耳を傾けよ!―87分署シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) [a]
エド マクベイン / 早川書房 / 2005-10-20
あともう一作ある由。

フィクション - 読了:11/11まで (F)

2005年11月10日 (木)

Bookcover 国語教科書の思想 (ちくま新書) [a]
石原 千秋 / 筑摩書房 / 2005-10-04
小中学校の国語教科書に隠されたイデオロギーを暴き出す,という本。
雑な内容でがっくり。途中で投げ出すのも気持ち悪いので,心の中で突っ込みを入れながら読んでたら,大変疲れた。せっかくなので記録しておこう。

その分野では立派な学者だろうに,なんでこんな本を書いちゃったのだろうか。想像するに,かつて国語の中学入試問題を集めて分析したら面白い本が書けたし評判にもなった(入試問題のテーマは「自然に帰ろう」と「他者と出会おう」の二種類しかないんだそうだ。ふうん。そっちの本を読めばよかった)。そこで今度は国語教科書を集めて読んでみたんだけど,こっちは残念ながら,いまいちクリアな分析ができなかった。でもほら私って本業だけじゃなくて教育にも一家言あるヒトだから,PISAの話なんか織り交ぜて,これからの教育について論じちゃったりなんかしたら十分一冊になるわ。といういきさつだったのではないかと思う。うーん,それは正しい戦略だ。論理的でない議論も,証拠のない断言も,実現可能性のない提案も,教育問題ならば許される。たまに変な暇人がいて,丁寧に読んだ末に自分のブログでぐちぐちと文句を言ったりすることもあるが,そんな社会の屑は放っておけばよいのだ。

心理・教育 - 読了:11/10まで (P)

Bookcover ドクター秩父山だっ!! (ぶんか社コミックス) [a]
田中 圭一 / ぶんか社 / 2005-10-31

Bookcover 諸怪志異 (3) 鬼市 (アクションコミックス) [a]
諸星 大二郎 / 双葉社 / 1999-10-29

コミックス(-2010) - 読了:11/10まで (C)

Bookcover 骨の島 (ハヤカワ・ミステリ文庫) [a]
アーロン エルキンズ / 早川書房 / 2005-10
教育関係の本を読むのが嫌になったので,気楽そうな本を選び,行きの電車で一気読み。シリーズ第11作だそうだ。内田康夫か西村京太郎みたいなものなんだろうな。

フィクション - 読了:11/10まで (F)

Bookcover 西太后―大清帝国最後の光芒 (中公新書) [a]
加藤 徹 / 中央公論新社 / 2005-09
昼休みと行き帰りの電車で読了。これは面白かった。良かった,助かった。

ノンフィクション(-2010) - 読了:11/10まで (NF)

2005年11月 6日 (日)

Bookcover 〈傷つきやすい子ども〉という神話―トラウマを超えて (岩波現代文庫―社会) [a]
ウルズラ・ヌーバー / 岩波書店 / 2005-07-15
トラウマ理論は科学的じゃないし有害だ。心理療法における個人への注目は脱政治化を招く。云々。
ドイツの科学ジャーナリストが書いた啓蒙書。とても読みやすい。批判されているのは「トラウマ療法」であって,ココロの問題はココロ問題専門家へ,という枠組みは崩していないので,業界の方にも安心なんじゃないかと思う。

心理・教育 - 読了:11/06まで (P)

Bookcover 9・11生死を分けた102分 崩壊する超高層ビル内部からの驚くべき証言 [a]
ジム・ドワイヤー,ケヴィン・フリン / 文藝春秋 / 2005-09-13

Bookcover 島原の乱 (中公新書) [a]
神田 千里 / 中央公論新社 / 2005-10
風呂で一気読み。島原でキリシタン勢力に荷担しない村は「日本宗の村」と呼ばれたそうだ。へえー。
Bookcover チェチェンの呪縛 紛争の淵源を読み解く [a]
横村 出 / 岩波書店 / 2005-07-29
書くのを忘れてた。確か先週読んだ本。

ノンフィクション(-2010) - 読了;11/06まで (NF)

Bookcover 昆虫物語 ピースケの冒険 [a]
田中 圭一 / アスペクト / 2005-10-31

Bookcover あたしンち(11) [a]
けら えいこ / メディアファクトリー / 2005-11-04

コミックス(-2010) - 読了:11/06まで (C)

2005年11月 3日 (木)

Bookcover 須賀敦子全集〈第1巻〉ミラノ霧の風景・コルシア書店の仲間たち・旅のあいまに [a]
須賀 敦子 / 河出書房新社 / 2000-03
めくってみたら,すでに全部読んでいた。
Bookcover 覗く銃口 (新潮文庫) [a]
サイモン カーニック / 新潮社 / 2005-09
いまいち。

フィクション - 読了:11/03まで (F)

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